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そだつ

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自分が立ち上げてきた彫刻家 はしもとみお、という仕事が、
自分とはまるで違う性格や姿で、生きている、と感じます。
仕事がいきもののように動いたり勝手に成長して、
自分が眠っている間にもそだっている時だってあります。

知らない人に会うのが苦手で、ワガママで自分勝手で、常識のない私が、木を彫る仕事のおかげで、どんな事でも進んでできるようになりました。
人にちゃんとあやまることも、責任をさいごまで取ることも、
人見知りなのに、仕事着を着ると(ツナギですが)知らない人と初めての彫刻設置などの仕事でも、しゃきっとがんばることができるようになりました。

木を彫って生きていけるなら、どんな仕事でもうれしい。
仕事が、自分を育て、自分が、仕事を育てる。

自分で一から立ち上げる仕事というのは、何かを育てる感覚と似ているのかもしれません。
木に水をやったり、犬にえさをあたえたりする、そんな成長を心から楽しみにする瞬間に、毎日であって、喜んだり哀しんだりしながら、仕事と暮らしています。

自分の仕事のこの先どういうふうに育って、どういう形になって行くのか、
それを支えていけるのは、自分しかいない、それが、作家業というものなのでしょう。

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ものづくりの仕事は、時間がすべての鍵です。たとえば時間をいくらかけてもいいなら、ほとんどの事が誰だってできること。 決められた時間と予算の中で、どれほどのいい仕事ができるかが、生きのこれるかどうかの要になっている、そのように思います。

それは、短いスパンの時間という意味ではなくて、ものによっては、
それこそ生きているうちに、一作でも最高傑作が生み出せれば、それだけで生きていけるということもあるでしょう。

環境はひとそれぞれですが、環境のせいにせず、環境はあってないものとする、
めぐまれていても、めぐまれていなくても、どこだって、
仕事を育てることの楽しさをおぼえたら、もう大丈夫、どこまでだって成長して行けるはずです。

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もちろん仕事には、自分がかくそうとしても現れてきます。

それなので、芸術家は、もっとたくさんいい思いをしないといけない、するために努力しないといけない、そう思います。
人より苦労もあっても、色んないい思いをすることで、人をいい思いにさせられるものが作れるから。

評価されないことにだけは、慣れてはいけないと、思います。
うまく稼げないことにも、決して慣れてはいけない、
くやしいとおもって、問題点を見つめ、いつも理想の形でものづくりができる暮らしをみすえていないと、仕事の成長は止まってしまいます。

大きく育てることが目標ではなく、ゆたかに、たくさんの実を付けて、鳥や動物たちがよってくるような、ほっとするような、
そんな一本の木のように、自分の仕事を、育てて行きたい、とおもっています。

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「ケモノたちの夏休み」 名古屋河合塾千種校 ギャラリーNAFで開催します

7/21(sat)~8/5(sun) 10:00~18:00

会期中は無休です。ご家族で、お友達と、はたまた一人でカメラ片手に、さわったり、思い出のスナップを撮ったり、会場で動物たちの絵を描いたり、自由に参加していただける彫刻の展示会です。

今回の写真は会場風景の写真です、受付ではシバちゃんがスタンバイしていますよ〜!
by m_kirin30 | 2012-07-21 11:07 | 展示
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