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らしさ

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2年間住んだ愛知県を離れ、三重県の少し郊外の古民家を改装して、アトリエを移す事になりました。

私は兵庫県から始まり、大阪、京都、東京、愛知とたくさんの土地に通学したり住んだり、
その土地が好きになってきたところで、少し哀しくなりながらその地を離れる事が多かったせいか、
今まで住んできたどの土地も、大好きな場所で、故郷のように思っています。

色んな事が、変わってゆく中で、あんなに大好きだったものたちも、強く願っていた思いも、好きな音楽も、趣味も、仲間たちも
変わって行く事があるんだという事を、初めて知りました。

その中で、自分の支える変わらないものたち。
おおきな樹が、たくさんの葉っぱを作っては風に飛ばし、なびかせながらもしっかりと立つように、
変わらないものが自分にしっかりとあればあるほど、安心して変わっていける部分がある。
そして変わっていくものたちが、変わらない部分を鮮度を保って支えている、
そんなふうに、どちらも大切な事なんだと、今は感じています。

芯はぶらさずに、だけども風に柔軟に、実りと木陰と、変化する美を世界に届けている、
おおきな樹をみていると、その立ち振る舞いに、私はいつも胸がいっぱいになります。
そんな樹のようになれたらと、いつもあこがれます。

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もの作りの仕事というのは、自分という職人をどう扱って行くかという仕事のように思います。

タンポポはどんなにあこがれても、ひまわりにはなれないし、
ひまわりはクスノキにはなれず、
クスノキはどんなにあこがれても、タンポポのようには、なれないように、
自分の性質に逆らった事をどんなにやろうとしても、その努力が実る事は決してありません。
そこが本当につらく苦しいところで、
自分の憧れるものと自分とのギャップがおおきいほど、
空回りの努力を繰り返してしまいます。
私はずいぶんと長い間そのギャップを認める事ができずに、なれないものになろうとして空回りをして失敗する、そんな日々が続きました。

もの作りの失敗に失敗を重ねて、あるときふっと思った事が、
自分らしさ、ということのほんとうの意味でした。

らしさ、が澄んでいるものは本当に美しいという事、
樹らしさ、花らしさ、虫らしさ、
純度の高い、らしさ、というものの美しさを、絵を描くごとにまのあたりにして、
自分らしさの純度を高めて行く事が、
この仕事にとって一番大切な事だという事を、今は痛感しています。

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わたしにとって自分らしさとは、作る事がうまくなって行く事では決して無いと思うので、
あくまで純度を高めて行く方向で、進んで行けたらなと思っています。


この夏は、たくさんのワークショップや出張教室があります。

NHK文化センター (こちらは告知の前に満席となってしまいました、キャンセル待ちのみ受け付けています。

中日文化センター

河合塾名古屋千種校

どの講座も定員に限りがありますが、私のできるかぎり、木彫りや絵を描くたのしさ、ものの美しさを発見する技術を、一人でも多くの方に伝えて行けたらなと思っています。ぜひ遊びに来てくださいね!

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by m_kirin30 | 2013-06-09 23:29 | 日常 | Trackback | Comments(0)
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