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ちいさな目標

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私は、学生時代から目標がありました。
それは、美術の世界で生きていくこと、暮らしていくこと、食べていくこと、です。
作家業というものを志したときに、現実として美術大学や専門学校で作家業を生業として私の理想の暮らしをしている先輩が見つからず、いざ自分がどうやって作家業をはじめればいいのか、全く前例のない仕事のような不安に駆られたことを思い出します。

そんなときに、大学在学中にも将来起業したい人は起業の準備を始めているということを知り、作家業も、ひとつの起業なのだという意識を、大切にしようと思いました。

私の理想としているイメージは、ちいさな町工場でした。
美術作家というと、大企業のような大作家さんしか暮らしていけないような印象を受けますが、なぜ、美術作家の中小企業が存在しないんだろう、と考えました。
私は、世界に誇れる技術を次々と生み出し、日本の伝統とものづくりを支えるちいさな町工場のような作家になりたい、と思いました。

目標がちいさなものであれば、そこへ向かってめざしていこうというとても具体的なイメージもつかめ、
一ヶ月にこれだけ稼いでみようとか、一年でこれだけ稼げればアトリエと住む場所を確保できるとか、そんなちいさなひとつづつを自分で決めて、その目標を達成していく喜びを日々感じながら制作していました。目標をすこしづつ大きくして、理想とする暮らしをひとつづつ実現していくことが、私の一生の道標になっています。

「仕事をください」というような営業はしませんでした。
営業のプロには決して勝てないし、それならばすこしでもいいものを作ることに精力を注ごうと、みんなが欲しくなる彫刻の開発と研究を日々行ってきました。
そんなとき頭に浮かんだのが、自分がそれを見つけたらとっても欲しいというものを作る、ということでした。
自分が欲しいけどみつからない何かを作ることができたら、きっとみんなもそれを欲しいとおもってくださるんじゃないか、そう考えるようになり、誰かの宝物になれるようなものづくりを、続けていこうと思い、いまでもちいさな町工場の精神で日々最善を尽くして仕事をしています。

大作家になりたい、というような雲をつかむような目標では、私のような後援者もいない一代目の資本金も少ない作り手は、とても美術の世界で生きてこられなかったと思います。
いずれ大きな目標を見据えるのは素晴らしい事ですが、道のりのイメージがつかめる範囲のちいさな目標は、自分に勇気を与えてくれる親友のような存在です。
名もないけど作るもののすばらしい、そんな作り手はこの世界にたくさん息をひそめていることでしょう。そしていづれ、作るものが素晴らしければ誰かが見つけ、広がっていくようにおもいます。
ちいさな目標が、いままでの自分を支えてくれていたことを、仕事をはじめて10年弱、ようやく実感できるように思います。

私はこういったわたしのようなちいさな町工場やちいさなお店のような美術作家がどんどん増えてきたらいいと思います。これから作家を目指す若い人たちが、思い悩むときにすこしでもいいアドバイスができるように、たくさんの実績と経験を積んで、美術の土地を耕していければなと思っています。

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現在開催中〜3月17日まで
銚子よみうりホール 9:00〜17:00   はしもとみお展 「彫刻森のどうぶつたち」

4月1日~10日 東京 巣巣 ミニ展示 机の上の犬と猫

4月29日~6月12日 福知山市佐藤太清記念美術館 個展予定

by m_kirin30 | 2016-03-09 19:35 | 日常 | Trackback | Comments(10)
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Commented by at 2016-03-10 22:59 x
みおさんへ☆

ご無沙汰しておりますが、お元気でしたか?
私は寒さにも負けず、毎日元気に仕事にプライベートに頑張ってます!

私も、みおさんと同じ考えでいつも思ってます
常にお客様の立場に立って何にでも物事を考えれば
自ずと答えは出てくるんだと
ホントわかりやすい考えですよね
自分が欲しかったり、喜べたり、楽しければ
裏を返してそれを生み出せばいいですよね

先日もある講義で、まさにお客様の立場に立ってっていう内容の
某会社の講義を聞いたのですが、実例で示していただいたので
とてもわかりやすく、いつも私が思ってる事と同じだなって
ついつい自分目線で自分の都合のよい方だけしか考えず
お客様の為にって思ってても、実は間違いで自己都合だったりしますよね
常に逆の立場に立てばって、部下の子達には伝えています

これからもお互い一生懸命夢に向かって頑張りましょうね!!!
Commented by m_kirin30 at 2016-03-11 18:13
権さま

つくりてはお客様の立場に立って、社員は創業者の立場に立って、創業者は社員の立場に立って、お互いを尊敬し意見を学べればとてもいいものが作れる気がしますよね、
一生続けられるものがあるだけでとても幸せだと感じる今日このごろです。

みお
Commented by yoroten at 2016-03-23 22:19 x
このような目標(目的)を持って始められ、活動されているとは思いませんでした。
今ここで、どこが、どう、とは言えませんが、考え方はすばらしいと感じました。

私もクリエイティブなことが好物(好きということの意)ですが、生業はデザインの方を向いてやっております。
デザインとは「問題」の「解」であると考えていますが、それと同等に「自分が欲しいモノを作る」というのがある、とも考えております。
みおさんの話を読み「モノの創造」は「自分の為」が基本なのかもしれないと感じました。
Commented by maminakata at 2016-04-23 00:31
はじめまして。大阪在住の者です。
先日 友人が猫の彫刻を習ったそうです。私も行きたかったのですが
残念ながら、行けませんでした。友人の猫は、とても素敵に仕上がっていて、羨ましかったです❗
次回は、私もチャレンジしたいです。
みおさんにも お会いしてみたいです。
Commented by m_kirin30 at 2016-04-28 09:54
yorotenさま
クライアントが望むものを作るのはもちろん大事ですが、いったんフラットな状態で自分も自分の創作物が好きかどうかの基準は持っていたいようにも思いますよね、折り合いをつけていくことでお客様と自分のベストを探していけるようにも思います。
みお
Commented by m_kirin30 at 2016-04-28 09:56
maminakataさま
ワークショップはみんなでわいわい作れるので、とても楽しいひと時です、ぜひ機会がありましたらチャレンジしてみてくださいね!木彫りは難しそうに感じますが、実はとてもシンプルな頭の運動になる体験です!

みお
Commented by momo at 2016-05-01 13:10 x
昨日、動物のブローチづくりのワークショップに参加させていただきました。私は、LIFEっていうテレビ番組でみおさんのことを初めて知りました。その時に、確かデッサンの時は「うまく描こうとしないこと」という言葉がとても心に残りメモに残していたほどでした。ですから、みおさんの個展とワークショップが私のふるさとで開かれることを知り、迷わずに申し込みました。ブローチを作っている内に、不思議なことに「うまくできるかな?難しいな。」の感情から「可愛いな。そうそう、ここは丸くてフサフサしてる。」という気持ちに変わっていることに気付きました。ありがとうございました。
Commented by m_kirin30 at 2016-05-11 11:49
momoさま
うまく作ろうとすると、上手くという言葉にとらわれ、自由な彫刻の足かせになってしまうことがあります、自分が思っている上手さ、というのが正しいかもわかりませんし、自由に、恐れなく勇気を持って進めることがいい彫刻のいちばんの近道のように思っています。
またぜひチャレンジしてみてくださいね!

みお
Commented by nonko2014 at 2016-08-14 09:14
考え方に感動しました。

夢は叶っているのですね。
応援しています。
いつか東京でも個展をお願い致します。
*^^*
Commented by m_kirin30 at 2016-08-15 22:49
nonkoさま

読んでくださってありがとうございます、東京では毎年数回展覧会をしていますので、ご都合のいい時にぜひ彫刻たちに会いに来てくださいね!


みお
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