オランウータン君をリアルにするために、ずっと考えていた着色をしてみました。
色を付けるとき、ものすごい緊張感と恐怖があります。
一気に印象が変わり、時には作品は悪くもなります。
色を付けない仕上げ方もありますが、私は失敗をしても、色を付けてみたくなります。
それは多分、もっとリアルに、という衝動があるからです。
実際に色も形も丸ごと見えているのに、木彫にすると木の色のモノトーンになります。
もっと先のリアリティ、今見えている目の前のモチーフに近づくために、色を見ない事がどうしてもできません。
今回も、これでいいのかはわかりませんが、見えているものに近づけてみました。
うまくいかないことやできない事を目の当たりにすると、美術の深さを改めて感じ、うれしくなります。
現実に限りなく近づく、というのは一生追いかけていくテーマであって、それに終わりがない事がたまらなくうれしいです。できない事を努力するのが、一番楽しいときだからです。
彫刻家ジャコメッティは、あと500年生きたい、と言いました。
「後500年生きたら、もっと先のリアリティへ進めるのに。」
デッサンを突き詰めるには人の一生は短すぎる、これはダビンチも言った言葉です。
私もデッサンに一生を使い果たせたら本望です。
木を前にすると、彫りたい、と思い、大好きなコーヒーもいつも木屑だらけになりながら(それを気づかず飲んだりしながら)一気に粗取りをします。
このこは果たして何になるのか、また進んだらアップしていきますね。
今年も後2ヶ月、ナマケモノ日記ですが、ナマケる事なく毎日がんばって制作したいと思います。