2017年 05月 30日 ( 1 )

彫刻のゆくえ


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勝負であれば負けないことに目標を置くことができる、学問であれば解くことに執心することができるけれど、彫刻というものづくりの世界は、何を目標に、どこに向かって進んでいけばいいのか、基準のなさに目が眩みます。
大学受験に現役、一浪、二浪、三浪と4度東京芸術大学に落とされ、三浪の時に受けた東京造形大学に拾ってもらった捨て猫のような私は、美術で合否や順位をつけられることへの恐怖を、いまも拭いきれずにいます。
あいまいなまま日々を送り、何が成功かもわからないまま、目の前の彫刻の仕事とだけ格闘してきました。
美術はそもそも順位をつけられるようなものでもなく、選ぶ人の主観でどうにでもなってしまう答えのない世界で、そういう世界なのだから人に理解されないでもいい、と割り切れてしまえたら楽になれるのだけど、仕事にしたいとなるとそうはいかず、目的地のはっきりしない大海原にたゆたう船のような孤独を、いつも抱えてきました。

美術の世界でどのような表現をするかは、完全に自由だ、などと言っても、自由の意味を履き違え、人を傷つけたり、何かを批判したり、自己表現が過多になったり、そんな方向は何かが違う、と感じていて、私はそんな無秩序の世界から、自分の基準を作っていこうと考えました。

それは木のように、地に足をつけて制作をしていく、という基準。
アトリエの拠点を三重の片田舎に移し、生涯ここで暮らそうと思える大好きな場所で、木を植え、植物を育て、日々を暮らすように彫刻を作っていくことを、はじめました。
すると不思議、大海原だった私の不安はなくなり、一本の木のように、根付いての暮らしは不自由と思いきや、一点にとどまることでの深く思考できる自由を手に入れたのでした。

その深く思考できる場所、アトリエを支点とし、自分の全てがダイナミックに進んでいきました。
私の基準は、いつも私の足元にある。
自分がとても小さかった時、世界を見上げて暮らしていた、あの頃の広大な自然の美への感動が、失われることなく足元に広がっています。
どのような彫刻を作り、仕事をしていくのか、もう迷うことはなく、私は今は自分の作った彫刻が、どう評価されるだろうと不安に襲われることは少なくなってきました。目の前のモチーフが、日々評価し続けてくれる師なので、動物や植物たちに、教えてもらいながら制作をすることができます。

彫刻のゆくえは、足元の世界から、いつもはじまっていく。目の前にあるそこらへんに転がるもののなかに、まだ見ぬうつくしい彫刻が隠れているので、私は半径1メートルの世界から、赤ん坊のような気持ちで今は、手に取ったもの全ての美を、彫刻にしていく日々を、楽しんでいます。




展覧会 はしもとみお彫刻の世界展 『木のどうぶつたち』
愛知県 おかざき世界こども美術博物館
平成29年4月22日(土曜日)から6月25日(日曜日)まで

犬の彫刻たちは触ることができます。0歳から楽しむことのできる、おしゃべりも、写真撮影も、さわるのこともできる展覧会です、ぜひどうぶつたちに会いに来てくださいね。

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静岡県 沼津  weekend books 7/2-16 個展


詳細は追ってアップします、等身大の猫や犬たち、販売用のちいさな彫刻たちも並びます。

静岡県では実に10年ぶりの展覧会、お近くのかたはぜひあそびにいらしてくださいね。



福岡県SPITAL.hakozaki   7/22~8/6 個展


猫島物語      はしもとみお彫刻展


福岡県 相島にすむ猫たちの彫刻を作り続けてはや3年、猫たちのふるさとの福岡県で、ついに猫の彫刻展が開催決定です。

猫たちとともに、犬たちもお邪魔するかもです。

新作、販売彫刻ふくめ、猫スケッチなども初出品しますのでぜひ!

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by m_kirin30 | 2017-05-30 09:20 | Trackback | Comments(6)