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美術のしごと

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絵を描くのがすきな人はたくさんいます。
絵を描くのが得意な人もたくさんいます。
だけど美術の仕事を志す人は少なく、
特に作家の仕事を志して、仕事にする人は少なく、
作家業の中でも彫刻家を選び、生業にする人はさらにすくなく、
そのなかでも女性となると、超絶滅危惧種の存在でしょう。

美術の世界から社会を見て、まだ十数年ですが、
日本で美術の仕事を、特に作家業で生活していく事の難しさは、感じない日はありません。
好きな事を仕事にする、という言葉では、くくりきれないたくさんの思いがあります。

美術を仕事にする事が難しい事だからといって、あきらめる事は全くありません。
また、美術を仕事にするという事が難しいというのは、単に私が力不足だからなのでしょう。
そして、その力不足の美術家が、苦しいと口にする事で、美術の仕事は、とうてい無理、たいへんだと、若い学生や子供たちが耳にしてしまい、目指す人が少なくなってしまうのでしょう。

次世代のまだ見ぬすばらしい力を持った美術家のためにも、私たちは胸を張って、美術の仕事を勧められるよう、文化をつくっていかなければならないし、ひからびた土壌を耕さなければならない、
プロフェッショナルとして稼げる仕事を増やしていかなければならない、
ほかの土地で稼いで美術をするのではなく、自分の土壌で稼げる手段を見つけなければならない。
そのためにはたくさんの作家たちで協力して、日本の美術を、よりよいものにしていこうと、そう思います。
自分の獲得した土地を独り占めするのではなく、他の土地の富をもらって生きていくのではなく、そこを耕し、木を植え、動物たちを呼んで、集まる場にしていく、そういった見渡せる目を、私たち美術家こそ、養っていかなければならない。

今回大きな個展を開かせていただき、たくさんの方に彫刻の動物たちを見ていただくきっかけになりました。
私は表現として動物を扱っているのではなく、この同じ地球に生きていた、美しい、愛する生き物たちの姿を、のこして伝えていく方法を探して、美術の世界にたどり着きました。

たどりついた島がどんな世界でも、私はこの土地を愛し、耕し、大きな木になって、たくさんの生命を育てていきたい、そんな風に思います。
2014年のはじまりは、そんな、これからの事をたくさん考えるものでした。
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展示風景 猫のムウちゃん
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立体動物図鑑
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木馬のワークショップ
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動物たちの晩餐会
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UAEのなかまたち
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彫刻のふれあい動物園
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会場でスケッチ大会
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動物たちからの手紙、展示風景。

一宮市の広報番組でも取り上げていただきました。


ワークショップ、イベント等もつづきます。

どうぶつを彫る-揺れる木馬  NHK文化センター名古屋教室


『ヤネウラット森の文化祭2』 ~みんなでつくる大きな木~
【とき】2014年4月5日(土)14:00開場 14:30開始
【ところ】アジール 〒511-0411 三重県いなべ市北勢町京ケ野新田97-8
     ※駐車スペース多数有り
【定員】30名 (定員達し次第受付終了 キャンセル待ち有り)

【ワークショップ 】
画家 くまたにたかし
彫刻家 はしもとみお
【おんがく】
ポチとolive
演出:渡邊春菜



5月18日〜6月21日
東京 ギャラリーKISSAさん 「いぬねこ島へようこそ」個展
by m_kirin30 | 2014-02-25 22:06 | 展示 | Trackback | Comments(5)

動物たちのこと

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いままでに出会った動物たち、わたしはそのひとりひとりの暖かさや温度を、忘れる事はありません。
言葉の通じない彼らとふれあう事で、言葉のいらない語り合いを、日々感じています。
動物たちが好きかと聞かれると、単純に好きという訳ではなく、
自分とは違った形をしている、違った生き方をしている生き物だという興味と感動の感覚です。

「他者の痛みや苦しみを、深く想像できる人間になれ」

このことは、もの言わぬ動物たちから教えてもらいました。
死を間近にした動物たち、木々の生命、目に見えぬ生物たち、
彼らは人間よりもはるかに想像力がある、と私は感じます。
それは、死や危機を想像する能力、常に緊張感を持って、生きている。
自分の苦しみを想像できるからこそ、他者の苦しみも想像できるようになる。
そんな生き物に、私もなりたいと感じます。

肖像彫刻は、モデルになった生き物たちと語らう行為です。
そこには目に見える形、手で触れるかたちを超えて、彼らの言葉を書き留める行為にも似ています。

今回の展示会で、今まで彫刻にしてきたたくさんの動物たちが出演するので、その子たちの事をここで一度紹介させていただこうと思います。

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まずは、UAEのなかまたち
2010年10〜11月に、私はUAEという遠い砂漠の国へ、動物たちの彫刻を作るための取材に行きました。 記事参照

伺ったのは、はなももの別館というブログをされている、UAEのお宅で、初めての一人での海外出張でしたが、私の彫刻人生の中でもほんとうに貴重な取材をさせていただきました。
その暮らしは、日本とはまるで違う、朝日がのぼるのをみあげて、日が暮れると眠る、それはそれは美しい人間本来の暮らしでした。
動物たちも日本のようにペット、ではなく、同じ土地に住む仲間であり、家族である。
そういった感情が素直に受け入れられる、そんな場所でした。
今回の展示会には、そんな遠く砂漠で生きている、生きていた、サーメル、ダマーニ、という名前のガゼル、ハトのクブズ、猫の3ちゃん、ラクダなどが並び、UAEの生き物たちの美しい暮らしを再現します。彼らにはたくさんの砂漠の暮らしでの物語があり、そこには美しい答えがありました。
言葉を持たない彼らからの手紙を、受け取っていただけたらと思います。
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次に犬たちを紹介します。
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カブ君、リンゴちゃん。愛知県立芸術大学時代に制作しました。

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ヴェルちゃん カブくん家族のなかよしの子です。

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ドンちゃん 瀬戸に住んでいて、昭和生まれの顔のもこもこした凛々しいわんこです。

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月君 飼い犬です。

その他にも多数の等身大の彫刻たちが一同に並びます。
まとまって見られる機会は数年間は無いと思うので、この機会にぜひ遠方の方々も足を運んでいただければと思います。
会場には、座って一緒に楽しめる「動物たちの晩餐会」や、
触って楽しめる「ふれあい動物園」や、
写真撮影可能、「めざせ珍獣ハンター」のコーナーなど、楽しい企画がたくさん盛り込んであります、
大人も子供も楽しめるような、空間にしたいと思っています。
ぜひ、あそびにきてくださいね!



動物たちからの手紙

by m_kirin30 | 2014-01-26 10:17 | 展示 | Trackback | Comments(12)

あたらしいこと

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あたらしい季節に、あたらしい環境に飛び込み、あたらしい友達と、あたらしい生活をはじめるときの緊張を、私は忘れることはありません。
なぜなら毎日、あたらしい木と出会い、あたらしい気持ちで、あたらしい彫刻を作り、
あたらしい白い紙に、あたらしいモチーフを、あたらしい気持ちで描いているからです。

木は友人のようなもので、向き合いながら手探りに、形を探して行きます。
私の、作りたい形があって、
木の、なりたい形があって、
作りたいものを、手を通して伝えるのですが、木が、思い通りに言うことを聞いてくれることは少なく、私はからだいっぱいで思いを伝えようと、いつもあたらしい環境にとびこんだ子供のように、どきどき緊張しながら彫刻をしています。


世界は毎秒新鮮で、作りきれないモチーフ、拾いきれない美しいものたち、
まだ見ぬいきものたちや、出会っていない人たち、
私の興味と感動は生涯つきることは無いでしょう。

どんなときでも、継続することは一日も欠かさずつづけるように、
そして、一日ひとつでも、あたらしいことに、挑戦するようにしています。

今、またあたらしいことの真ん中に、身を置いています。
展示会で、那須高原という地に、作家、音楽家の友人たちとともに来ています。
東京、仙台、愛知、岐阜、たくさんの場をともにしてきたこの仲間たちで、
ほんとうにやさしいご好意により、那須高原のあるお宅に滞在させてもらいながら、
音楽と、美術にあふれる展示会と暮らしを、10日間、過ごせることになりました。
私はこの仲間たちがだいすきで、この仲間たちをこころから信頼していて、
仕事をともにしながら、仕事をともにしてくれることへの感謝の気持ちを伝えきれずにいます。


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いつもすてきな声で、展示会場をいろどってくれる、アミちゃん。
彼女が私の絵本「神様のないた日」を読んで、かよちゃんが生演奏で音楽で彩ってくれて、動物の気持ちを唄にした唄を、会場で歌ってくれます。
渡邊春菜ちゃんは、その演出をすべて、行ってくれています。
友人彫刻家の本多絵美子ちゃんも、作品をともに出品してくれています。
みんなで仕事ができることへの喜びは、どんなに積まれた財宝よりも、私の中のたしかな宝物です。

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会場には赤ちゃんのお客様も来てくれて、彫刻にふれあってくれたり、
テラスで風に吹かれながら、木彫り教室を行ったり、
私はこんなふうに、大好きなひとたちに囲まれて仕事ができて、
音楽にあふれて、美術にあふれて、暮らしていけたら、
毎日あたらしい感動と、あたらしい出会いと、そしてこのまま年がとれたら、どんなにいいだろうと、
那須高原の美しい景色にこころをうばわれながら、今を過ごしています。

こんなふうに、いつも、美術の話をしながら暮らしたいと、春一番に、おもっています。

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いきものたちの、ものがたり 展

木彫りの仲間たち: はしもとみお 本多絵美子 新井達矢 宮本裕太 
ものがたり: 竹内真
音楽:ポチとolive
映像:渡邊春菜

2013年3月16日(sat)~3月24日(sun) (19日火曜日休) 
場所 えほんの家MURMUR
入館料:500円お飲み物付き(未就学児は無料)
open10:00~17:00
火曜、水曜定休(20日祝日は開館)
電話0287-69-6535
メールアドレス info@murmur-museum.com
えほんの家MURMURサイト http://www.murmur-museum.com/
住所:〒325-0303 栃木県那須郡那須町 大字 高久乙 字 伊藤台1439-108(繭の里内)駐車場あり

3/1~先行展示 「ものがたりのアンテナ」彫刻 はしもとみお 文 竹内真

彫刻家はしもとみおと、彫刻の仲間たちが心を込めて作った、たくさんの木彫りのリアルな生き物たち大小約50点が、森の中のえほんの家MURMURにならびます。
ゆっくりとしたお時間を過ごしていただくため、今回は特別企画として、小説家竹内真による、ものがたりとともに、はしもとみおの動き出しそうな動物の彫刻たちが、

みなさまを彫刻絵本の世界へご招待します。
また、会場では生演奏の音楽や、ものがたりの朗読なども、イベントで行います。
那須で、ひとときの芸術と絵本にふれる、ゆったりとした空気と彫刻を、お楽しみに、ぜひいらしてくださいね。
近隣には、宿泊施設(繭の里:お問い合わせhttp://www.mayunosato.com/)もございますので、小さな旅行気分で、いらしていただくのもうれしいです。

特別企画

その1

「ポチの森のえほんと音楽会」
絵本「神様のないた日」読み聞かせイベント&ポチライブ
動物の気持ちを歌う、ポチとoliveを迎え、渡邊春菜の演出のもと、はしもとみおの絵本「神様のないた日」の読聞かせ会と、森の動物たちの気持ちをうたった音楽ライブを行います。
23日(sat) 24日(sun)  16:30~17:00(投げ銭制なのでお気軽にご参加ください)

その2

はしもとみおの木彫りワークショップin MURMUR

ゆったりと時間を取って、晴れたらお外で、雨ならお部屋で、あなたの好きな動物を木彫りで一から作ってみましょう!


3月23日(sun) 13:00~16:00  講座料3000円 定員8~10名


持ち物:好きな動物の写真、資料。絆創膏(怪我をしてしまった時のため)ペン(スケッチしたりするため)持っていれば、彫刻刀。汚れてもいい服装、エプロン。
お問い合わせ:hashimotomio@gmail.com
by m_kirin30 | 2013-03-17 23:02 | 展示 | Trackback | Comments(2)

ひろがる

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美術の世界にだけ住んでいた、外に出るのが苦手な私を、たくさんの広い世界に、出会う新しい仕事が連れ出してくれています。
作ることは得意で、後はほとんど苦手で、
ほんとうに自分の血と汗を注いで作った彫刻も、作り終わった後、どのように人に見てもらおうか、見せて行けばいいか、そこまで頭が回らず、いつも作りっぱなし。
それでも、こんな私に色んな方が声をかけてくださって、たくさんの会場で展示する機会をいただき、なんとか一人で、仕事を立ち上げるまでに、至りました。

いまでは仕事がようやく足で立って歩き、私の知らない世界や、行かなかった場所、たくさんのところへ、私を連れてってくれて、私は新しいものの見方や、感動を、日々もらっています。

世界がひろがる、というよく使われる言葉がありますが、
あれはどこか旅行に行ったりそんなときに使うための言葉ではなくて、
同じ地点に立っているのに、さっきまでとはまるで違う、ひろい視野でものごとの真実が見える瞬間のことを、言うのだと、そう思います。

7年前にいた東京と、同じ土地に立ったはずなのに、明らかに違う、それは、
一人で世界中と戦っているような気分だった臆病で自分本位な私がもういなくて、
代わりに、たくさんの強い味方を手に入れて、喜んでもらうために世界にできることをしたいという自分がいて、それはそれは、世界が何倍にも、ひろがったものの見方が、できるようになったんだと思います。

ひろがる瞬間は、いつもだれかの、ものの見方を理解できた時です。
自分の大好きな人が、好きだという音楽や、絵が、自分にもわかった時の喜び。
それととても近くて、
自分は持っていなかった感覚を持っている人に出会い、その人が真剣に心を込めてやっていることが、自分にはできなくても、わかる、その時の、喜びの発見と感動です。

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今展示中の代官山アドレスディセの、「動物たちと過ごすクリスマス」、前回の大阪ボダイジュエキスポの展示、どちらもコーディネートを行ってくださったのが、名古屋の北欧アンティークのお店、ミュシカさん店主の2人でした。

私はものを作ることに、ミュシカさんはものの美しさを発見することと飾ることに、とてもこだわりを持っていて、私は自分の彫刻を、彼らとであって何倍にも引き立ててくれる空間が作れるということに気づき、美術の神様がくれた素敵な出会いに、とても感謝しています。
私は彫刻を提供させていただいただけで、飾り付けやコーディネート、空間デザインはすべてミュシカさんが行ってくださいました。

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今回のディスプレイも、夜遅くまで、泊まらせてもらうお家で、雪の結晶を暗いお部屋の中、作り続けるミュシカさんを見て、なんだかうれしくて申し訳なくて、でもこうやって大人になって、仕事で雪の結晶を作れる楽しさに、疲れも吹き飛んでしまいました。

最後の瞬間の、リボンの少しの向きや、布の少しのしわまで、何度も何度も、直し続けてくださって、
私は、そのとき、たしかに世界の見方が、ひろがるのを感じました。

みんなそれぞれ、性格も個性も違って、目に留まるところや、美しいと思う物事が、許せないことが、すこしづつ違う。
その「違い」が、見えないところを補い、できないことを支えあって、いいもの作りができるのだと、そう思います。

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代官山アドレスディセ 12月1日〜25日まで

「動物たちと過ごすクリスマス」

 はしもとみお×ミュシカ

■動物たちと過ごすクリスマス
日 時:12月1日(土)~25日(火) 内 容:彫刻家はしもとみおと北欧アンティークショップ「ミュシカ」コラボによる、今にも動き出し そうな木彫りの動物たちが館内を彩ります。
会 場:代官山アドレス・ディセ2階吹抜け特設会場
(協力:Myshica)

■動物の木彫りワークショップ 日 時:12月22日(土)・23日(日) 13:00~15:30/ 16:30~19:00 内 容:彫刻家はしもとみおによる動物の木彫りワークショップ。 会 場:代官山アドレス・ディセ2階吹抜け特設会場 制作作品:「くまのブランコモビール」(12/22)「トナカイに乗ったサンタさん」(12/23)

■動物の似顔絵(水彩画)イベント
日 時:12月24日(日) 13:00~15:30/ 16:30~19:00 内 容:彫刻家はしもとみおがお客様のお顔を動物に見立てて似顔絵を描きます。

会 場:代官山アドレス・ディセ2階吹抜け特設会場

   ディセのワークショップ ≪各ワークショップ共通≫
   ・会 場: 代官山アドレス・ディセ内 2F吹抜け
   ・参加費: 開場1時間前にチケット(1,000円)を販売
          ※参加者様にはディセお買物券1,000円分を進呈


ぜひ遊びにきてくださいね!



by m_kirin30 | 2012-12-03 22:48 | 展示 | Trackback | Comments(2)

そだつ

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自分が立ち上げてきた彫刻家 はしもとみお、という仕事が、
自分とはまるで違う性格や姿で、生きている、と感じます。
仕事がいきもののように動いたり勝手に成長して、
自分が眠っている間にもそだっている時だってあります。

知らない人に会うのが苦手で、ワガママで自分勝手で、常識のない私が、木を彫る仕事のおかげで、どんな事でも進んでできるようになりました。
人にちゃんとあやまることも、責任をさいごまで取ることも、
人見知りなのに、仕事着を着ると(ツナギですが)知らない人と初めての彫刻設置などの仕事でも、しゃきっとがんばることができるようになりました。

木を彫って生きていけるなら、どんな仕事でもうれしい。
仕事が、自分を育て、自分が、仕事を育てる。

自分で一から立ち上げる仕事というのは、何かを育てる感覚と似ているのかもしれません。
木に水をやったり、犬にえさをあたえたりする、そんな成長を心から楽しみにする瞬間に、毎日であって、喜んだり哀しんだりしながら、仕事と暮らしています。

自分の仕事のこの先どういうふうに育って、どういう形になって行くのか、
それを支えていけるのは、自分しかいない、それが、作家業というものなのでしょう。

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ものづくりの仕事は、時間がすべての鍵です。たとえば時間をいくらかけてもいいなら、ほとんどの事が誰だってできること。 決められた時間と予算の中で、どれほどのいい仕事ができるかが、生きのこれるかどうかの要になっている、そのように思います。

それは、短いスパンの時間という意味ではなくて、ものによっては、
それこそ生きているうちに、一作でも最高傑作が生み出せれば、それだけで生きていけるということもあるでしょう。

環境はひとそれぞれですが、環境のせいにせず、環境はあってないものとする、
めぐまれていても、めぐまれていなくても、どこだって、
仕事を育てることの楽しさをおぼえたら、もう大丈夫、どこまでだって成長して行けるはずです。

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もちろん仕事には、自分がかくそうとしても現れてきます。

それなので、芸術家は、もっとたくさんいい思いをしないといけない、するために努力しないといけない、そう思います。
人より苦労もあっても、色んないい思いをすることで、人をいい思いにさせられるものが作れるから。

評価されないことにだけは、慣れてはいけないと、思います。
うまく稼げないことにも、決して慣れてはいけない、
くやしいとおもって、問題点を見つめ、いつも理想の形でものづくりができる暮らしをみすえていないと、仕事の成長は止まってしまいます。

大きく育てることが目標ではなく、ゆたかに、たくさんの実を付けて、鳥や動物たちがよってくるような、ほっとするような、
そんな一本の木のように、自分の仕事を、育てて行きたい、とおもっています。

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「ケモノたちの夏休み」 名古屋河合塾千種校 ギャラリーNAFで開催します

7/21(sat)~8/5(sun) 10:00~18:00

会期中は無休です。ご家族で、お友達と、はたまた一人でカメラ片手に、さわったり、思い出のスナップを撮ったり、会場で動物たちの絵を描いたり、自由に参加していただける彫刻の展示会です。

今回の写真は会場風景の写真です、受付ではシバちゃんがスタンバイしていますよ〜!
by m_kirin30 | 2012-07-21 11:07 | 展示 | Trackback | Comments(12)

楽園

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星ヶ丘洋裁学校で5・16日から、「遠い国のケモノたち」展が、星ヶ丘洋裁学校 sewing galleryで開催されています。
この、アラブの動物たちを展示する一連の展示も、もう3回目を迎え、参加メンバーの彫刻たちも俄然結束力が高まってきました。
大磯 世代工房、名古屋 ミュシカ、そしてここ、枚方 星ヶ丘洋裁学校、
展示会場には、それぞれとても思い入れがありますが、今回のこの、星ヶ丘はまた、特別な思いです。

展示会のすぐまえに、今回主役になってくれている、ガゼルのサーメルくんが、この世界から旅立ちました。そして今朝早朝、赤いボールをくわえているてちくんもまた、旅立ってしまいました。

今回はほかにも瀬戸のドンちゃん、愛知にいたヴェルちゃん、この世界にはもういない子たちが、古い学校のひと部屋に、にぎやかに一緒にいます。

まるで時が止まったような、そして次元がゆがんだような!?
遥か遠い国のケモノたちと、日本の町に住むケモノたち、そしてこの世界にはいないケモノたち、
過去も未来もない、どこでもない場所で、たしかに今、みんなが出会っています。

それって楽園のようなもので、私が作りたかったのは、大好きないきものたちが、一つの場所で、こうして居る、たのしく嬉々とした空間だったのだとおもいます。

生きていることも、死ぬことも、私にとっては、どちらも尊い事実です。
そして生も死も関係のない、もっと無限の空間と時のなかに、彫刻たちはいます。
そんな、ケモノたちの楽園に、ぜひ足を運んでみてくださいね、!

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学校帰りにきてくれた子たちが、
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なんともすてきに展示してくれたり!?
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晴れの日や週末は、外で展示もしています。
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空の上の鳥も、土の上の虫も、この展示会をたのしめるように。
週末は少し込み合ってしまうかもしれませんが、普段は展示しないむかし描いた本や、スケッチブックなどもおいてありますので、

彫刻にさわったり、
小さな彫刻であそんだり、
本を読んだり、
記念に写真を撮ったり、
カフェでまったりしたり、しながら、
ゆっくりたのしんでくださいね。
by m_kirin30 | 2012-05-17 17:31 | 展示 | Trackback(2) | Comments(4)

今をつくる

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彫刻を続ければ続けるほど、感じる事がひとつあって、
彫刻は、続けた年数でも、作った数でも、かけた時間でも、材料や道具でもなく、
今を丸ごと刻む事という無理難題の、今そのものの答えなのかもしれない、と、おもいます。
彫刻は、美しいものがなぜ美しいのか、それの答えを探す事、のような。

目の前の今を、極小のものから、極大なものまで、まるごとを刻むこと、
めにうつるもの、耳で聞くおと、においで感じるもの、手触りの感覚、その日の気持ちや、からだの動き、、無量大数ほどの数字の計算のように、膨大なデータがあふれかえっている、目の前にある、今。
それを、素粒子ほどのちいさなきっかけも見逃さず、
広がっていく宇宙の空間のはしっこを感じながら、
まるごとの今を刻んでいくというのは、とてもとても難しい事であるようで、
挑戦する価値のある、生涯のワクワクでもあります。

私の彫刻する題材は、常に「いきもの」なのですが、
「生物」ではなく、「生命」を作りたいといつも思っています。
でもよくよく考えると、「生物」と「生命」の違いは何か、
物と命では大違いですが、言葉の違いだけでなく、
自分、と目の前のコップとの違いは何か、パソコンと自分の脳と、どこが違うか、
食べるもの、食べないもの、エネルギーを生むもの、使うもの、
まさに、「命とは何か」の命題を、私は作りながら探していく研究者のようなものでありたいと思っています。
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目に見えるものだけではない、うちにある美しさや愛らしさ、
外側にある空間や温度、
たいせつなのは、見えるものの内にある、または外をおおっている、見えないものをつくることなんだと、最近では考えています、そこに、ものと命との、ちがいがあるのかとも考えています。
さらなる思考はとどまらず、ですが。
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今年は、彫刻を作る以外にも、たくさん物語を書いたり、考えたり、彫刻の周りにあるものも、じっくり見つめていこうと思っています。

今年は、年齢的に厄年だそうで、厄除けしたほうがいいという意見をよくいただきますが、
私は、楽天主義なのでかもしれませんが、厄がおとずれるということは、なんとありがたいことなんだろう!とおもってしまいます。
だって、今まで好調で気がつけなかった自分の欠点や、ダメなところが、おそらくはっきりと失敗や苦しみになって現れるのだから、こんな成長できるチャンスの年は人生でそうそう、ありません。
死なないなら、どんな苦しい事も、除けずに受け止めてみたい、
失敗や苦しい事と向き合って、最後に笑いに変えるつよいちからを身につけて、克服し、
またひとまわり明るくなった自分になれるように、
と思っています。


名古屋ミュシカさんでの展示会もあと一週間、たくさんの方に、アラブの生きる動物たちを見に来て頂きたいと思っています!

最近はまたあたらしいカタチづくりにチャレンジ、彫刻刀やノミ以外にも、木を割ったり叩いたり、いろいろ木のあたらしい一面を、さがしていこうと思っています。

ともだちが、先日のミュシカさんでの木彫りワークショップの動画をつくってくれました!
よかったらみてくださいね。

by m_kirin30 | 2012-02-07 22:33 | 展示 | Trackback | Comments(4)

「ココにいるケモノ」展2

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寒い中、遠い中、ほんとうにたくさんの方が「ココにいるケモノ」展 世代工房に、足を運んでくださっていて、胸いっぱいのおもいです。
はじめて出会った方も、以前から仲良しなかたも、ほんとうにありがとうございます。

この展示会では、世代工房を運営なさっている西村先生ご一家の献身的なサポートによって実現し、私は日々ごはんに、お布団に、珈琲に、ささえていただいてこの一ヶ月を過ごしています。

ここ、世代工房で展示会をさせてもらうには、たくさんの意味がありました。
まず、私にデッサンを叩き込んでくれた西村先生、先生から教わった事を、たくさんのかたに知って欲しい、そして、そのアカデミックなデッサンの原点は、「日常に美を」という民芸にあるという事、そういった流れを伝えたくて、お家のかたすみにひっそりとある、すてきな工房、世代工房さんで展示をしたいと、強く私が思ったのでした。

日常のとなりに、すみっこに、あしもとに、ころがっているたくさんの美になろうとしているものたち、それを、ひとのちからで、美術にする、そんな事をおしえてくれた、先生。

わたしは、16才からの5年間、はじめての美術を、このアカデミックな先生に、教えて頂いた事をいまになって、とても感謝しています。

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美術家になるという事は、敏感に感動する力を持つという事、
感動力があれば、かんたんに美のカケラはみつかります。
さんぽのとちゅうの、愛らしい犬の表情や、
家で猫の見せる、なめらかな美しさや、そんなことを、つくり続けていけたらいいなと思っています。どんなに世界が動いても、ぶれないように、根の強い木のように。

たくさんのお客様が、彫刻にさわっていってくださいました。
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ハトムネのおきゃくさま、鳩のクブズと。
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月くん抱っこ、ガゼルのダマーニもうれしそう!
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イベントもいくつか行ないました。
詩人の三角みづ紀ちゃんとの詩と彫刻のライブ、
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友人アーティスト けもの によるケモノライブ!
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クリスマス、そして、あと2日、
ケモノ展の最後を、楽しもうとおもいます!
by m_kirin30 | 2011-12-24 10:40 | 展示 | Trackback | Comments(6)

「ココにいるケモノ」

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12/9日から、神奈川県大磯町の世代工房さんで、「ココにいるケモノ」展を開催しています。
初日にも関わらず、寒い中足を運んでくださったり、木彫りを連れて帰ってくださったり、本当にうれしく思っています。
たくさんの想いの詰まった、この「ココにいるケモノ」展。
どれから話そうかなと考えると、まずはじめに、この展示で伝えたい事を、お話しようと思います。


この展示は、去年の11月、一ヶ月UAEに滞在し、動物たちと暮らし、スケッチし、記憶して、日本へ帰ってから制作したこの一年の肖像画です。

ココにいるケモノ達は、はなももファミリーと呼ばれる、UAEに暮らすステキな夫婦が、家族として共に暮らしている動物たちの肖像をつくってほしいと思ってくださったところから始まったのです。

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滞在中、無数のスケッチを描き、写真でなく、三次元の記憶でつくるのが一番だと考え、今回はほぼスケッチのみを頼りに、彫刻達をつくりました。
せかいのどこかで、であうはずのなかった生き物たちと、出会える、
たいせつな家族の肖像が、つくれる、
こんなに私にとって、うれしい仕事はありません。

この展示会で、伝えたい事は、たったひとつ、
「美と共に生きる」、ということ。
ここにいる、彫刻になった動物たちは、別に特別な子ではなく、あるひとつの家族の、ある日常の、その日の肖像、なのです。
そんな家族の風景を、まったく遠くの日本で、「ココにいる」体験をしてもらうことで、
彫刻になる事で、はじめて気がつける美があるということ、
だれでも、美とともに暮らしている、ということ、
そんな日々のトクベツでない美が、一番うつくしいんだということを、
ケモノ達といっしょに、からだで感じて欲しいと思っています。

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ことばは、それほどいらないのかもしれません。
ただ、いままで行なってきた展示会のなかで、いちばん
あったかい展示にできたとおもっています。
お近くの方は、ぜひ、とおもっていたけれど、
いまは遠くても、来て欲しいとおもってしまう、それくらい、
たくさんの方に体験してほしい、温度のある空間になっています。

この動物たちののっかったじゅうたんの上で、ひとりでも多くの方が、
砂漠の真ん中にねころがったみたいに、自由であったかい気持ちになれればいいなと、
今、こころから願っています。

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ぜひ、ゆっくり時間を持って、遊びにいらしてくださいね。
ワークショップは、ほぼ定員となってしまいましたが、
23日にクリスマスのライブ、「ケモノハウス」は、まだ空席がありますので、
ご予約は必要ですが、動物たちの前で音楽を聴ける素敵な空間にしようとおもっているので、ぜひ遊びにきてくださいね!
けもの
by m_kirin30 | 2011-12-09 23:58 | 展示 | Trackback | Comments(9)

ありがとう

先日大阪のラマダホテルで、ボダイジュフェスタというアートの祭典が開催されました。
ものすごくたくさんの人が来てくれて、びっくりしたくらいでした。
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大阪の人だけじゃなく、山口や広島や、四国や京都や三重や、他県の方もほんとにたくさんきてくださって、新作シバちゃんをなでなでしてくださって、こころから嬉しかったです!
しかし、人見知りの私、はじめて会う人にはうまく話せず、終始スタッフの女の子達にまかせっきり、お話できなかった皆様、すみませんでした。
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うれしかったのは、
たくさんの人の笑顔と、触れてくれるということ。
彫刻のシバちゃんをなでたり、ナナちゃんをさりげなくなででくださったり、
笑顔とワンセットで、手が自然に動物たちにのびる。

美術品って、触ったらいけないのじゃないか。
ガラスケースの中に入って距離を感じながらながめるしかない彫刻に、たくさんであってきて、
大人は、いつしか頭で美術を眺めるようになってしまうことが多いです。

だけど、今回の展示で、くるひとくるひとが、ほんとに自然と、彫刻の動物たちに触れ、
笑顔になり、だっこしたり手のひらで感じたり、
小さな動かない動物たちのようにふれあってくれました。

ここにいるのは、ただのたったひとつづつのいのち。
そこには私の表現なんてものは全くなくて、シンプルに動物たちのそのままの姿がそこにいる。

そういう、めのまえの、いつもの、あたりまえのものが一番うつくしい。
そのことをただ伝えたい。
私は見えたものをそのままつくることだけに命を注ぎたい。
こころ閉ざしてしまった人でも、自然と手が伸びる彫刻があったなら、
あたらしい美術の形が、つくれるんじゃないかとおもっています。

いまが一番うつくしいんだということ。
いまが一番すてきな世界に生きているんだということ。
つらかったことも、すべて自分の物語のための大事な出来事だったんだということ。
どんな環境にある人でも、そのことを思い出せたら、
めのまえのふとしたもので、感動し、しあわせを感じることができる。

今苦しくても、こころつよく、がんばれるんじゃないか、
世界はこんなにうつくしいものであふれているんだから。
きれいごとだと言われるかもしれないけど、
私は世界はきれいごとだとおもっています。
きれいごとを支えている、たくさんのがんばりやのものたち。
そのどちらもリアルにつくれたらなと思っています。
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今回友達ができました。
以前からあこがれだった銅作家のハヤカワさんが、話しかけてくださったことや、
超自由なイラストレーター ヘロシナキャメラさん(シバちゃん横写真の方)に出会えたこと。
人見知りの私にとって、作家の友だちがふえることは、人生でも少ない出来事。
日本に帰って、最初のうれしい出来事でした。
来てくださった方々のなかには、死んでしまったニャンコのお話を私にしてくださった方もおられて、一緒になってうるうる。涙をこらえるのに必死でした。
みなさん、ほんとうに、ありがとうございます。
自分に任せてくださった仕事を、こころから大切に、
ひとつひとつ、作っていきたいと思っています。
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ヘトヘトでくたくたになるまで働いてくれたスタッフのみんなにも、心から感謝しています!
いい作品を作って恩返しがしたいな。
by m_kirin30 | 2010-12-15 00:43 | 展示 | Trackback | Comments(10)