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逆のもの

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誰もが見ているような目って、どんなものなんだろうとおもいます。

美術を始めたての頃は、自分だけの目を探さなければ!と、個性を信じて意気込んでいましたが、
私は奇抜なものや目を引くグロテスクなものもつくれず、
かといってコンセプトがつよくて、なんだかわからないかっこいいものもつくれず、
自分にできる事といったら、ふつうにあるものを、ふつうに作る事だけでした。

そういう美術に、ひかれていったのもあります。
ふつうに今あるものや、ふだん見慣れていて気にもとめないものが、彫刻や絵画になることで、きづかなかった美に気づいてドキッとする。
そんな瞬間がとても好きでした。

私は料理で言ったら家庭料理、
音楽で言ったら、みんなのうた、
そんなふつうの美術のせかいを、つきつめていきたいといつも思っていました。
そのうちに、人というかきねもなくなって、

虫と同じ目で
犬と同じ目で、
鳥と同じ目で、
そんなふうに世界をみられたら、しあわせですごいなと思うようになって、
そんな、みんなの美術、みたいなやわらかくてゆるい、彫刻が作れたらとおもいました。


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でも、想像以上に過酷なものでした。
やわらかいものをつくるには、きびしさをその形の内部に作らなければならなくて、
ゆるいものをつくるには、おそろしいくらいの緊張感を閉じ込めたものを作らないといけなくて、
命をつくるには、死をはらんだものをつくらなければ、生きてこなかったのです。

きっと、外にでてきたカタチと、まったく逆のものを、中に秘めていないと、
うわっつらだけでは、なにも伝わらないものしか、つくれないんだと、知りました。

やさしくゆるくいきているような、ナマケモノのその腕の中には、
人間なんてひねるつぶせるくらいの、たくましい筋肉が隠されていたり、
おっちょこちょいなダンゴムシでも、すさまじくすばやい丸まりをみせたり、
逆のものを強く持っていれば持っているほど、その特徴はうつくしく輝く。

普段元気で明るい人ほど、哀しい事を知っているように、
やさしい彫刻をつくるには、あらゆる痛みを知らないと、ほんものじゃない。
なので、最近は、つくりたいものと逆なものを、よく知るようにしています。
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夏が終わったと思ったらもう秋も終わりかけ、
今年がもう終わろうとしています。
いつでも、なにかに飢えていたいな、と、ケモノのようなこころで、
毎日彫刻にのめりこんでいます。
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12月に、神奈川県で、今作っている彫刻達を並べます。
会場:
大磯・世代工房
開館日:
2011年12月9日(金)・10(土)・11(日)
・16(金)・17(土)・18(日)
・23(金)・24(土)・25(日)
開館時間:
11:00~17:00
※9日~25日の期間中、上記以外の休館日に
  ご見学希望の方はinfo@sedaikobo.comまで
  お問い合わせ下さい。
かつて出会っては、失ってきた、ケモノのかたち。
海のむこう、めのまえにいた、ケモノのかたち。
めのまえにある、ここにいる、うつくしさを、感動を、
手紙のように、ライブのように、つたえたい。


UAE(アラブ首長国連邦)で出会った、たくさんの動物たち、
それにまつわる仲間達の彫刻を、大小あわせて約60点展示します。

大磯の、世代工房という恩師のアトリエです。

そして、関東では初の、デッサンと木彫りのワークショップや、恒例のいぬのえかきやさんもします。

木彫りワークショップ
2011/12/10(土) 13:00 - 16:00
定員15名 ※予約制 info@sedaikobo.com

デッサン教室
2011/12/11(日)
13:00 - 15:00 / 16:00 - 18:00
各回定員10名 ※予約制 info@sedaikobo.com

いぬのえかきやさん
2011/12/18(日)
10:00 - 17:00※予約制 info@sedaikobo.com

関東では、初となるサタデッサン教室です。
ゆるゆるとみんなで、デッサンや木彫りを、たのしみましょう!
はじめての方も、ぜひこの機会に、チャレンジしてみてくださいね!
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by m_kirin30 | 2011-10-15 10:19 | すてきなところ | Trackback | Comments(7)

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ことばがいらない風景があります。
それを、ともだちと、みるともっと、あふれるものがあります。

海を見た事のない動物たちを連れて、海を見に行ってきました。
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いい感覚を育てるには、いい風景をみろ。
昔そういわれたことがありました。私はこう思います。

いいものも、わるいものも、すきなのも、きらいなのも、よく見て、よく知ろう、と。
美しいものばかり見ていると、美しいものの中でのまたちいさな「差」がでてきます。
悪を知らないと、本当の正義が知れないように、
鈍い色を感じないと、鮮やかな色に気がつかないように、
あらゆるものは、コントラストでできていて、
すべてのものに
絶対値が必ずある。

大事なのは、自分の目で、自分の感覚で、
せかいのコントラストを感じる事なのかな、と最近思います。
その、コントラストを上手く使って生きていく事が、魅力的な人生の過ごし方なのかなと思います。

貧しさの中にあるぜいたくや、
苦しいのなかにある幸せのほうが、
大きく感動できるように、
絶対値の幅を広げよう、あらゆる経験をしていこう、と、思ったこの夏でした。

望んだままの暮らしでもないし、思うようにすすんでいるわけでもない、
それでも最上の、今の暮らしをかみしめて、
波のようにやってくる幸も不幸も偏らずに経験して、
振り幅を広げて、たくさんの感情を増やしていけたら、
いい彫刻がつくれるような、そんな気がしています。


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そのコントラストの真ん中に、自分中心点があって、その自分の根っこの部分を、源とするなら、
自分の源風景がどこにあるのか、
変わっていく世界の中で、広がり続ける感情の円の中で、
変わらない中心点を、針で押さえて生きていくような、芯のある生き方がしたいなと、
おもったこの夏でした。
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彫刻を撮影させて頂いたのは、三重県の伊勢志摩にある、農家民宿「源」さんです。
私の大好きな風景のひとつ。アラブで見た空と、少し似ています。

この写真の動物たちは、春にはアラブに旅立つのですが、
その前に、関東で一回、名古屋で一回、
展示会の機会をつくることができました。

12/9〜12/25日まで、神奈川県 大磯町 世代工房にて、

「ココにいるケモノ」展 はしもとみお個展 を、開催させて頂きます。

ワークショップや、クリスマス前のうたのライブなんかもあります。
どうぶつたちの彫刻の前で、「けもの」というバンドが唄を唄ってくれます!
詳しくはホームページにアップしておきました。

ワークショップやライブは、人数に限りがありますので、この機会にぜひ関東の方は遊びに来てくださいね!

うたをうたってくれる、「けもの」の動画はこちら。


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by m_kirin30 | 2011-09-15 12:53 | すてきなところ | Trackback | Comments(11)

つなぐ

農家民宿 源さんにテングザル君の彫刻を届けにいってきました。

そして天気に恵まれた二日目は、彫刻シバちゃんの撮影をさせていただきました。
オーナーさんが撮ってくれた写真はどれもほんとにすてきで、宝物の写真がまたたくさんできました。
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雨のあとだっだせいか、くもがもくもく、うみはあおく、
彫刻シバちゃんはふるさとに帰ってきたせいか、とても嬉しそうでした。
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おなじ顔、おなじ笑い方、彫刻で撮影、シバちゃんで撮影。
なんだかたのしくて不思議な時間が過ぎていきます。
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きれいだな〜と海をながめていると、、、
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一瞬のうちに波にさらわれるシバちゃん!
このあと彫刻シバちゃんはびしょぬれになってしまいました!
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海のほうをながめながら、たそがれるシバちゃん。

だけどほんとうの目的は、夜に待っています。
満月と海とシバちゃん。
さむさむ対策をしっかりして、満月の国府の浜へ!

そこには、30年間生きてきて見たことのない、うつくしい月と、海と、夜空と、時がありました。
どれくらいそこにいたのか分かりませんが、
ほんとうに美しいものや景色をみていると、ぜんぶの感覚がそっちにいくからか、
寒さもわすれ、時も忘れ、
しばらくすると自分も忘れて、
ただ、生きている今に、感動してふるえているいきもの。
そんなものになれる気がしました。
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この感覚を忘れないでいよう。
こころが目の前にある全部のものとつながって、
すべてにやさしくなれるひととき。
海と空と月とつながって、
うつくしい景色の一部に自分もとけあえたら、
もっとこのせかいと仲良く生きていける。
そんな風に思いました。
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月が夜空高くあがり、
夜はこうして過ぎていきました。
また見に行きたいな。
とってもきれいでしずかな、さむいよるの話です。

「そらとうみの間に、何がある?」
このお宿のパンフレットに書いてありました。
ほんの少しだけ、そのこたえ、
分かったような気がした、夜でした。
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by m_kirin30 | 2010-12-24 12:00 | すてきなところ | Trackback | Comments(6)

やあ、またね

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一ヶ月のアラブでの滞在も終わり、昨日日本へ着きました。
心底毎日が楽しかったので、帰るのがさみしくて仕方ありませんでした。
動物たちを間近で観察できる日々、ふれあう暮らし、はなももさん一家との暮らし。
アラブの国について全く知らなかった私ですが、砂漠のうつくしさ、昔ながらの知恵や、動物たちとの暮らし、人々のあたたかさ、ひとつひとつに触れるたび、アラブという国が大好きになって、
日本しか知らなかった私は、ほんとに一度日本を出てみてよかったと、いま思っています。
日本のことも、もっと好きになれたし。
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この仕事のことも、いままで以上にすきになれた気がします。
彫刻制作は、まさに葛藤。
見たことのないリアリティを探すというのは、あてのない、はてしない、答えのでないかもしれない数式の証明のようなものです。
だれにも相談できず、たったひとりで決断して行かなければすすみません。

だけどいまは、違います。
私の中に、たくさんの動物たちが住んでいる。
出会った動物たちが、みんな居座っている。
リアルに手触りやにおいのひとつひとつまで、思い出すことができる。
こういう記憶力が、さいきんは備わってきて、
私の体の中に大牧場があって、みんなのんびりその中で住んでいる。
「おーい!さんちゃーん」
呼べばさんちゃんが出てきます。(手前の白黒のネコ)
そんな感覚を感じています。

リアルな体験は、リアルな記憶をつくる。
体の中の大牧場を、四次元ポケットのようにひろげて、
たくさんの木々を育て、みんな元気に生きてくれるように、こころと感覚をゆたかに茂らせておきたい、そう思います。
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11匹の猫、旅に出るのが日本ではふつうですが、
私が居る一ヶ月は11匹の猫は旅に出ませんでした。
「たいへんだけど、いてほしい」という奥様のやさしいこころに、胸がいっぱいになりました。
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奥様の撮ってくれた写真には、ただの写真でなく、リアルな感情と愛情がこもっていて、どんな写真集より、私には宝物の写真になりました。
日本で、ガゼルたちの彫刻、アラブの動物たちと、奥様の写真、アラブでの暮らしの記録などの、展示会が開けたらと考えています。
自分たちだけで楽しむのはもったいない、たくさんの人に伝えたい、そうおもいます。

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「やあ!」ってしてるみたいな木。
私はこの木が大好きでした。
砂漠をちょっと歩くとあって、いつも「やあ、」って挨拶してくれていた。
昼間の散歩では、木陰をつくって、太陽から守ってくれた。
夜の散歩では、「こっちだよ、」と道案内をしてくれた。
いつもいつも、この木の横を通るのが楽しみでした。
なのに、帰る日。
お別れをいいにいこうと、動物たちみんなにお別れを言ったあと、この木に向かって歩いていくと、何やら様子が違います。
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「またね」
と言っていました。
そらの色も木も空気も砂のあったかさも全部
さびしくて、しずかな別れの色に染まり、いつもの枝の手が、風でおもいっきり強くふられて、
「バイバーイ!」
って、手を振っていました!
私は、涙が込み上げ、気がついたら私も、この木に向かって、大きく手を振っていました。
「またね、またね!」
近くにいけずに、とおくから、ちぎれるくらいに手を振ってくれた木。

砂漠の真ん中にひとりの友だちが住んでいる。
私にはそんな感覚を感じて仕方ありません。

けしきも、木々も、そらも、
いつも何かを話している。
こころで見ているんだ。
目じゃなくて、この景色がうつくしいのは、こころでかんじているから。
自分の気持ちが、見えている。世界は、おおきな自分自身の中身なのかも知れません。
いつもいつも、世界がきれいに見えるためには、こころがきれいじゃないと、いけない。
風景の声を聞けるように耳を澄まして、感覚を研ぎすませて、
動物のように、生きて行きたいなと思いました。

今週末は大阪でボダイジュフェスタというイベントに参加します。
そのあとは、彫刻の毎日。2011年は、彫刻を作って駆け抜け、
2012年にまた、砂漠に来ようと思っています。
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by m_kirin30 | 2010-12-08 15:02 | すてきなところ | Trackback | Comments(17)

めのまえに

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動物たちとようやく仲良くなれて来たところで、アラブでの滞在もあとすこしになってしまいました。
スケッチはたくさんたまりましたが、それ以上に、
あふれてこぼれるくらいの動物たちとの思い出が、私の中のリアルなデッサン。
この目で記憶したことが、一番信用できる。
経験値、というのがあらゆる知識の上を行くのだと、とても感じました。

生き物たちは、今を必死で生きていて、今にすべての情熱を捧げ、今に全神経を研ぎすます。
いのちの、緊張感のあるあたたかさ、
張りつめた空気の中での共存、
そこに神聖な、昔ながらの地球の、人と生き物が共に暮らして来た歴史が見え隠れして、
動物園でしか見たことのなかった彼らのほんとうの姿を、めのまえに感じた気がしました。
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どう生きるか、なんて考えるのは人間だけで、
選択肢がいっぱいあるようで、知識が多すぎて、
人は悩み深い生き物になってしまいました。

だけど生き物たちは、世界のすべてがめのまえにある。
世界のおおきさについて、考える必要もなく、
他人の暮らしなんて気にすることもなく、
めのまえにしあわせがあることを知っている。
半径一キロの中にもしあわせや哀しみや物語がちゃんとある。

そんなことを感じるたび、いままで何をあくせく考えて来たんだろうと、
頭がまた、やわらかくぐにゃぐにゃになって、
日本へ帰ったら、少し違う生活ができるんじゃないか、と考えています。
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わたしも、やっぱり動物たちに囲まれて、生きて行きたいな。
庭にいつも、猫やアヒルが歩いていたり、
犬がいつも散歩を待っていたり、
ロバやヤギなんかもいたりしたら、
毎日がワンダーランド!だと、思います。
夢を実現できるまで、夢に近づく努力をしよう。
と、こころに決めました。
そんなリアルな夢をあたえてくれたはなももさん一家に、心からお礼を言いたいです。

スケッチブックを砂漠で撮影してみました。
最後の方がこちらで描いたスケッチです。
農家民宿 源のシバちゃんからスタート。



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by m_kirin30 | 2010-12-01 12:09 | すてきなところ | Trackback | Comments(12)

こころでかんじる

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星の王子様もキツネも砂漠で未だ見つかっていませんが、
目の前の動物たちに、いま本当にたくさんのことを教えてもらっています。

キツネがいう、「かんじんなことは、目に見えない」
あの言葉の本当の意味を、今回の経験でようやく気づけたのかもしれません。

この一週間はガゼルたちの観察にほとんどを費やしました。
ガゼルは砂漠にも野生でたくさんいる、目の前のこのこも、目だけで見たら、ふつうのガゼルの赤ちゃんにしか見ることができません。
だけどこのスケッチしたこの子は、アマール。
すこし小さく生まれ、お母さんや家族に囲まれてすくすくここで育った、
世界でたったひとりのたいせつなこの子。
他のどんなにそっくりな姿形をしているガゼルも、この子の代わりは決してできない。

人に愛されて、守られて、大切に育ったアマール。
わたしがつくりたいのは、アマールそのものなんです。
見た目だけそっくりでも、いい彫刻にはならない。
目に見えないこの子の歴史やきおく、性格やこころ、感情やにおいや、手触りや温度。
まるごとリアルに彫り込んで、スクッと立ったときはじめて、
彫刻が生き物に変わる瞬間がくるのだと思います。

それはわたしの力量ではなく、ただ、自分は目の前の美しいこの子のぜんぶを、
すくってこぼさない器になるだけです。
わたしは目の前からもらった美のすべてを、そのまま木に伝えるだけ。
だからいまはとにかく五感ですべての感動を記憶しておく、それだけです。
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世界をもっとよくみないといけないなと思います。
みる、というのは、目を使ってみるだけじゃだめなんです。
手で触ったり、においを感じたり、音を聞いたり、かくされた物語を探したり、
みて、こころとからだが働いてないと、みたことになりません。

めのまえが美しく見えるのは、
自然の構造と、自分の目と、自分のこころが、
正しく働いているからだと思います。
どれかがひとつでも病んでいると、世界は美しさを失ってしまいます。
まいにち、自分に問いただします。
「今日は、せかいは、きれいにみえる?」
私の仕事の前のひとつの確認です。
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答えはいつもかんたんです。

空を見上げればいい。
木々にさわったり、動物たちに挨拶したり、
世界のどんなところにいても、小さな自然のきれいさは、
フルーツや野菜のひとつにだって、きっとあります。
世界をきれいに感じることができたなら、
きっとその日のこころもきれいにすきとおって、じゆうでやわらかくいられるでしょう。
美術を仕事にする人間にとって、いちばんたいせつな「かんじるこころ」
それを、持ち続けることができたらどれだけでも進めるんだと思います。
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貴重な体験の中で、そんなことをたくさん気づかせてもらって、
滞在させて頂いているここの奥様とご主人様に、感謝してもしきれないありがとうの思いでいっぱいです。生きていて、こんなに充実した毎日が送れるなんて。
滞在期間もあとすこしになってきましたが、最後の日までしっかりと観察を続けようと思います。
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by m_kirin30 | 2010-11-25 02:17 | すてきなところ | Trackback | Comments(10)

砂漠の真ん中で

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海外にはじめてきた私は、日本をいま外側から感じています。
ちょうど絵を描く時も、輪郭を外から決める時があるように。

アラブの砂漠の真ん中で、はるかかなたにオマーンの山々が見える、視界をさえぎるものはなく、みわたすかぎりの砂がただ、ひろがっているだけ。
はじめてきた外国が、こんなにすてきな人や動物たちとの出会いであふれているのは、本当に幸運なことだったと、心底思います。

いまをちゃんと生きるということ。
それは、わたしにとっては、いまをちゃんと描くということ。
いまを、ちゃんと刻むということ。
それがわたしにとって、いちばん自由でいちばんいい人生なんだと、
こころからそう思います。

無名のわたしだけど今の仕事が心底好きです。
人と出会い、人をつなぐ動物たちと出会い、動物たちとふれあい、一緒に作り上げて行く、美術。
言葉が通じない異国でも、学をもたない文字の書けない人々でも、
何も知らない小さな子供達でも、わかりあえるいきものたちの美しさとあいらしさ。
それをつくるためなら、どんなものでも捨てよう、ほしいものは、ただ、目の前にいる動物たちを作れる時間、それだけです。

きっと人って、「時」以上に価値のあるものなんてあるのかなあ、
いまじぶんの細胞にどんな記憶を残したいか。
それだけだとおもいます。
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砂漠の真ん中で、動物たちと心行くまで遊んで、絵をかいて、彫刻をして、一日が過ぎる。
わたしの10年前のぞんでいた仕事に対する夢が、かなった、その先は、果てしない鍛錬の道。
どこまでも進んで行けたらいいな、
だれもみたことのないリアルな彫刻を、
この手で作れたらいいな。
そう思います。
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写真がいつもよりどれも素敵なのは、
いまお世話になっているおうちの奥様が、ぜんぶ撮ってくれたものだからです。
たからものの写真がたくさん増えて、
あっというまに2週間が過ぎて行きました。
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by m_kirin30 | 2010-11-19 01:26 | すてきなところ | Trackback | Comments(41)

ものづくり。

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UAEにきて一週間、あまりに貴重な毎日に、かみしめてもかみしめても、足りないくらい、の体験をさせて頂いています。
野生動物たち、飼っているラクダとの生活や知恵、
砂漠の足跡の正体や、毎日必ず昇る太陽。
日本という国から、出たことのなかった私には、あまりに新鮮で、日々、言葉を失っています。
野生動物のガゼルが、自分のあしもとまできた時の感動は、今まで体験したことないものでした。
こころとこころがふれあう。
人というカタガキを捨てて、ひとつのいきものとして、こころを静かにする。
毎日、動物たちを前に自然とそんな事を学んでいます。
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砂漠の真ん中で、朝日を眺められるしあわせ。
砂のなかの、あたたかい砂の部分に手を入れて、大地のあたたかさを感じたり、
夜明け前の虹色の空や、月明かりの砂漠。

「感動」ということが、
どれほどもの作りにとって大切な事なのだろう。
おそらくそのエネルギーがなければ、
何一つ作れない。
だけど砂漠の民でも、朝日に足をとめて見ない人もいるだろう。
日本でも同じ、美しい木々や空があっても、何も感じない人もいる。

どこへいたって、何をしてたって、
こころをやわらかくしておけば、感動はやってくる。
本物の感動は、お金のいらないものの中にある。
あたりまえにあるものにこそ感動できるからだづくりができたら、
それがものづくりのいちばん大切な事なのだと、
あらためて気がつきました。
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奥様が撮ってくれた写真、わたしのたからものです。

理想の暮らしをまのあたりにするなか、
わたしもいつか、動物たちに囲まれて、自然の中でくらせたらいいなと、
心から思っています。
自分の仕事にとっていちばんいい生活を、しなければだめだと思いました。
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まだ一週間ですが、とても早く感じます。
もっともっと一日を充実させて、めいっぱい学んでかえって、いい彫刻を作る力にしたいです。
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当面の目標はガゼルたちをとにかく観察することです。
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by m_kirin30 | 2010-11-13 12:15 | すてきなところ | Trackback | Comments(4)

みつける

アラブ首長国連邦の、アブダビのアルアインという町にきています。
「うちにいる動物たちの彫刻をつくってほしい」と、一本のメールが来てから約半年。
「どのような動物ですか?」
「ガゼルと」
「ええ〜!ガゼル!」
見たこともない野生動物、いい彫刻が彫れるか、不安になっていたところ、とりあえず、一ヶ月ホームステイして、動物たちと仲良くなって実際に観察してもらったらどうか、というお返事をもらいました。海外に行くのもはじめてな私ですが、動物たちに呼ばれたなら、どこへでも行く!と思い、
今回の旅が始まっています。
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毎日、不思議なことや発見でいっぱいです。
鳩が頭に乗ってポーズをとったり、ラクダとほっぺたをすりあわせたり、
お祈りの時間があってお祈りが聞こえたり、
文化の違う中で、動物たちとのふれあい方も違う、
一秒一秒が貴重な体験をさせて頂いています。
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ラクダたちは、ラクダレースに出したり、
ラクダミルクをとったり、
ラクダ美人コンテストに出場させるおうちもあるそうです。」
スケッチをのんびり見ていたかと思うと、いきなりパクリ!
スケッチを危うく食べられるところでした。
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ここでは何もかもが新鮮で、毎日発見があり、
ガゼルたちは、ほとんど野生動物なので、私に寄って来たりは決してしません。
それが、すごく心地よかったです。
本来動物とは、探りあいながら、徐々に距離を縮めて行き、
ひたすら待って、いい瞬間をスケッチする。
おそらく彫刻にするのもとても難しく、たくさんのスケッチと観察が必要ですが、
難しい事にチャレンジできることが嬉しくて仕方ありません。
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だけど、
かんじんなのは、「みつけるこころ」なんだなとおもいます。
本当は日本にいて公園で変な虫を見つけたって、
一羽のツバメを観察したって、犬とふれあったって、
自分にあふれる好奇心と新鮮な発見力があれば、どこだって何をしてたって、感動できる。
そのことに、日々何となくいきていると、忘れてしまったりします。
遠くアラブに来て、砂漠に出会い、
私はそんな大事なことに気づきました。

そのためにも、時には旅は必要なんだなと、思いました。
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描きたい動物が多すぎて、見つけたいものが多すぎて、
一日がとてもはやく過ぎて行きます。
一ヶ月、貴重な時間を、かみしめながら過ごして行きたいと思っています。

今回、ホームステイさせて頂いているのは、はなももの別館というブログをされている、UAEのお宅です。
いい彫刻が作れたらいいな、
こころからそう思っています。
デッサン力を何倍にも磨いて帰ろうと思います!
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by m_kirin30 | 2010-11-10 17:19 | すてきなところ | Trackback | Comments(11)

三角と3日

伊勢志摩にある農家民宿 源さんにシバちゃんを彫りに一人合宿させて頂きました。
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まずは車に道具、木、食料などをつめこんで、大好きなドライブを楽しみながら伊勢志摩まで。
着いたと同時に制作を始めさせてもらいました。
シバちゃんとの出会いは2年前。
何とも性格のいい、そしてマイペースで、あたたかい、黒い柴犬。
そのシバちゃんに心を奪われた私は、それから2年越しに、シバちゃんの彫刻を作る時間を作ることができました。
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シバちゃんのゆるい空気の波に乗るようにまったりとした制作。
それとは裏腹に、
木からシバちゃんまでの果てしない距離。
目の前のこんなに近くにシバちゃんはいるのに、
木と向き合うと、途端にとおくとおく、手の届かないところにシバちゃんがいるような、
なんとも切ないもどかしい気持ちになります。
彫刻は、長い長い片思いの旅のようです。

私は犬を彫る時、飼い主さんの昔話を聞くのがすきです。
見えたものそのままだけを写し取ったんでは、型取りのようにしかならない。

14才。
その、人から見たら短くて尊い今までのシバちゃんの歴史の中に、
どれほど多くの家族との思い出が刻まれているだろう。
私は、それこそ、それを彫りたい。
この目の前にいるシバちゃんが美しくかわいいのは、愛された歴史があるからだと感じます。
その過去を彫れなければいい彫刻なんてできない。
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彫刻は、いのちの歴史を刻むこと。
昔話も、リアリティのためのひとつであって、
どんなかすかな手がかりでも欲しい。
シバちゃんを知るための、すべてのかけらを得なければ。
飼い主さんには到底およばないけど、
それでも近づきたい、そう思います。
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デッサンを重ね、
シバちゃんと言葉でなく語り合う。
こういう制作が一番したい事で、これさえできれば他に何も望まない、
それくらい、動物と木と自分と三角に向かい合える時間は私にとっては貴重です。
その三角の声をまんべんなく聞いて、
三角のリズムか完全にとれた時に、
ほんとうにリアルな仕事ができるような気がします。
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一枚の水彩画と、シバちゃんの彫刻、完成はしなかったけど、いい、制作ができました。
たった3日でも、
純粋に美術と動物と素材と向き合えた、
こんな貴重な時間をすごさせてくださった民宿のオーナーさん、ご飯を差し入れてくださったお母さん、おとうさんに、そして3日間ベタベタさわる私につきあってくれたシバちゃんに、
こころからお礼を言いたいです。
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シバちゃん、また彫らせてね。
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by m_kirin30 | 2010-10-07 23:24 | すてきなところ | Trackback | Comments(2)