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アカデミアナッツ

アカデミアナッツと象鯨美術学院。
この何ともかわいいネーミングをしたのは、私に美術の原点を教えてくれた先生です。
この間神奈川県の先生のアトリエにお邪魔しました。
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絵になる、という言葉がありますが、ここではどのトリミングでも、どの一コマでも、どの瞬間でも素敵な風景でした。
密柑山とよばれるアトリエは、小さな山のてっぺんにあります。
あんまりにも理想的な風景に、料理人あさちゃんと、思わず、「いいな〜!いいな〜!」と、はしゃぎました。
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先生と出会ったのは美術予備校ですが、その場所とは裏腹に、
「美術とは楽しんで生きるための方法を見つける事!」
という原点を、たくさん教えてもらいました。
おかげでみんな、ものつくりが大好きで、受験勉強をしているというより、明らかに造形を楽しんでいました。
私が今、こうして一枚のデッサンを楽しめるのも、彫刻にのめり込めるのも、この時間のおかげです。
絵を描くことが心底楽しくなかったら、厳しい美術の世界を10年も続けて来れませんでした。

いつか私も、こういう造形美術の楽しめるアトリエを持って、子供達や美術が好きな人たちに、デッサンの楽しさを伝えられたらな〜と思っていました。

アトリエツラナッテで、小さな造形教室を開ける事が、今、楽しみでなりません。
なんと料理人あさちゃんも、デッサンを勉強したいと言ってくれています!

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私の家の近くには、きれいな海も山もありませんが、犬やネコ、そら、町並み、ペンとスケッチブック一つあれば、海外を旅してるような感覚で楽しむ事もできます。
いつか、大好きな風景を手に入れられる日までは、今いる場所で楽しんで制作していこう、と思いました。
いつか、山にぽつん、と隠れたレストランを開こうねと、あさちゃんと夢を語りながら楽しい時間は流れていきました。

先生の家を後にし、胸いっぱいで愛知をスルーして大阪へ、デッサンの欲求はつきず、
大阪のわんこ、キキちゃんをドローイング&デッサンさせてもらいました。

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年始から、一ヶ月、色々楽しんだので、長く感じられます。
去年より、いい制作ができるように感覚をフルに使って毎日過ごしていこうと思います。

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by m_kirin30 | 2009-01-31 16:33 | すてきなところ | Trackback | Comments(2)

デッサン

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最近よくデッサンをします。
新たなモデル、リンゴちゃんを彫刻するためのデッサンですが、改めて、一枚のデッサンの観察の価値に気がつきます。
1000枚の写真より、一枚のデッサンが、彫刻するときに助けてくれます。
デッサンは、自分が探った形の足跡のようなものなので、触るような感覚がよみがえってきます。眼で触れるという感覚でしょうか。
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デッサンをするとき、出だしは、クロッキー脳を使います。
クロッキー脳とは、全体を視野に入れて、天と地と空間とを丸ごととらえるような感覚ですが、恐ろしい程緊張します。
普段はめちゃめちゃ寒がりな私ですが、なぜかデッサンや制作をしているときは、寒さを全く感じず、おなかもすかず、自分の体が勝手に動くような感覚になります。
集中が切れたとき、手が氷のように冷たくなっている事がよくあります。
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この前愛知県美術館に「アンドリューワイエス展」を見に行きました。
展示は、ほとんど見に行かない出不精な私ですが、ワイエスは8年前に岐阜県美で見て以来デッサンで尊敬する存在の一人です。
そのデッサンの緊張感に、刺されたような感覚になりました。
ワイエスも、真冬の風景を、凍てつく寒さの中、描きたいものを描いていたんだな、と思いました。
いい展示を見ることができました。

デッサンは、緊張感です。
きっとそれは、自然界がすごい緊張感の中で、すごいバランスで、できているので、デッサンも自然を描くと、その絶対的なバランスがぎりぎりのところで緊張するからだと思います。

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自然は、びっくりする程美しいです。
特別なモデルだからというのでなく、きっと、皆さんの飼ってる犬やネコ達、野良猫、小鳥、子供達、おじいさんおばあさん、風景、空、木、全てが、びっくりする程絵になります。
デッサンは、そんなびっくりを体験できる私のとても楽しい時間です。
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リンゴちゃんは以前彫らせてもらったカブ君家のおねえさんで、とっても優しい女の子です。
二人そろって彫刻になって並べて、家族の風景がつくれるといいなと思っています。
リンゴちゃんの彫刻完成予定は三月で、アトリエのオープンにはお店にいると思いますので、楽しみにしててくださいね!
by m_kirin30 | 2009-01-21 18:46 | 日常 | Trackback | Comments(6)

彫刻

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私は、もともと美術を志そうと思ったときは、絵が好きだったからです。
単純に、絵を描いているとき、時間というものを忘れました。
音楽もずっとお兄ちゃんといっしょにやってきましたが、結局、芸術の世界が好きでした。高校二年生のときに、美術か音楽か、どっちかにしないと、というときに、音楽だと、三歳のときからやってきたので、自信もありました。
だけど、自信があった分、先も見えているような気がしました。
ある程度できてしまう分、音楽だと楽に結果を手に入れてしまうような気がして、怖くなりました。
全く未知の、美術の世界。はたして、好きというだけで、どこまでやっていくことができるか、試してみたくもありました。
それに、音楽の夢は、お兄ちゃんが追いかけてくれていたので、それで満足でした。

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美術の世界は、想像を遥かに超えて厳しいものでした。
高校二年生のとき、予備校の先生のすすめで、デザイン科に入り、それから二年間、デザインの意味も知らないまま、ひたすらにデッサンの勉強をしました。
デザインする、というより、単純にものを作る事が楽しく、デッサンする事にやりがいを感じていたので、デザイン科としての原点を無視していたので、大学も合格しなくて当然でした。
そのころ、一冊の本に出会いました。

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彫刻家ジャコメッティが、矢内原をモデルに肖像画をかくというただそれだけの本ですが、そこには彫刻家の限りない探求と、嘘偽りのないデッサンとの格闘が400ページにぎっしり詰まっていました。
美術の事を何も知らなかった私が、はじめて、自分のやりたい美術は、彫刻なんだ、と気づいた瞬間でした。
しかし当時は関西には彫刻を教えてくれる予備校はなく、ましてや東京で浪人するなんていう贅沢もできなかった私は、立体ができるという事と、発想ではなくデッサン力で勝負ができるという事で、工芸科に移りました。

けれども結局、自分をだましていたように思います。
本当にやりたい事は、デッサンであって、やっぱり工芸の世界の事を全く知りませんでした。工芸の原点を知らずに工芸科を受験して合格しないのは当然です。
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大学に入ってから、はじめて関西を出て、彫刻を存分に勉強できる環境になり、私は水を得た魚のようにようやくデッサンの勉強だけに集中することができました。

彫刻、という世界に取り付かれたのも、結局、デッサンの極地だからです。
三次元で、丸ごとをとらえることができれば、究極だと今でも考えています。
目の前の動物や植物、自然を作品にしたいのも、目の前の美しいものを、丸ごと残したい、という思いだけです。
その子が生きていた時代や、空間や、その子の性格や、生命力、全てをとらえる彫刻を残していく事が仕事です。

もしかしたら、もう私のやってる仕事は美術ではないのかもしれません。
現代美術では、きっと、こんなアカデミックな事をしている作家はいないでしょう。
私のしている仕事は、ただの、デッサン、それだけですが、それでも仕事をつづけてこられた事が、本当に今はうれしいです。

アトリエツラナッテでは、デッサンを毎日続けたいと考えています。
みなさん、わんこやにゃんこ、たくさんの動物たちや子供や植物、何でも誰でもつれてきてくださいね。
私は、毎日デッサンの勉強をしていきたいので、モデルさんは大歓迎です。


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ツラナッテのドアノブのデザイン
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子供さんには動物プレートなんかも、企画中です!
アトリエのオープンも、三ヶ月と迫ってきました。
彫刻のレストラン、楽しみにしててくださいね。

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by m_kirin30 | 2009-01-11 00:02 | 日常 | Trackback | Comments(6)

ハッピーニューイヤー!

 この季節、わずか一週間でクリスマスからお正月に、おそろしく衣替えされるレストランやデパートを見るたび、大学の頃の年末年始にデパートなどの飾りをひたすら作るバイトを思い出します。
 あれから五年、お正月はいつも干支などを作る仕事などで慌ただしいですが、新年の始めに仕事があるのは、この不景気の中本当にありがたい事なんだなあと感じます。
美術作品は、社会にとても左右されやすいですから、時に宝物のように、時にいらないもののように、扱われます。
 生前はパンを食べるお金にも苦労したゴッホや、40歳まで全く評価されなかったロダンも、100年以上前にどんな年を迎えていたのだろうと考えます。

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そして彼らが、いま、自分の作品が自分の理想以上に評価されている現状を見て、どう思うのか、生前評価されなかった作家が、美術市場最高値でオークションで落札されるニュースなんかを見るたび、いつもそんな事を考えてしまいます。
きっとでも、本当の作家は、きっと生きて作品さえ作れれば、それ以上は望まないのだなと感じます。
今年も元気で、作りたいものが作れる。
それが美術作家にとっては最上級の贅沢なんだと思います。
だからゴッホも、はたから見ていたら貧乏でかわいそうな年越しに見えていても、もし一枚の描きかけの油絵があって、絵の具が少しあって、描きたいモチーフが目の前にあったら、それはゴッホが一番望んでいた理想の状態だったのでしょう。
そんなふうに、たまに過去の偉人達の生活を想像してみたりします。

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今年は、鮮度を大切にがんばって行こうと思っています。
生き物を作るという意味でも鮮度は大事ですが、なにより毎日を、鮮明に感じながら作って行きたいと思っています。
一枚のデッサンを描くときでも鮮度はものすごく大切で、鮮度はすべての技術の上を行きます。
初心に返れ!という言葉は、本物ですね(^^)

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気合い満々で新年早々つくっているのは
アトリエツラナッテのトイレのオブジェ(^^)
トイレにはかなりのこだわりがある私たちと、それをなぜか理解してくれる建築士ヒカゲさん。このカップルの物語がどうなるのかは、またお店で明らかになります。
ことしも、よろしくおねがいします!
by m_kirin30 | 2009-01-03 00:03 | 日常 | Trackback | Comments(6)