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民芸その2

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「有名は無名に勝てない」
と言ったのは、柳宗悦さんですが、この言葉の意味を美術をやればやる程思い知らされることになります。名が先に立つと作品は正しい評価を受ける事も難しくなってきます。
何が正しいのかさえ分からないところに立たされたりもします。

かといって無名で彫刻を続けるのは至難の業で、おおよそ現代では生活が成り立たずに彫刻自体を手放すことになりかねません。
だけど本当にそうなのか、最近は無名でも続けていけるんだと感じています。

すべてが美術をとりまく既成概念だったのかもしれません。

スポーツは、勝ちたい、というのは当たり前の事です。
料理であれば、おいしいものが作りたい、だとしたら
美術は、有名になりたい、というのは間違っています。
美術は、美しいものが作りたい、というところへ向かうのが自然です。

なぜか音楽や美術は、有名であればある程すばらしい、というような風が吹いていますが、いいものが作りたい、という事であれば、どんな生活の中からでも生まれる可能性はあります。
ものの真実の美をみつけ、名にかかわらずいいものを評価した日本の民芸運動に、とても共感するこのごろです。

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正しい仕事をして、求められている仕事をこなし、今できる最高の仕事をし、技術を日々向上させる、もはや職人に近い仕事ですが、かつて造形大学で教えてくれた先生も、
彫刻とは、職人仕事だ。と言ってくれました。
アートや芸術は、天性の感や天才的なものから来ると思われがちですが、本当にすごいものは、限りない汗と努力の結晶だったりします。
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日本人の職人魂はきっと日本人に与えられた才能なのかも知れません。
「ひとつの才能を磨けば、いずれは多くの才能が与えられる」
これも職人のことばですが、日々の努力と汗がいいもの作りにつながるんだなという事を、改めて最近感じるようになりました。

無名の小さな彫刻ですが、リアルで深く彫り込んでいく仕事を続けていけたらいいなと思っています。

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来年あたりにまたアズキムシ(大学の頃やっていた自然派彫刻の仲間です)のみんなに声をかけて、古民家や古い小学校なんかを借りて自然彫刻展をやりたいな〜と思ってます。
新作も続々がんばっていきたいと思っています。
by m_kirin30 | 2009-08-24 00:11 | 日常 | Trackback | Comments(4)

民芸生活

民芸と聞くとアートの世界とは現代でかけ離れてしまっていますが、本来古代から美術は特別なものでなく民衆とともにあったものです。かつては半農半芸術で、宮沢賢治が生きたように縄文も、弥生ももの作りに日本人は励んでいました。
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いつの間にか美術は多様化してきました。
あるものでは飽き足らず、自然を汚してまで人を楽しませる美術に変わってきました。
私が木という素材を選んだのは機械の力をほとんど借りずに日本でとれる材料で無理なく自然を汚さずにできると思ったからですが、もちろん昔は石も、鉄も、陶も、土も、火の力だけを借りて動物としての人の手だけで作っていました。
いつ頃から、自然の反対語は人工になったのでしょうか。
私は不思議でなりません。
人だって自然の産物であるはずです。
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彫刻とはなにか、どうあるべきか、頭が堅いので常に考えています。
二十歳のとき、二浪して受験に失敗したとき、私は京都に弟子入りの修行生活に入りました。
朝五時に起きて粘土の菊練りを一時間、ジョギングして3キロ先の神社にお参り、ご飯のしたく、下働き、畑の世話、すべてが理にかなった生活でした。
そんな頃出逢ったのが、民芸です。
河井寛次郎の陶や円空や木喰の彫刻、志功さんの版画、日本の民芸のすばらしさを肌で感じました。
生活の中からぽっと生まれてくる気取らない「美」
そんな世界に私も行けたら、と心から思いました。
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今、デッサンをアトリエでみんなでするとき、気取らない「美」が近くにあります。
身近なものを題材にすればする程、その世界に近づけているような気がします。
現代アートとはほど遠い世界ですが、現代でも民芸運動をしていきたいと思っています。
いつか少しでも分かってくれる仲間が集まってくるといいなと思っています。
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目標があくまで自然にある以上、道を間違える事はないのかなと感じます。
ゆっくりですが、いつか、人が見た事の無いリアリティに進んでいけるといいな、と日々デッサンに励んでいこうと思っています。
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by m_kirin30 | 2009-08-06 23:39 | 日常 | Trackback | Comments(2)