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原点その2

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東京出張で象鯨美術学院で壁画を描いた後、長期取り組んでいた小児科のカウンターに置く動物彫刻の仕上げを、神奈川県の本多絵美子ちゃんのアトリエで行ってきました。
本多さんにはこの中の2体、作ってもらいました。
分かるひとはすごい!
この仕事をきっかけに、東京造形大学時代に作った、自然彫刻の集まった展示
「小豆蟲(アズキムシ)」の活動を再開することになりました。
アズキムシは、 「アズキのように、小さな蟲の、底力」が発足のもととなり、大学3年生のときに本多さんと立ち上げたプロジェクトです。
難解で複雑な美術が流行のこのごろ、二人とも、そんな美術に疑問を感じていました。
日本の町中に、裸婦は必要なのかどうか。
人間ばかりをモチーフにする美術はどうなのか。
自分の苦しい、や、つらい、を伝える美術はどうなのだろうか。
二人でいろんな事を話し合い、美術は、自然の美しさをひとに伝えて行くためにあるもの、という答えに行き着き、自然から学んでいるという感謝を込めて、なるべく天然の素材を使い、もういちど太古に帰ろう、という所にいきました。
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つくるなら、たのしいものをつくりたい。
この思いに当時の造形大学ではうれしいことにたくさんの友達が共感してくれました。
そうして大学生活後半は、このアズキムシの活動に二人で取り組み、約20人前後の仲間達が毎年、この展示会に協力してくれました。

この展示が、来年度、復活することになりました。
メンバーからも続々参加の声をいただいて、とてもうれしく思っています!

ああ、わかる!という彫刻を、この活動で広めて行きたいと思っています。
美術を全く知らないひとが立ち止まって見てくれる。そして感動してくれる。
それが表現者として究極に嬉しいところです。

二人で会議をした後、お兄ちゃんのやっているジャズのライブに行ってきました。
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そしたらなんと、お兄ちゃんがさっき私たちの話していた会議の内容と同じことを言っていました。
「全くジャズを知らないひとが、単純に感動してくれる、それが最高や」
このバンドのリーダーの太田朱美ちゃんは私と同い年、朱美ちゃんの世界感も、ジャズを全く知らない私たちが、笑って、楽しくて、感動して、幸せな気分になるような音楽でした。

音楽の世界でも、同じようなところで表現している人たちがいて、本多さんも私もとても幸せな気分になりました。

そこで、アズキムシの世界とジャズのライブをコラボさせた企画も思いつき、小学校の廃校なんかを借りてライブ&展示をできたらなと思っています。

プロになって、また学生時代の友人達と集まれること、新たな出会いと楽しみな企画ができること、新しい事をやるのはいつも困難ばかりですが、この困難もチャンスだといつもありがたく思っています。
「私はキリストもお釈迦様も信じていないが、自分の失敗だけは信じている。
 失敗こそが、自分を導いてくれる。」
チャレンジして失敗して勉強して一回り大きくなってゆく、そんな手探りの活動ですが来年は少しずつ始めたいと思っています。
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本業の方も、来年は個展が二つありますので応援よろしくお願いします!
by m_kirin30 | 2009-09-24 00:29 | 日常 | Trackback | Comments(8)

原点


原点はどこか、考えてみると、小さい頃はお兄ちゃんと一緒にバイオリンをやったり、中高は演劇部で舞台にはまり、音楽をやったり、舞台をやったり、動物が好きなので獣医を志したり、それなりに充実していましたが、一番の原点は、それらのすべてが崩れ去ってしまうくらいにすべてを捨てて始めた、17歳のときに始めたデッサンの勉強でした。
自分は絵が得意なはず、おおよそ美術を志す人は、みんなそう思ってこの世界にやってきます。
学校では一番だった絵の力も、何の足しにもならないくらいのレベルの違いを目の当たりにして、愕然とします。
それで今まで持っていた変なプライドを捨てゼロになり、生まれ変わった感じで始めたのが美術人生の始まりだったように思います。
そして最初に「美術」というのを教えてくれたのが、現 象鯨美術学院の主任、西村先生でした。
先日先生のおさそいで象鯨美術学院に遊びに行ってきました。
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近所の人が続々見に来るのは、象鯨美術学院の壁画制作。
生徒たちが壁に、はたまた壁をはみ出して床に、思いのまま、しかし秩序を持って制作しています。また学院の大家さんも、近所の人たちも、それを嬉しそうに眺めていました。
久しぶりに、私の中で美術の原点を思い出しました。
ガチガチしていた頭の中と心の中にすっと気持ちのいい風が吹きました。
ここにはたくさんの人たちの理解と期待と、制作の喜びに満ちた美術の風景がありました。
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「美術は、自由が、いちばんいい」
これは、ここの大家さんがいってくれた言葉です。
これほどまでにシンプルで優しい言葉に、10年やっててようやく巡り会いました。
作品を見てくれる人たちは、私たちをいつも支えてくれているのです。
大家さんは隣に住んでいて、いつも学院に協力してくれています。
近所の人たちも自然に集まり、絵を嬉しそうに眺め、散歩の人や犬までもが立ち止まり、町なかの美術館が完成しました。

ああこれが、原点だ、と思いました。
美術はひとを喜ばせるためにあるもの。
完全に自由で、だけどあらゆる物の力を借りて成り立つものだ、と思いました。
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西村先生は、いつも私に言っていました。
「きれいに描こうとするな!お前のきれいなんてたいしたもんじゃない、もっとよく物を見ろ!」
「はみだせ!すすめ!ビビるな!」
この言葉を、美術をはじめて最初の頃に聞けた事が、私の美術への道を正しい方向へ向けてくれたんだと思います。

自然は、自分が思っているきれいでも、きたないでもない。
自分の理解を超えた、美であって、そこには、あらゆる要素が含まれています。
きれいだと思っていた色が、自然にとってはきれいでなく、汚いと思っていた色が、信じられない美を生むのが自然です。
人間としての既成概念を捨てれば捨てる程、天地自然の美は力を貸してくれます。

ただし表現するとき、周りの人たちから理解されない事が多いのも芸術です。
常識とは、一生戦って行かなければ行けません。
理解してくれる人たちがいてこそ、私たちは表現できる物なんだな、と見てくれる人たちに感謝の気持ちでいっぱいになりました。

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私は、象とひとを描きました。
この壁画は、神奈川県 元住吉駅から歩いて15分くらいの住宅地にあります。
生徒たちの自由で喜びあふれる素敵な絵を、機会があれば見に行ってみてくださいね!
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今回の東京近辺出張でもうひとつ、日記にしたい原点をみつけました。
ナマケモノですが興奮冷めやらぬうちにもうひとつ、近々記事をアップします!
by m_kirin30 | 2009-09-19 15:19 | すてきなところ | Trackback | Comments(2)

制作日和

今年は残暑無く涼しくなったので、秋の制作日和がやってきました。
春と秋は制作が進みます。
一日のほとんどをおうちのアトリエで過ごしますが、もちろん夏でも冬でもエアコン(粉ですぐ悪くなってしまいます。)が使えないので、夏は汗だく、冬は凍えながら制作します。

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比較的いいのは夏で、暑い暑いも最初のうちだけ、そのうちすぐ汗が出て、窓を開けて風さえ通しておけば、すぐ気持ちいいくらいに体が冷えてくれます。水(私の場合アイスコーヒーですが)さえ飲んでおけば全く問題なくすぐ心頭滅却状態になって集中できます。
最近は学習してコーヒーに木屑が入らないようにふたのしまるエコボトルで乗り切っています。

けれども冬は厳しいです。
まず手先がなかなか暖まらない。腕は木槌をふるえばすぐ暖まりますが、指先がかじかんで、刃物を扱うのがとにかく危険です。
昔はドライヤー大作戦で乗り切っていましたが、今は1980円の電気ストーブが命です。

自然の厳しさは、集中力である程度のり切れる気がしますが、それでも春と秋は、地球がくれるプレゼントのような気がしてなりません。

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場所のせいにしたくない、というのは昔から心に決めていた事ですが、いつか、風の通る天井の高い薪ストーブのあるアトリエで、犬と一緒に、制作ができたらなといつも思ってしまいます。
そういうアトリエを持つためにも、今は今いる環境で精一杯の仕事をするのが一番なのかもしれません。

理想の状況ではないけれど、今も今なりに楽しい、といつも思います。
大学時代は貧乏で、大学でこっそり野菜を育てたり、電車代が出せなくて長距離歩いたり、大雨の中を原付でバイトに通ったり、ネコがもらっているツナ缶をこっそり横取りしたりする過酷な日々でしたが、今思い返すと、とても楽しかったと思います。
あの日々がもし理想の大学生活を何不自由無く送っていたら、きっと思い出ももっと少なかったんじゃないかと思います。

理想に近づくために努力や苦労をする日々こそが、後になると楽しいんだなと、年を取るたび感じます。
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秋は気候のおかげで制作がはかどり、一日でとても進みます。
名古屋の片隅ですが、それでもいい風が吹くと、自然とつながっているんだな、と感じます。
きっと、どこへいても、どんな仕事をしていても、天と地と美とつながって人や動物は生きているんだなと、哲学の秋を満喫している今日この頃です。

「自然と手がつながればつながる程、美は手に力を貸してくれる。」
美の先人達の言葉をかみしめながら、木と格闘する毎日です。

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by m_kirin30 | 2009-09-10 00:55 | 日常 | Trackback | Comments(6)