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理(り)

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目は、いつもたくさんのものを吸い込んでいる。
血は、光よりも早い速度で、その反応を手足に伝える。
動物の体にはすごい力がある、といつも思います。
人間だけではなく、犬のちいさな目、鳥の目にも、吸い込まれてしまいそうな力がある。
光も、闇も、物質も、全部まるごと吸い込んで、
必要なものはとりこんで元気になり、
いらないものは、涙と一緒に流してしまう。
自然に行なわれているこの動作に、宇宙のひみつが隠されている気がしてなりません。

そう、目は、ブラックホール。
目に入ったものは、なんでもすいこんでしまう。
手は、マルチクリエイター
何でもかんでも生み出したり、こわしたり。
足は、運送屋さん
どこでも運んでくれる。

こんなにすごい器の中に自分が住んでいるんだと思うと、毎日がたのしくて仕方ありません。
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色も、不思議です。
光の色をどんどん混ぜていくと、白にちかづいていく。
色をどんどん混ぜていくと、黒にちかづいていく。
白と黒のあいだに、どのような色があるかをさがす、それがデッサンなのです。
光も、闇も、どちらも、絵を描く時の大切なともだち。
光だけでは、絵は描けない。
闇と正面から向き合ってこそのリアリティです。
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私は、いつもこうして少し、理系の方面から美術をながめています。
博物学の極地として始めたのが今の彫刻だし、
美の神秘を、数学の公式で証明したいと思ったりもしますし、
特に宇宙物理学と美術は、限りなく近くにあるような気がしています。

万物の理論(Theory of Everything)

私は、高校3年生の物理の授業でこの英語をはじめて目にしたとき、胸が高鳴りました。
私が美術の世界で見つけたいのも、まさに、この言葉で表されるからです。
なぜ美しいのか、なぜそれが人によって違ったり、共感したりするのか、
美しいものをどのような方法で残せばいいのか、そこにセオリーはあるのか、ないのか。

数学者や物理学者の人たちが、追い求めているのは、答えのあるかないかも分からない、
そんな宇宙の始まりの理学。
私も、答えのあるかどうかすら分からない、美の法則、について学び、
たとえ生前答えが出なかったとしても、
自分なりの証明を続けて行きたいと思っています。
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「彫刻と宇宙」についての卒業論文を、この仕事をやめる頃にはまとめておきたいな、と思っていますが、仕事をやめようという気持ちに、生前なれる自信がとてもありません。
by m_kirin30 | 2011-02-26 11:08 | 日常 | Trackback | Comments(6)

木を彫るちから

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名古屋のミュシカさんで先日木彫りのワークショップをさせて頂きました。
もう何度目でしょうか、いつも満員でほんとにうれしく思っています。

みなさん、はじめてのかたばかりなので、木を彫る事が新鮮な様子、
「かたい」
「3時間があっという間」
「おなかがすかないほど集中する」
「むずかしい」
などなど、新鮮なことばをたくさん話してくれて、私もいつも楽しくて仕方ありません。
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木を彫ること、作品を作る事はいろんな「ちから」がいります。

みるちから
形をかんじるちから
集中するちから
どこまでも進むちから
考えるちから
作る事をたのしむちから
終わらせるちから

どんなに小さな彫刻でも、ひとつ完成させるのにはほんとにたくさんのちからがいります。
ちいさなちいさな「素材」が、「いきもの」になる瞬間。
自分の手から、ふっとはなれて、ひとりでトコトコ歩いて行くような感覚。
そんな感動を、ものづくりは毎日教えてくれます。
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はじめて作った時の感動、あたらしいいきものとの出会い。
幾千と彫刻を作っていってもきえる事はないでしょう。
たくさんのひとに、木を彫るたのしさ、子どもに帰る感覚、集中するものづくりの時間、手を使う大切さ、伝えて行けたらなと思っています。
今年は東京でもワークショップを実現しようと思っているので、たのしみにしててくださいね!

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p.s
美術を始めようというひとへ、
美大受験生のひとへ、
いつもこの時期、10年前のどん底だった自分を思い出して哀しくなります。
美術で大学に入るのは、苦しく、自分自身が嫌いになってしまうくらいつらいときがあります。
だけど、受験も、ほんとは戦いじゃない。

世界へ向けて、自分の作品を発表できる、「初舞台」だと思ってほしいです。
第一歩目の作品を、自分の気に入った最高傑作で迎えられるように、
誰かとの戦いでなく、自分自身と向き合って、いい作品を作ってください。
ひとりでも多くの美術家の卵が、かわいい命になってかえる日を、とっても楽しみにしています。
by m_kirin30 | 2011-02-18 22:51 | イベント | Trackback | Comments(3)

いっしょに感じる

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目の前のうつくしいものを、だれもが見えているような目でとらえて、そのままを伝えられたらどんなにいいだろう。
個性的にあろうとは、思ったこともありません。
自己表現もまったくなくて、
どうやら、「アート」という街からどんどんはなれた片田舎の「ものづくり」
美術を始めて13年、そんなところに歩いてきたように思います。

「表現」がないのだから、芸術の世界からはみ出してしまっているのかもしれませんが、
それでも今の仕事が私は心底すきです。
みんながみえているものを、みんながみえているように、ただ作る仕事。

動物たちのそのままでうつくしい姿、愛らしさや鋭さ、
においや、生きている事への真剣さ、
めのまえのすべてをとらえるのには、あと200年あっても2000年あっても全く足りません。
地球が何十億年もかかったんだから、あたりまえですが。

私たちがみえている、生きているこの世界の、ひとかけらのうつくしさでもつくることができたら、
彫刻がうつくしい世界のひとつに仲間入りができたら、
私は、もう十分満足です。
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だれにも伝わらなくても、だれも見に来なくても、わかってもらえなくても、いい、なんて
つくりてにとって、そんな、つらく哀しい事はありません。
ほんとはだれもが、自分のいいと思ったものを、誰かにわかってほしいから作るんだ、
そんなふうに思います。

だけどものづくりや表現をしていく人間は、いつでも孤独を味方につけないといけません。
一人ぼっちでハングリーになった時にはじめて、「つくりたい」「つたえたい」という泉が湧きあがってくるからです。
つくりては、みんな寂しがり屋です。

つくるときはたったひとりで
だけどこころが外へ向かってひらいているから、
ひとりでもひとりじゃない。
伝えたい人たちの顔を思い浮かべてつくっているから、
さびしいときも、がんばれるのです。
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芸術の世界からはみ出してしまった私ですが、
自分に作れるものを、いまは素直に作っていこうとおもいます。
この道の行き着く先に
もしかしたらまた芸術の世界の入り口が、待っているかもしれませんし。
リアルを突き詰めて行けば、その先に何がある?
そんな研究を、続けて行こうと思っています。

お兄ちゃんの友だちの、作曲家の柳浦遊くんが、すてきな曲を作ってて、それを送ってくれたので、
過去の彫刻のムービーを作ってみました。
3分で5年をふりかえります。

by m_kirin30 | 2011-02-09 10:14 | イベント | Trackback | Comments(8)