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挑戦

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男の子に生まれたかった、といつも思います。
少年のように夢を見続け、少年のままおじいちゃんになって、
いちクラフトマンでありつづけるような。
私は冒険も挑戦も修行も大すきなので。

こんなはなしを、かつて造形大学の教授、石彫の隆根先生から言われたことがあります。

「彫刻家は、
 鈍感な、ねちっこくて、不器用なやつ、がむいている、、、ウヒヒヒ、、、」

どれも、褒め言葉ではないように思うのですが、
私には最高に、嬉しい一言でした。

コツコツ、という言葉は、彫刻家が石を叩くおとから生まれたと言いますが、まさにその通りで、
敏感に世の中の変化を察知していると、作品がぶれて、芯がなくなった流行ものになってしまう、
努力、継続こそが力だという感覚がないと、とても続けられない、苦しい世界、
器用だと、すぐ飽きる、不器用なひとは、いつまでも上手くできた気がしないから、続けられる、
という、言葉なのでしょう。
10年経った今の私には、この言葉のほんとうの意味が、身にしみています。


芸術家にとって、けなし言葉は、ほめ言葉。
ほんとうに真の芸術をめざしているひとなら、そうでしょう。
上手い絵だ、きれいな彫刻だ、器用な作品だ、、、
博物学者の荒俣先生に、「頭がほんとうによろしいですね、、、」と言うようなもので、
ふつうの褒め言葉が、一番の感想になってしまうと、負け、のようなところが、作り手にはあるのです。


私は鈍いので、申し訳ないほど現代美術もほぼ知りません。
はやりも、流れも、他の作家さんが何を作っているのかも、全く知らないですし、
興味は生物界だけにあるので、それだけでいいのかも知れないとさえ、思っています。
彫刻に、自分の思想や政治観をこめるのが一番いやで、
できれば、浮き世はなれた、嬉々とした生き物たちの姿をただ作りたい、と願っています。
コンセプトもなにもない、いち彫刻でありたい、と思っています。

いつまでたっても、つくってもつくっても、納得できず、
すべてをなげうってでも、人生をかけてでも、作りたい、どんな孤独と戦ってでも、作りとげたい、そんな強い思いがないと、
彫刻家という肉体的にも精神的にもきつい職業は、続けることができないでしょう。
特に現代では、他にも生きる道はたくさんあるし、
ましてや女性であれば、もっとしあわせな道はいくらでもあるし、
彫刻家なんて、よほどのへんなヤツではないか、と、自分でもよく思います。

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今年、新たな挑戦を始めようと思っています。
彫刻王(笑)になるための第一歩、
1000体のちいさなどうぶつを、作るというもの。
年間200体くらいをいつも制作しているのですが、ことしは1000体どうぶつに挑戦します。
かといって数に負けず、ひとつひとつにきっちり命があるように、
いまかつて無いほどの制作意欲に燃えています。

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ひとつひとつの彫刻の動物たちに、ちいさな願いをひとつづつこめて、
わっと1000体ならべられる日が来る事を、
私も楽しみにしています。

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次回展示会は5月末、大阪 枚方の星丘洋裁学校内にある、ソーイングギャラリーです。
5/17〜26日まで、
1000体どうぶつの、何体できているか、お楽しみに!
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by m_kirin30 | 2012-02-23 13:59 | 日常 | Trackback | Comments(2)

今をつくる

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彫刻を続ければ続けるほど、感じる事がひとつあって、
彫刻は、続けた年数でも、作った数でも、かけた時間でも、材料や道具でもなく、
今を丸ごと刻む事という無理難題の、今そのものの答えなのかもしれない、と、おもいます。
彫刻は、美しいものがなぜ美しいのか、それの答えを探す事、のような。

目の前の今を、極小のものから、極大なものまで、まるごとを刻むこと、
めにうつるもの、耳で聞くおと、においで感じるもの、手触りの感覚、その日の気持ちや、からだの動き、、無量大数ほどの数字の計算のように、膨大なデータがあふれかえっている、目の前にある、今。
それを、素粒子ほどのちいさなきっかけも見逃さず、
広がっていく宇宙の空間のはしっこを感じながら、
まるごとの今を刻んでいくというのは、とてもとても難しい事であるようで、
挑戦する価値のある、生涯のワクワクでもあります。

私の彫刻する題材は、常に「いきもの」なのですが、
「生物」ではなく、「生命」を作りたいといつも思っています。
でもよくよく考えると、「生物」と「生命」の違いは何か、
物と命では大違いですが、言葉の違いだけでなく、
自分、と目の前のコップとの違いは何か、パソコンと自分の脳と、どこが違うか、
食べるもの、食べないもの、エネルギーを生むもの、使うもの、
まさに、「命とは何か」の命題を、私は作りながら探していく研究者のようなものでありたいと思っています。
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目に見えるものだけではない、うちにある美しさや愛らしさ、
外側にある空間や温度、
たいせつなのは、見えるものの内にある、または外をおおっている、見えないものをつくることなんだと、最近では考えています、そこに、ものと命との、ちがいがあるのかとも考えています。
さらなる思考はとどまらず、ですが。
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今年は、彫刻を作る以外にも、たくさん物語を書いたり、考えたり、彫刻の周りにあるものも、じっくり見つめていこうと思っています。

今年は、年齢的に厄年だそうで、厄除けしたほうがいいという意見をよくいただきますが、
私は、楽天主義なのでかもしれませんが、厄がおとずれるということは、なんとありがたいことなんだろう!とおもってしまいます。
だって、今まで好調で気がつけなかった自分の欠点や、ダメなところが、おそらくはっきりと失敗や苦しみになって現れるのだから、こんな成長できるチャンスの年は人生でそうそう、ありません。
死なないなら、どんな苦しい事も、除けずに受け止めてみたい、
失敗や苦しい事と向き合って、最後に笑いに変えるつよいちからを身につけて、克服し、
またひとまわり明るくなった自分になれるように、
と思っています。


名古屋ミュシカさんでの展示会もあと一週間、たくさんの方に、アラブの生きる動物たちを見に来て頂きたいと思っています!

最近はまたあたらしいカタチづくりにチャレンジ、彫刻刀やノミ以外にも、木を割ったり叩いたり、いろいろ木のあたらしい一面を、さがしていこうと思っています。

ともだちが、先日のミュシカさんでの木彫りワークショップの動画をつくってくれました!
よかったらみてくださいね。

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by m_kirin30 | 2012-02-07 22:33 | 展示 | Trackback | Comments(4)