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伝える力

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河合塾での夏の木彫り教室とデッサン教室が終わりました。
なつやすみに、子供たちや大人の方にも、木彫りや動物のデッサンを体験してほしいと思いはじめたこの教室も、数年つづけてきました。

大人も子供も、上手いも下手もない、そんな環境を作りたくて、
大人も子供も同じ場所で汗を流し、ものづくりに熱中できる場所を、毎年河合塾さんに提供していただいています。

美術の世界は、そもそも数字で計りにくい世界です。
テストならいい点数をとれば、スポーツならいいタイムやスコアをとれば、人と比べる基準が分かりやすいのですが、芸術の世界は、選ぶ側の人間の主観で判断されるので、学校の成績や、受験の合否では、作品の善し悪しは計り切れない部分があります。

それなので、学校で美術の成績が悪いからと言って、絵を離れてしまうのは本当にもったいない事で、
上手い、下手、そんな言葉で判断できるほど、美術の懐は狭くありません。

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たいせつなのは、伝える力を育てる事です。
目の前に、うつくしい何かがあった、その感動を、自分以外の誰かに伝えたい。
言葉では伝えられない色や、形や、温度、感動、
そんなものを、伝える力を身につけるのが、真の美術の勉強です。


彫刻も同じで、
こんなかわいい生き物がいたよ、こんなおもしろいかたちがあったよ、
そんなことを伝えるために、はじまったものだとおもっています。

自分の見えたものが、画面にのせられているか、
そのためには、絵は、うそをついては、いいものが描けません。
まずは、自分がそう見えた、そう感じた、ということを信じて、自分の目に嘘をつかず、素直に絵を描いていく、そんなことが大切だと思います。

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そうして行くと、だんだん壁が見えてきます。
今までの持っている描き方では、描けない。そんなものが現れてきます。
そんなときは、描けるまで一枚の絵をあきらめません。
とても苦しいけれど、自分の納得するところまで描けるまで、何日でも何週間でも、一枚の絵をつづけます。
描けないというときは、相手を、モチーフをよく見る事ができていないときによくあります。
見えているように描けない、そんなときは、まずモチーフをよく観察する、
そして、それが自分にあまりない感覚だったことで、描く事が難しいのだと思います。
モチーフを思いやり、モチーフらしさがでるために、自分はどういうアプローチをすればいいか、
それは、見知らぬ友達を作るときのようなドキドキ感と、とても似ているような気がします。

描けるまで、あきらめない。
1つの完成した絵を作る事が、たくさん途中の作品をつくるよりも、きっと大切な事だと思います。

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美術で鍛えた、伝える力は、生きて行く色々な場面で活躍します。
素直に思いを言葉に乗せるという事、目の前のものを思いやるという事、
自分の圧力が強すぎると相手を傷つけ、弱すぎると伝わらない。
彫刻も、深すぎず、浅すぎず、その一番ぴったりくる面を彫りだす事が、ほんとうに難しいことです。

世界と関わって行く力を身につける勉強、
それが美術の学習なんだと、私は思っています。
そんなことを、夏休みのひとときのもの作りの時間に、伝える事ができたらいいな、と、思います。

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来てくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました、
そしてまだ見ぬたくさんの方々に、美術の楽しさ、おもしろさを伝えて行きたいと、思っています。

次回ワークショップは港町ポリフォニーさんにて9月、
9月末、10月も滋賀、関東と展示、ワークショップが続きます。
情報はまたアップしますので、ぜひあそびにきてくださいね!
by m_kirin30 | 2013-08-14 12:22 | 日常 | Trackback | Comments(2)