小さい頃

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彫刻をはじめるきっかけになったのは、ずいぶん昔にさかのぼります。
小さい頃から、本当に生き物が好きでした。
はじめて犬を飼ったのは9歳のとき、ゴンくんと名付けたその犬は、ほんとうにかわいくて、でも生後数ヶ月も立たないうちに病気で死んでしまいました。
私は悲しくて、獣医さんになってゴンくんのような子を助けたい、とおもい、それから生物学にとても興味がある事もあって、理数系のある中高一貫の学校で理科の勉強を中心にがんばっていました。
絵も音楽も好きでしたが、芸術を仕事にしようとはそのころまったく考えてなかったように思います。
大きく変わったのが、中学のときにあった、阪神大震災でした。
私のおうちはぼろぼろになり、近所の通学途中好きだった犬や猫も姿を消し、
大好きだった景色や、大好きだった動物たちが、ある日ふっと、なくなる。そんな経験をしました。

そんなときに、思い出したくても、思い出せない、触れたくても、二度と触れられない、
その悲しさから、形あるものがいかに美しいものだったのかを、深く考えるようになりました。
どれほど美しかっただろう、どんな手触りだっただろう、
失ってしまった命を、医学で取り戻す事は不可能だけれど、
彫刻という力を借りて、その姿を残す事はできる。
私は、動物たちの、そのままの形が大好きだったのです。

だけどいざ美術の方面で仕事をするとなると、私にできる事は一体何かを考えて、
最初は、絵でその美しかった動物たちの姿を残せたらいいなと思っていました。
けれど描くうち、2次元ではもの足りず、同じ3次元にかつてとおなじ存在感でその子がいたら、どんなにいいだろうと思うようになりました。
みるみる、「彫刻」というものに、私は取り付かれて行きました。

失った形を取り戻す、そんな事なんて、人間の手にはとうていできない事なのでしょう。
形あるものは、失われるからこそ、美しくもあるのでしょう。
私は彫刻で、命を吹き込んでいるとかそんなふうに思った事は一度もありません。
命はもう既に木の中に眠っていて、モデルのその動物たちが、「私を思い出して」といっているような気がして、制作しています。
あの時の、あの表情、あの一瞬を思い出して、それを形にする、
デッサンにデッサンを重ね、15年もの訓練を経ても、いまなお制作は難しく、うまくいかないたびに、落ち込んだりもします。

最初は私が出会った個人的な動物たちを残していましたが、
いまでは、多くのかたのたいせつないきものの家族の姿を、彫刻にする仕事を続けています。

とても難しく、責任の重い仕事ですが、私があの震災の後おもった、
「あの子は、あの子がいる景色は、どれほど美しかったことだろう」の思いが、
私を迷わせる事無く正しい方向へ、動物たちが導いてくれているように思います。
かつて生きていた美しいものたちから、これから生まれてくるであろう美しいものたちへ、
彫刻を通して、伝える仕事を、生涯続けて行けたらなと思っています。

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10月末には、福岡へ動物たちが旅をしてきました。
銀行という人間ばかりの場所が、あるひ動物たちの森になっちゃった、という企画で、
たくさんの方が彫刻のどうぶつたちに触れていただきました、
ありがとうございました、
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現在ユニクロのヒートテックのCMに出演させていただいています。
話している内容は、彫刻家が古代から大切にしてきた感覚のはなしです。
またテレビでチラッとみたら、彫刻という世界の事を思い出していただけたらと思います。



現在開催中の展覧会
11月12日~12月14日 滋賀県永源寺図書館 視聴覚ホールにて「本の森の動物図鑑」
近所の永源寺の紅葉がとても綺麗です。ゆったりとお時間を取って、関連する本と彫刻をみていただける展示になっています。お休みの日をご確認の上お越しいただければと思います。


11月29,30日、大阪、心斎橋にて ボダイジュエキスポ3に出品します。
ホテルの一室を、今回はアラブのはなももさんとコラボして、はなももワールドを展開します。
ガゼル、ハト、猫、犬、ラクダ、、、たくさんの動物たちに、ぜひ会いに来てくださいね!












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# by m_kirin30 | 2014-11-24 16:43 | Trackback | Comments(4)

友人



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いつのときでも、最善の仕事ができるように準備をしておきたいと思っています。
彫刻のしごとを始めようと思ったとき、彫刻のためなら、なんだってできるとおもいました。
彫刻をするための場所、音を出してもいい環境、制作、運送のための設備投資、
あらゆるものをととのえて、おおきな仕事のために備えようと思っています。

いつでも、自分を磨いておきたいと思います。
どの面でも、自分を磨いてくれるのは、自分自身しかいないように思います。
いくつ年をとっても、自然から何かを学び続ける、学生でありたいと思っています。
きたるべき際に備えて、日々自分の技術を高めて行けたらいいなと感じています。

大学時代からの友人が、こんなことを言いました。
仕事は、自分を裏切らないね
この言葉は、仕事に人生を費やして来た人なら、共感できる言葉のように思います。
彼女も私も、大学を卒業してから一心に仕事だけを続けてきました。
彼女はコーヒー焙煎師になり香川でプシプシーナ珈琲という珈琲豆屋を営んでいます。

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いつのときでも、仕事を友人のように思っています。
大切に、いつでも思いやりながら、育てて来た仕事は、私たち個人事業者にとっては何よりも大切な存在です。
いつのときでも、仕事に誠実に、ひとつひとつをていねいに、続けて行きたいと思っています。
自分を磨くというのは、仕事という友人のためでもあるのでしょう。
日本では仕事に忙殺され、仕事が嫌な人や、月曜日が憂鬱な人がいるのかもしれませんが、
私は仕事が好きです。
社会人として生きて行ける事に誇りを持っています。
それなので子供の頃より、今の方が楽しいです。
自分の稼いだお金で食べた最初のご飯のことを、私は忘れた事はありません。
仕事が無くてもうどうしようもないときに、注文をいただいた時の感謝を、忘れた事はありません。
仕事とともに成長し、いつでも自分を鍛え上げてくれたものは仕事でした。
そして仕事をともにする仲間たち、そのすべてをまるごと、笑顔にできるように、今日も精進したいと思っています。



今週末はヤネウラット森の文化祭
こちらはまだ若干名空きがあるようなので、この機会にぜひ、自然の中で木彫り体験を楽しんでくださいね。


きたる10月30〜11月2日
福岡銀行本店 「どうぶつたちがやってきた!」
福岡県 福岡銀行本店に、たくさんの木彫りのどうぶつたちが迷い込みます。
受付や、入り口付近、本館前広場!?
等身大のどうぶつたちから小さなどうぶつまで、たくさん迷い込んでいますので、ぜひどうぶつたちとお友達になりにきてくださいね!


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# by m_kirin30 | 2014-10-21 15:39 | 日常 | Trackback | Comments(7)

職人

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感動は、自分の感覚の外からやってくるものです。
目の前のモチーフを見て、描くという事を大切にしています。
写真資料をもとに作成する事も多いですが、
ほんとうのところは実際に自分で取材をして、デッサンをして、彫刻を制作すると、
いちばんいい彫刻ができるように思います。
それは、自分の中にぐるぐると動くその動物の3次元の記憶が宿り、呼べば今にも、その子に触れる事ができるような感覚が残っているからです。
時を共にした記憶というのは、深く強く、脳裏に刻まれます。
人間にまつわる事はほとんど覚えられない私ですが、出会った動物たちに関しては忘れる事はありません。

この世界で、一番の願いは、死者にもう一度会えることだと、いつも思います。
それはもちろんかなう事は無く、時はいつも一方通行だからこそ、生き物は美しく、移り行くものはみないとおしい存在になるのでしょう。
そんな中で、いなくなってしまった命に、もう一度触れたいという思いから、彫刻で動物を作る仕事をしています。
現実にはかなわない願いなのですが、彫刻になったその子に、もう一度触れる事で、思い出すことができるたくさんの愛情があります。
私が生きている間に、ひとりでも多くのそのままの美しい姿を、彫刻に残せたらと思うので、
私の仕事は生涯そこから変わる事はありません。

芸術家、表現者、アーティストと呼ばれる人たちは、私の事を認めないかもしれません。
私には、表現というものはなにもないからです。
ただ単純に、どこまでもリアルに、温度のある彫刻を作る事だけに生涯を費やして行きたいです。
この仕事には表現や個性的であろうとする事が挟まってくると、現実が曲がってきてしまいます。
ただ目の前の真実を受け入れる、おおきな器のようなものになって、
現実を、一つ残らず受け止めておきたいと思います。
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私にとっては夢も、奇跡も、感動もすべて現実の中にあります。
そのままの美というものを、残せる最高の職人になれたら、自分の一生は十分だとも思います。
あれもこれもとやりたいことはあっても、こなせることは極わずかなので、この一つの事だけを続けて行けたらなと思っています。

職人というのは、コントロールができる器だと、聞いた事があります。
ものづくりというのは、毎日同じいいものを作るために、実は毎日すこしづつ違った事をしていかねばならないと。
それは、時が経過する事で昨日とは条件がすべて違ってきてしまうからです。
自分の技術の向上、環境の変化、気温、湿度、体調、素材の変化、日々あたらしい条件下でまた、職人は昨日以上のクオリティのものを必要とされます。
技術の向上と平行して感覚も鍛えて行かないと、とたんにものに力は失われて行きます。
どんな環境下でも、美しいものを見つける目を養い、現実を嘘無く作り上げる職人に、なっていきたいとおもいます。


今月末は、東京 もみじ市に参加します。
もみじ市の、猫のブローチワークショップのための見本のはずが、ブローチを30個程制作できたので、会場で限定販売を行いたいと思います、
ワークショップも、ぜひこの機会にご参加ください!
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東京 もみじ市 多摩川河川敷にて開催 9月27日 28日

ワークショップ受付はこちら

10月25日 三重県いなべ市で、ヤネウラットのお化けパーティー に参加します。
森のなかの別荘のような場所で、お化けの木彫りをつくるワークショップもありますので、ぜひ遊びにいらしてくださいね!

10月末、福岡銀行さんで彫刻の大動物園をひらく予定です。

その他、年内ワークショップ、展覧会まだまだありますので、お近くの際はぜひ彫刻の動物たちにふれあいにいらしてくださいね。
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写真は 東京 巣巣さんでひらかれた眠り猫のワークショップの完成画像、みなさまのにゃんこ、すばらしいです!































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# by m_kirin30 | 2014-09-13 08:00 | 日常 | Trackback | Comments(2)

彫刻のちから

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彫刻には無限の可能性があります。
美術の持つ力もまた無限です。
長く美術の学問に携われば携わるほど、感じるひとつの思いがあります。
それは、うつくしいものと、きれいなものは、少し違うものだということ。
きれいなものは、うつくしいものには含まれますが、うつくしいものは、もっともっと大きな意味を持つものだと感じます。

きれいなものは、もちろんうつくしいですが、きれいでないものも、うつくしいことがあります。
うつくしいということは、目で見えるものだけではなく、その場の空気のうつくしさや、その時の心のうつくしさ、
時に悲しいものも、うつくしいことがあります。
苦しい物語も、哀しい結末でも、うつくしい物語があるように。
単純なきれいさ、だけでは伝えきれないおおいなるものを含むのが、うつくしさ、というものです。

うつくしいものは、あらゆるものの味方です。
うつくしいものは、それぞれの強さを持っていて、生き物たちを支えているような気がします。
空のうつくしさ、木々や生き物のうつくしさ、都会の風景の、働く人たちのうつくしさ、
私は毎日、いろんなうつくしいものに支えられて、心を整えて暮らしているような気がします。

「芸術家は、もともと弱い者の味方だったはずなんだ、弱者の友なんだ。
 芸術家にとって、これが出発で、また最高の目的なんだ。
 こんな単純なこと、僕は忘れていた、僕だけじゃない。みんなが、忘れているんだ。
 僕は、ポチを東京へ連れて行こうと思うよ。」
 太宰治 畜犬談より

病気で醜い姿になり、弱り果てたポチという犬を、置いていこうかと考えていた作者が、思い直すシーンで語った言葉です。

私たち芸術を仕事にする人間が、弱い者を救えないでどうするのか、と日々思います。
お金で、医療で、物質で、救えないものがあったとして、最後まで味方であり友なのが、芸術の役目なような気がします。
強い者たちに、お金や権力がくっついている事がおおいこの世界でも、死後にはなにひとつ持っていく事はできません。
さいご、なにももたないたった一人の人間という生き物になって、この地球に立った時、
あらゆる物質でなくこころの味方であるのが、自分のつくった美術であるように、
味方であり友である、そんな彫刻が作れるように、
色々な思いを込めて今日も木を彫っていこうと思います。

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撮影 森田直樹

現在、開催中の大阪 けんちくの種さんにて展示中の はしもとみお展 「いきものたちの隠れ家」のこりあと一週間です。
関西地方でゆっくりと彫刻を見られる機会に、お近くの方はぜひ彫刻を触りにいらしてくださいね。


今年もなつやすみの企画、河合塾名古屋さんにて、木彫り教室を行います。
8月2日 10日 子供木彫り教室 こちらは親子でご参加いただけます。
8月3日 大人木彫り教室  一日かけて、好きな動物を作っていただける年に一回のスペシャル企画です!
8月11日 動物のお絵描き教室 大人も子供も、ご参加いただけます、実際に動物たちが河合塾に遊びに来ます。

ご予約は、お電話フリーダイヤル0120-591-109または河合塾美術研究所窓口まで。
各回定員20名(定員に達し次第締め切りとさせていただきます)


この夏、ぜひ美術に触れてもの作りのすばらしさを体験していただければとおもっています!










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# by m_kirin30 | 2014-07-22 14:58 | 日常 | Trackback | Comments(6)

たのしませること

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子供のころ、絵を描くのが、ものをつくるのがたのしくて仕方ありませんでした。
たのしくつくっていればほめてもらえる、そんな世界で生きていたからかもしれません。
ほんとうにいい美術は、プロであれ趣味であれ、大人であれ子供であれ、
ありとあらゆるところからあらゆる人の手によって生まれる可能性があると、そう思っています。

だけど、仕事としての美術は、たのしくつくる事ができれば、人をたのしませるものがつくれるかといったら、全くそうではありません。
美術の仕事をすればするほど、たのしいだけの制作はできなくなってきます。
それでもいつか、真に自分がたのしくつくるものが、ひとをたのしませる日がくることを、
私が歩む美術の勉強の道は、そのことを学ぶ道でもあります。

たのしくつくる事を学ぶのではなく、つくったものでたのしませる事を学ぶ、それが美術の学問です。
そのためには制作のあらゆる苦悩も、痛みも、必要不可欠なものです。
むしろ難しい制作だからこそ、ひとをたのしませる、感動させる、そういったものをつくることができるのかもしれません。
なにがひとをたのしませるのかを知るという事は、なにがひとを傷つけるのかをよく知っておく事だと感じています。
あるひとをたのしませたからといって、あるひとを傷つけていいわけではありません。
自分のつくったものが、自分にとって、ひとにとって、動物たちにとって、地球にとって、どれかを傷つけるものであってはならない、そう感じます。
まだまだ勉強の途中で、間違える事もあるかもしれませんが、
今の時代のまっすぐな彫刻を、見る人に届けたいと感じています。
やがては自分のつくったものが、100年、1000年、そのずっと先に生きる地球の住民にまで、愛されるように。
今の時代に、こんなに美しい動物たちがいたのだという証明を、つくっていけたらなとおもっています。
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エキサイトブログの10周年記念特設ページに、ピックアップの10人のブロガーのなかに選んでいただきました。
大学生の頃にはじめたこのナマケモノ日記が、これからもたくさんの美術を愛する方々に読んでいただけるよう、
更新はとてもナマケモノですが、続けていこうと思っています。
こちらのページからご覧ください。


現在展示中の、「いぬねこ島へようこそ!」のこり一週間、6月21日までになります。
関東での展示会の機会は少ないので、この機会にぜひ足を運んでみてくださいね。

次回展示は、大阪府箕面市です

はしもとみお展 〜いきものたちの隠れ家〜
2014年7月5日(土)〜7月27日(日)
21日祝日のみ、お休み
11:00〜17:00

けんちくの種
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新作も追加予定ですので、ぜひ遊びにいらしてください!












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# by m_kirin30 | 2014-06-16 19:29 | 日常 | Trackback | Comments(3)

旅する彫刻

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かわいい彫刻ほど、旅をさせたいと考えています。
展示会に必要な最低限の彫刻たち以外は、すべて作ったものは手放してきました。
いいものほど、手放す方がいい、そういう思いを感じられたときから私は、ひとりの彫刻家として自立できたように思います。
いつか、世界各地に自分の彫刻の動物たちがちりばめられている夢を見ます。
海辺のレストラン、山奥の山荘、町中の図書館、コンビニのレジ、どんな場所にも、似合うような彫刻を作りたいと考えています。
そして作った作者は不明でも、その彫刻が町の人からかわいがられる、そんな風になったら、どれほどすてきなことでしょう。


昔阪神大震災にあって、家の中がぐちゃぐちゃになりました。
たくさんの神戸の人たちの大切なものが焼かれ、壊れて消えてしまいました。
そしてまた大きな地震で、たくさんの方の大切なものが失われていきました。

地球上安全な場所なんてないし、どこに住んでいても、土地を買ったとしても、
すべては地球の持ち物なんだという気がしています。
自分自身だけのものなんて、この世界に一つもないような、そんな気さえしています。

あるときから狂ったように彫刻を作り始めました。
失われた「形」にとらわれた私は、大好きだった動物や生き物たちが木の中に浮かんでは見え、
10年経った今でもなお、何を彫ろうか悩んだ事もなく、彫りたい生き物たちがまだまだあふれかえって私を待っているようです。
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一本の大きな樹のようになりたい、といつも思っています。
実りは遅くても、ゆっくり時間をかけて、根をはり、おおきくなって、
その種を、鳥や風にはこんでもらう、ような。

彫刻を手に取ってくださる方は私にとって風であり鳥であり、
彫刻になったその子の一生を、またあたらしい風景と物語で生かせてくれる、大切な感謝してもしきれない存在です。
彫刻を、世界中たくさんの場所にちりばめたいと思っています。
それは、きっと種の保存の習性とおなじで、
私にとって作る彫刻たちは血であり種であり、
私自身のものだけにするのではなく、
大切な彫刻ほど、たくさんの方に届けたい、
たくさんの土地に住んでもらい、たくさんの土地を旅してもらいたい。
どこかで、だれかに大切にしてもらった方が、彫刻が生きる可能性がとても大きいからです。

例えば自分の家にすべての彫刻を置いて大事にしまっておいたら、
きっと地震や火事で、一度にすべてがなくなってしまうリスクが、高まるのでしょう。
世界中にちりばめておけば、どこかできっと、私が死んでも、無事でいてくれる。

彫刻たちとのさよならは寂しいですが、私が生きている限りは、また作る事ができる。
あと数十年のびっくりするほど短い期間につくる彫刻の動物たち。
ちりばめる彫刻を、迷子にさせないように、
誰かにとって宝物になるように、
つくりつづけていきたいな、とおもっています。



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014年5月 東京 浅草橋 ギャラリーKISSAさんにて個展 「いぬねこ島へようこそ!」開催中です!

彫刻家 はしもとみお展 いぬねこ島へようこそ 2014.05.17 (Sat) – 06.21 (Sat)


6月14日 名古屋 ミュシカ分室さんで木彫り教室デッサン教室があります!


2014年7月 兵庫県 西宮ガーデンズで木彫り教室があります


2014年7月 大阪 箕面市 けんちくの種さんで はしもとみお展〜いきものたちの隠れ家〜 開催します!

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写真はこの前の猫を彫るワークショップのお客様の彫刻、すばらしい!




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# by m_kirin30 | 2014-06-02 09:47 | Trackback | Comments(2)

ものの終わり

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ひとつひとつの仕事をたいせつに、日々過ごしています。
いつでも終われる覚悟で、彫刻しています。

彫刻は、どれだけ時間をかけても、彫り足りないものです。
そもそも彫刻には、終わりが無いものだと感じます。
完成とは、そしたら何なのか、それはもう、時間で区切るしかないようなものです。
いつまでたっても、そばにいる彫刻には、手を入れたくなります。

そんなときに私はいつも、「ものの終わり」について考えます。
「終わり」を想像するといつでも覚悟ができるようになります。
血を通わせながら作った彫刻も、いつかこの手を離れる、
私はいつもそばに覚悟を住まわせながら彫刻をしているように思います。
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明日死ぬつもりでつくりなさい
百年続けるつもりでつくりなさい
あなたがひとつの才能をみがけば
神は多くの才能をあなたに与えてくれます

浪人時代に聞いたこの言葉ですが、いまになってもこの言葉の意味を考えない日はありません。

終わりの予測こそが、美術には一番必要な事のように思います。
明日死ぬかもしれないように、
百年続けるかもしれないように、
この大きな矛盾の、どちらでも悔いが残らないように、
そんなふうに、制作するべきだと、日々感じています。

あるとき思った事が、
「終わり」の真の予測さえあれば、
時間に関係なく、どの瞬間も完成している、のだということ。
つくられたものの善し悪しは、かけた時間ではなく、
完成を予測してそこを目指したものであるのかどうか、
そこにすべてがかかっているように思います。

この仕事で生涯終わるのかもしれない覚悟で、
その仕事を百年続ける事ができたら、
それはなんてすばらしい制作になるんだろうと感じます。
いつでも最後の仕事として悔いの残らないように、
今日もこの手に、仕事を与えたいと思います。
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次回展覧会は東京です。
イベントも盛りだくさんですので、ぜひ遊びに来てくださいね!

2014.05月17日(土) 18:00~ いぬねこ島へようこそ! はしもとみお展 レセプション、19:00~ カリンバSage×橋本学 ライブ

はしもとみおワークショップ 5.18 「いぬねこデッサン教室」

5月25日(日)いぬねこ島へ ようこそ ! ~彫刻家 はしもとみお 展~ 関連イベント

橋本学は、実兄で、東京でドラマーをやっています、このたび、展示会場でライブをしてくれる事になりました!
詳しくはこちらもご覧ください

実際犬と猫を飼っている兄、どんな犬猫ミュージックを繰り広げてくれるのでしょうか、とてもたのしみです^^













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# by m_kirin30 | 2014-05-05 11:43 | 日常 | Trackback | Comments(6)

彫刻の仕事

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彫刻とは、多くの不自由の中で制作するものです。
大学を出るととたんに、世界は変わります。
今までは、自分が神聖な芸術を作っている気分で、朝から晩まで思う存分制作していたのに、
卒業していざ作家活動を始めると、
音がうるさい、ゴミが大量に出る、木材や彫刻を置いておく場所がない、粉塵がひどい、
たくさんの理由で、町中での仕事は困難を極めます。
その上、高い、場所をとる、重い、
なかなか手に取ってもらえず、生活は困窮していきます。

大学時代にためた貯金はすぐそこをつき、生活ができないと彫刻もできないので、たいていはアルバイトか、教師、講師の仕事でやりくりをしていくことでしょう。

私はその苦しい時、ふっと彫刻家、という仕事を遠方から見てみよう、と考えました。
彫刻で生活できないのは、彫刻家とは呼べないのではないだろうか、と。
こんな当たり前の事なのですが、美術の世界では実際美術だけで食べていけない美術家がたくさんいます。それでもいいものは作れるし、私は仕事にしてようが、してまいが、いい美術は、いいものだという事を断言できます。
私はどういう風になりたいのだろう、と。
そのとき、私は、彫刻で食べていく彫刻家、になりたいと、心から思ったのでした。

自分の得意分野、デッサンの技術の使える具象彫刻の仕事で、
自分の最愛の、動物たちの姿をのこしていく、動物の肖像制作。
この分野でとにかく世界でも類を見ないところまでいけないと、日本で作家活動をしていくのは困難でしょう。

一番の足かせ、彫刻は値段が高い、というもの。
高い、と感じてしまうのは、それだけの価値があるものを、サービスを、お客様側に提供できていないからなのではないか、と。
そして価格を少しでも下げる努力を、お客様が喜んでくださるサービスを、私たちがしてこなかったのではないか、と。

スピードを上げる事でも価格は抑えられますが、私は彫刻の仕事に必要でないすべてのものを捨てようと考えました。
便利で快適な生活、それをやめて田舎に住む事で、
多くの出費を抑える事に成功し、その分彫刻の精度をあげることが可能になります。
木材を大量にストックしておく場所もあり、光熱費も薪を燃料にして出費を減らす、
生活を変える事で、多くの出費をなくす事ができました。
そしてお待たせする事はしょうがないけれど、一つ一つの仕事をとてもていねいに、お客様が価値をプライスレスだと思ってくださるような、お金には換えられないようなたったひとつの肖像彫刻を、作って仕事をしていこうと、心に決めたのでした。
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この仕事は多くを稼ぐ事はできませんが、田舎での豊かな生活は可能です。
私はたくさんのものを捨てる事で、たくさんの豊かなものを手に入れたような、そんな心地でいます。
意志を持って、新しい山を登るために捨てた荷は、
きっとその何倍も価値のあるものになって、自分のもとへあたらしいものがやってくる。
そんな風に今は感じています。

苦しい事はたくさんあるけれど、自分の得意分野を仕事にできる事はやりがいもあり、なにより面白いです。
若い美術家たちが、たくさんこの春美大を卒業して社会へ巣立っていきました。
一人でも多くの、美術を仕事にする美術家が、日本に増えてくれる事を望んでやみません。
そのことがいずれは、日本の国土を、生活のあたたかさを、日常の幸せを、
そういったものを育てる種になるということを想像しています。
こころを動かす美術の仕事は、人間の衣食住と同じくらい、たいせつなことだと感じながら、
日々、美術の仕事を、続けていこうと思っています。
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次回展示会は東京です、たくさんの、いぬ、ねこ、犬猫彫刻グッツに会える予定です。
詳細はまた追ってアップしますね!

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# by m_kirin30 | 2014-03-26 10:53 | 日常 | Trackback | Comments(8)

美術のしごと

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絵を描くのがすきな人はたくさんいます。
絵を描くのが得意な人もたくさんいます。
だけど美術の仕事を志す人は少なく、
特に作家の仕事を志して、仕事にする人は少なく、
作家業の中でも彫刻家を選び、生業にする人はさらにすくなく、
そのなかでも女性となると、超絶滅危惧種の存在でしょう。

美術の世界から社会を見て、まだ十数年ですが、
日本で美術の仕事を、特に作家業で生活していく事の難しさは、感じない日はありません。
好きな事を仕事にする、という言葉では、くくりきれないたくさんの思いがあります。

美術を仕事にする事が難しい事だからといって、あきらめる事は全くありません。
また、美術を仕事にするという事が難しいというのは、単に私が力不足だからなのでしょう。
そして、その力不足の美術家が、苦しいと口にする事で、美術の仕事は、とうてい無理、たいへんだと、若い学生や子供たちが耳にしてしまい、目指す人が少なくなってしまうのでしょう。

次世代のまだ見ぬすばらしい力を持った美術家のためにも、私たちは胸を張って、美術の仕事を勧められるよう、文化をつくっていかなければならないし、ひからびた土壌を耕さなければならない、
プロフェッショナルとして稼げる仕事を増やしていかなければならない、
ほかの土地で稼いで美術をするのではなく、自分の土壌で稼げる手段を見つけなければならない。
そのためにはたくさんの作家たちで協力して、日本の美術を、よりよいものにしていこうと、そう思います。
自分の獲得した土地を独り占めするのではなく、他の土地の富をもらって生きていくのではなく、そこを耕し、木を植え、動物たちを呼んで、集まる場にしていく、そういった見渡せる目を、私たち美術家こそ、養っていかなければならない。

今回大きな個展を開かせていただき、たくさんの方に彫刻の動物たちを見ていただくきっかけになりました。
私は表現として動物を扱っているのではなく、この同じ地球に生きていた、美しい、愛する生き物たちの姿を、のこして伝えていく方法を探して、美術の世界にたどり着きました。

たどりついた島がどんな世界でも、私はこの土地を愛し、耕し、大きな木になって、たくさんの生命を育てていきたい、そんな風に思います。
2014年のはじまりは、そんな、これからの事をたくさん考えるものでした。
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展示風景 猫のムウちゃん
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立体動物図鑑
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木馬のワークショップ
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動物たちの晩餐会
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UAEのなかまたち
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彫刻のふれあい動物園
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会場でスケッチ大会
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動物たちからの手紙、展示風景。

一宮市の広報番組でも取り上げていただきました。


ワークショップ、イベント等もつづきます。

どうぶつを彫る-揺れる木馬  NHK文化センター名古屋教室


『ヤネウラット森の文化祭2』 ~みんなでつくる大きな木~
【とき】2014年4月5日(土)14:00開場 14:30開始
【ところ】アジール 〒511-0411 三重県いなべ市北勢町京ケ野新田97-8
     ※駐車スペース多数有り
【定員】30名 (定員達し次第受付終了 キャンセル待ち有り)

【ワークショップ 】
画家 くまたにたかし
彫刻家 はしもとみお
【おんがく】
ポチとolive
演出:渡邊春菜



5月18日〜6月21日
東京 ギャラリーKISSAさん 「いぬねこ島へようこそ」個展
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# by m_kirin30 | 2014-02-25 22:06 | 展示 | Trackback | Comments(5)

動物たちのこと

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いままでに出会った動物たち、わたしはそのひとりひとりの暖かさや温度を、忘れる事はありません。
言葉の通じない彼らとふれあう事で、言葉のいらない語り合いを、日々感じています。
動物たちが好きかと聞かれると、単純に好きという訳ではなく、
自分とは違った形をしている、違った生き方をしている生き物だという興味と感動の感覚です。

「他者の痛みや苦しみを、深く想像できる人間になれ」

このことは、もの言わぬ動物たちから教えてもらいました。
死を間近にした動物たち、木々の生命、目に見えぬ生物たち、
彼らは人間よりもはるかに想像力がある、と私は感じます。
それは、死や危機を想像する能力、常に緊張感を持って、生きている。
自分の苦しみを想像できるからこそ、他者の苦しみも想像できるようになる。
そんな生き物に、私もなりたいと感じます。

肖像彫刻は、モデルになった生き物たちと語らう行為です。
そこには目に見える形、手で触れるかたちを超えて、彼らの言葉を書き留める行為にも似ています。

今回の展示会で、今まで彫刻にしてきたたくさんの動物たちが出演するので、その子たちの事をここで一度紹介させていただこうと思います。

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まずは、UAEのなかまたち
2010年10〜11月に、私はUAEという遠い砂漠の国へ、動物たちの彫刻を作るための取材に行きました。 記事参照

伺ったのは、はなももの別館というブログをされている、UAEのお宅で、初めての一人での海外出張でしたが、私の彫刻人生の中でもほんとうに貴重な取材をさせていただきました。
その暮らしは、日本とはまるで違う、朝日がのぼるのをみあげて、日が暮れると眠る、それはそれは美しい人間本来の暮らしでした。
動物たちも日本のようにペット、ではなく、同じ土地に住む仲間であり、家族である。
そういった感情が素直に受け入れられる、そんな場所でした。
今回の展示会には、そんな遠く砂漠で生きている、生きていた、サーメル、ダマーニ、という名前のガゼル、ハトのクブズ、猫の3ちゃん、ラクダなどが並び、UAEの生き物たちの美しい暮らしを再現します。彼らにはたくさんの砂漠の暮らしでの物語があり、そこには美しい答えがありました。
言葉を持たない彼らからの手紙を、受け取っていただけたらと思います。
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次に犬たちを紹介します。
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カブ君、リンゴちゃん。愛知県立芸術大学時代に制作しました。

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ヴェルちゃん カブくん家族のなかよしの子です。

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ドンちゃん 瀬戸に住んでいて、昭和生まれの顔のもこもこした凛々しいわんこです。

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月君 飼い犬です。

その他にも多数の等身大の彫刻たちが一同に並びます。
まとまって見られる機会は数年間は無いと思うので、この機会にぜひ遠方の方々も足を運んでいただければと思います。
会場には、座って一緒に楽しめる「動物たちの晩餐会」や、
触って楽しめる「ふれあい動物園」や、
写真撮影可能、「めざせ珍獣ハンター」のコーナーなど、楽しい企画がたくさん盛り込んであります、
大人も子供も楽しめるような、空間にしたいと思っています。
ぜひ、あそびにきてくださいね!



動物たちからの手紙

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# by m_kirin30 | 2014-01-26 10:17 | 展示 | Trackback | Comments(12)