水面下

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表面上では何も変わっていないように見えて、見えないところでふつふつと、爆発を繰り返しているものはたくさんあります。

美術をはじめてすぐの頃のことを、最近はよく思い出します。

小さい頃から絵が得意だったはずの私が、美術予備校の中では、まったくの劣等生でした。
絵がうまくて当たり前、さらには感覚の優れたひとたちばかりの中、私は自分のセンスの無さと技術の無さに途方にくれ、大きな海に行くあても無く取り残されたようなカメのような気持ちで、絵を描くことが苦しみだった日々が続きました。

好きに描いていたちいさな頃は幸せでした。
好きな絵を描いて、いいね、上手だねとほめてもらって、うれしくなってまた描いて。
だけど美術のプロになるということは、趣味ではなく、評価される絵を描かなきゃいけない、
かといって、人の評価だけを追い求めると、感覚の神様はそっぽを向いてしまいます。

どうしたらあのひとのようにうまくなれるの?と
毎日誰かにあこがれて、まねをして、でもなれなくて、
かといって自分の個性というのも分からず、うまく描けない日々が続きました。

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そんなとき、私を救ってくれたのが、いつもデッサンでした。
デッサンは、私にとっては、とてもわかりやすいものです。
答えは、目の前に、いつもある。
そんな現実を真っ向からみつめ、描くデッサンは、かっこつけようとせず、自分の目の前のものを信用したらいいので、私には気持ちが楽でした。

デッサンだけは、私が世界を信用した分だけ、答えてくれる。
そうして、ひとつのものをそのままに、リアルに描くことに身を委ねて、私の美術の人生はおおきく変わりました。

そのままで世界は美しいのだということ。
こころが澄んでいれば澄み切っているし、こころが曇ればもやがかかる、
世界は、自分の感情によって、支配されているのだということ、
世界を信用する力が、デッサン力なんだということ、
そんなことを、美術をはじめて3年のあいだに、たくさんたくさん学びました。

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水面下で、周りから見ると、どうしようもないようにみえるような状態でも、
その人の奥底では、明らかに変化があって、はじけて、生まれ変わっている状態のことはよくあります。眠っているときに、一番活発に、成長細胞が動いているように。
成長のペースはさまざまなので、自分だけが人よりおそく感じることもあって、
あせって、見失って、くるしいですが、
そんなとき、私はいつでも、自分を待ってあげることにしています。
自分を、他人のように見つめ、
自分という人間の成長を、信じて待ってあげることにしています。
自分の努力を知るものは、自分自身しか、決してわかってあげられないのだから。
どんなに苦しくても、彫刻をつづける、
それだけを糧に、また、今年の春から、作り続けて行きたいと思っています。

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今回の素敵なお写真たちは、写真家の森田直樹くんが、那須高原の展示会風景を撮ってくれたものです。私は彼の写真がとても好きで、今年は彫刻もたくさん撮ってくれる予定なので、とても楽しみにしています。


今月、岐阜県可児市 レストラン ものがたりさんで、展示会をしています!
お近くの方は、ぜひ、イベントやワークショップ、お食事に遊びにきてくださいね!
20日には、ポチのアミちゃんのライブもあります。
彼女は現在NHK Uta-tubeにも出演中です!



「いきものたちと、ものがたり」展


イベント当日はもちろん、4月5日から約一ヶ月、壁画の森に彫刻家はしもとみおのいきものの彫刻や、画家くまたにたかしの絵がたくさん展示してあります。
どうぶつたちの「ものがたり」とともに、お食事をしながら、彫刻や絵のいきものたちと素敵なひとときをお過ごしください。


4月5日(金)~4月29日(月曜)〈春分の日〉
9:00~21:00


木曜定休・4月20日は14時まで


■ はしもと みお(彫刻)  http://kirinsan.awk.jp/
■くまたに たかし(絵画) http://ameblo.jp/iroha-works/


昨年30周年を迎えたレストランものがたり。季節も春を迎え、内装を一新します。
壁画の森のおひろめを、生き物の彫刻たちや絵、優しい音楽と美味しい料理で彩ります。
優しく楽しい春のものがたりで、みなさんのお越しをお待ちしています。



ワークショップ

完全予約制

レストランものがたりで文化に触れてみませんか?


(1)はしもとみお&くまたにたかしのスペシャルデッサン教室


彫刻家 はしもとみおと 画家くまたにたかしによる
はじめてのコラボデッサン教室
鉛筆と紙を使って、基礎から楽しく
光や影、色や形、ものの見方をちょっと変えてみましょう。


4月28日(日)14:00~
(16:00終了予定)
料金: ¥3,000(1DRINK/おやつ付き)
もちもの:特になし
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(2)はしもとみお木彫教室


彫刻家 はしもとみおの木彫り教室。
レストランものがたりで、個性豊かなカワウソ箸置きを作ろう!


4月29日(月)<春分の日>14:00~
(17:00終了予定)
料金: ¥3,500(材料費込/1DRINK/おやつ付き)
もちもの:汚れてもいい服装/作りたいカワウソの写真など
※小さいお子様の場合はご相談ください


お名前、連絡先、ご予約人数をお伝えください。
下記方法からお申し込みいただけます。
*電話→  0574-63-1710(レストランものがたり)
*メール→ iroha_works☆hotmail.co.jp (いろ葉)☆を@に変更して送信お願い致します。
*Facebook→ https://www.facebook.com/events/573225396029524/「いきものたちと、ものがたり」イベントページ
にて「参加する」ボタンをクリックで申し込み完了です。
 ご参加いただくイベント/ワークショップ(1or2)/
 複数名ご参加の方は人数をコメントで明記ください





イベント


2013年4月20日(土)
17:30 OPEN/ 18:00 START
【場所】   
レストラン ものがたり

岐阜県可児市下恵土5505
(0574)63-1710
【料金】    
大人¥3,500/ 小人 ¥1,750
(食事付き/飲食持ち込み可)
フリードリンクですがウーロン茶/オレンジJ/ワイン/のみ
【定員】   
40名(完全予約制)
【MUSIC】  
アコースティックの優しい音色たち
■ポチとolive    http://amipochi.jimdo.com/
■Flying Doctor  http://flying-doctor.jimdo.com/
【ART】  
自然いっぱいの壁画と動物いっぱいの彫刻と絵
■ はしもと みお(彫刻)  http://kirinsan.awk.jp/
■くまたに たかし(絵画) http://ameblo.jp/iroha-works/
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【ご予約/お問い合わせ】 
20日のイベントとワークショップは完全予約制です。
お名前、連絡先、ご予約人数をお伝えください。
下記方法からお申し込みいただけます。
*電話→  0574-63-1710(レストランものがたり)
*メール→ iroha_works☆hotmail.co.jp (いろ葉)☆を@に変更して送信お願い致します。
*Facebook→ https://www.facebook.com/events/573225396029524/「いきものたちと、ものがたり」イベントページ
にて「参加する」ボタンをクリックで申し込み完了です。
 ご参加いただくイベント/ワークショップ(1or2)/
 複数名ご参加の方は人数をコメントで明記ください
*各アーティストへ直接申し込み
※ご予約は先着順にて定員に達し次第受付を終了させていただきます。
【その他】
レストランものがたり
TEL : 0574-63-1710
木曜定休 9:00 ~ 21:00
■お車でお越しの方
P20台有り(満車の場合は一度お問い合わせください)
■電車でお越しの方
名鉄 広見線「新可児駅」・JR 太多線「可児駅」から徒歩10分
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# by m_kirin30 | 2013-04-17 16:44 | 日常 | Trackback | Comments(2)

あたらしいこと

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あたらしい季節に、あたらしい環境に飛び込み、あたらしい友達と、あたらしい生活をはじめるときの緊張を、私は忘れることはありません。
なぜなら毎日、あたらしい木と出会い、あたらしい気持ちで、あたらしい彫刻を作り、
あたらしい白い紙に、あたらしいモチーフを、あたらしい気持ちで描いているからです。

木は友人のようなもので、向き合いながら手探りに、形を探して行きます。
私の、作りたい形があって、
木の、なりたい形があって、
作りたいものを、手を通して伝えるのですが、木が、思い通りに言うことを聞いてくれることは少なく、私はからだいっぱいで思いを伝えようと、いつもあたらしい環境にとびこんだ子供のように、どきどき緊張しながら彫刻をしています。


世界は毎秒新鮮で、作りきれないモチーフ、拾いきれない美しいものたち、
まだ見ぬいきものたちや、出会っていない人たち、
私の興味と感動は生涯つきることは無いでしょう。

どんなときでも、継続することは一日も欠かさずつづけるように、
そして、一日ひとつでも、あたらしいことに、挑戦するようにしています。

今、またあたらしいことの真ん中に、身を置いています。
展示会で、那須高原という地に、作家、音楽家の友人たちとともに来ています。
東京、仙台、愛知、岐阜、たくさんの場をともにしてきたこの仲間たちで、
ほんとうにやさしいご好意により、那須高原のあるお宅に滞在させてもらいながら、
音楽と、美術にあふれる展示会と暮らしを、10日間、過ごせることになりました。
私はこの仲間たちがだいすきで、この仲間たちをこころから信頼していて、
仕事をともにしながら、仕事をともにしてくれることへの感謝の気持ちを伝えきれずにいます。


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いつもすてきな声で、展示会場をいろどってくれる、アミちゃん。
彼女が私の絵本「神様のないた日」を読んで、かよちゃんが生演奏で音楽で彩ってくれて、動物の気持ちを唄にした唄を、会場で歌ってくれます。
渡邊春菜ちゃんは、その演出をすべて、行ってくれています。
友人彫刻家の本多絵美子ちゃんも、作品をともに出品してくれています。
みんなで仕事ができることへの喜びは、どんなに積まれた財宝よりも、私の中のたしかな宝物です。

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会場には赤ちゃんのお客様も来てくれて、彫刻にふれあってくれたり、
テラスで風に吹かれながら、木彫り教室を行ったり、
私はこんなふうに、大好きなひとたちに囲まれて仕事ができて、
音楽にあふれて、美術にあふれて、暮らしていけたら、
毎日あたらしい感動と、あたらしい出会いと、そしてこのまま年がとれたら、どんなにいいだろうと、
那須高原の美しい景色にこころをうばわれながら、今を過ごしています。

こんなふうに、いつも、美術の話をしながら暮らしたいと、春一番に、おもっています。

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いきものたちの、ものがたり 展

木彫りの仲間たち: はしもとみお 本多絵美子 新井達矢 宮本裕太 
ものがたり: 竹内真
音楽:ポチとolive
映像:渡邊春菜

2013年3月16日(sat)~3月24日(sun) (19日火曜日休) 
場所 えほんの家MURMUR
入館料:500円お飲み物付き(未就学児は無料)
open10:00~17:00
火曜、水曜定休(20日祝日は開館)
電話0287-69-6535
メールアドレス info@murmur-museum.com
えほんの家MURMURサイト http://www.murmur-museum.com/
住所:〒325-0303 栃木県那須郡那須町 大字 高久乙 字 伊藤台1439-108(繭の里内)駐車場あり

3/1~先行展示 「ものがたりのアンテナ」彫刻 はしもとみお 文 竹内真

彫刻家はしもとみおと、彫刻の仲間たちが心を込めて作った、たくさんの木彫りのリアルな生き物たち大小約50点が、森の中のえほんの家MURMURにならびます。
ゆっくりとしたお時間を過ごしていただくため、今回は特別企画として、小説家竹内真による、ものがたりとともに、はしもとみおの動き出しそうな動物の彫刻たちが、

みなさまを彫刻絵本の世界へご招待します。
また、会場では生演奏の音楽や、ものがたりの朗読なども、イベントで行います。
那須で、ひとときの芸術と絵本にふれる、ゆったりとした空気と彫刻を、お楽しみに、ぜひいらしてくださいね。
近隣には、宿泊施設(繭の里:お問い合わせhttp://www.mayunosato.com/)もございますので、小さな旅行気分で、いらしていただくのもうれしいです。

特別企画

その1

「ポチの森のえほんと音楽会」
絵本「神様のないた日」読み聞かせイベント&ポチライブ
動物の気持ちを歌う、ポチとoliveを迎え、渡邊春菜の演出のもと、はしもとみおの絵本「神様のないた日」の読聞かせ会と、森の動物たちの気持ちをうたった音楽ライブを行います。
23日(sat) 24日(sun)  16:30~17:00(投げ銭制なのでお気軽にご参加ください)

その2

はしもとみおの木彫りワークショップin MURMUR

ゆったりと時間を取って、晴れたらお外で、雨ならお部屋で、あなたの好きな動物を木彫りで一から作ってみましょう!


3月23日(sun) 13:00~16:00  講座料3000円 定員8~10名


持ち物:好きな動物の写真、資料。絆創膏(怪我をしてしまった時のため)ペン(スケッチしたりするため)持っていれば、彫刻刀。汚れてもいい服装、エプロン。
お問い合わせ:hashimotomio@gmail.com
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# by m_kirin30 | 2013-03-17 23:02 | 展示 | Trackback | Comments(2)

難しいこと

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難しいことはたくさんあります。
完成させるということを、急ぎすぎると彫刻はみるみる固まっていき、身動きが取れなくなります。
完成、ということに縛られ、一歩も動けなくなって、恐怖で間違った形も壊せなくなるからです。
それなのに、時間というのは残酷で、いつまでも作っていい作品なんて無くて、社会と関わって、仕事として彫刻をやって行く以上は、決められた時間内で最善の完成を持って行かねばなりません。

作品を、決められた時間内に完成させる、これは、美術の中で一番大切な社会との約束で、
それなのに、こんな基本的な約束すら、美術家にとっては最大にして最強の難問でもあります。

完成させねばならないけれども、完成にとらわれない、最後の一秒まで最善の判断と決断をし、どんなに積み上げてきたものでも必要ないと思ったら捨てる、完成には、おおきな勇気と判断力が必要となります。

心を自由に、感覚を素材に預け、思い切って遊んだり回り道をしなければいいものはつくれません、
また、自由の中にも最大の注意を持って、常に生死をさまよう緊張感を持っていないと、ただの遊びで終わってしまいます。その常に持ち合わせた緊張感こそが実力で、そこが作品の勝敗を決する部分でもあります。

上手くいった、というのは、運がよかっただけで、運に頼るととたんに、運は逃げ去って行きます。
ほんとうの実力とは、作品の中で起こった事故を、解決する能力のことを、言うのかもしれません。
上手くやろうとせず、トラブルをむしろ求めるくらいの気持ちで、気流をどう扱って、どう解決、修正して行くかに、努力の差が、あらわれてくるのでしょう。
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私はいつも、美術のことを人に教えたり伝えたりする時、伝えたいことがあります。
それは、努力は作品の外でやる、ということです。

学生さんであったら、授業で提出する作品は、作品なので、普段の努力を出す、発表の場なので、
授業外でどれほど失敗と、修正と、自分の強化ができるかが、大切な時間になってくるでしょう。
作品のなかだけにそれを求めていると、大きな失敗と、時間をかけた修正ができなくなってしまいます。
私たちだったら、仕事は作品です。
仕事以外の時間で、ドローイングや彫刻、思考、あらゆる失敗と修正、それをクリアしておく必要があって、それが、個人の努力というものなのでしょう。


美術において、努力はセンスを生みます。
センスがない=美術に向いていない、と悲観することは全くなくて、
むしろ、センスの無い人が、努力して勝ち取ったものが、いいセンスなのであって、
生まれつきや環境の差なんて、膨大なのちの努力に比べたら、微々たるものでしょう。


言葉では簡単に言えても、簡単なことが一番難しく、今なお勉強のさなかにいます。
それでも私は、自分が美術に出会って、すべてが変わって、美術から教えてもらった幾千の真実を、
ひとつひとつ彫刻に刻んで、伝えて行けたらいいなと思っています。

来年に大きな個展が1つあるので、そちらに向けた制作を、今年は丸ごと費やして作って行こうと思っています。

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今年も、素敵な場所で、ワークショップや展示会をさせていただけることになりました。

ミュシカ分室
サタデッサン教室

2013年2月23日(土)  「ゆれる木馬を作ろう」の会
2013年2月24日(日)  「 ペン画で好きな動物を描いてみよう」の会

ご予約先: ミュシカ  お電話またはメールにて
TEL: 052-737-8601 / CONTACTページ お名前、ご連絡先、参加希望日時、人数をお知らせください。




栃木県、那須高原のえほんの家MURMURさん
チルチンびと広場
那須高原ガイド
こちらは那須高原の素敵な場所で、ワークショップやえほんの読聞かせイベント等させていただきます。ぜひ、旅行気分であそびにきてくださいね。


5月には東京でワークショップもあります。そちらもまたアップしますね。
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# by m_kirin30 | 2013-02-15 20:19 | 日常 | Trackback | Comments(0)

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好きな事はとことんのめり込み、嫌いな事はいっさいやりたくない、興味を持った事に大きく偏った私の青年期は、ひねくれ曲がった木のように、たくさんの人に迷惑をかけ、自分も傷だらけになりながら、生き物の研究や、音楽や、演劇や、興味がある事はあれもこれも中途半端にやってきました。

美術の世界に飛び込んで、それはまさに、かなづちが大海に飛び込むようなもので、
死ぬか生きるかの瀬戸際を数年、ようやく普通に浮けるようになって数年、という無謀な挑戦から始まり、今年で15年目になります。

彫刻、というものに、若い頃から出会えたのが、私の人生でいちばんの幸福でした。
彫刻は、私が一番逃げ出したいと思っている問題をすべて直面させてくれるもので、
彫刻のおかげで、何でもできるようになりました、いやなことでも、苦手な事でも。
今までは逃れられた問題も、彫刻だけは、私を逃がしてはくれませんでした。
そして、彫刻だけは、中途半端で終わる事を、私に許してはくれませんでした。

それはきっと、何か1つの事をつきつめていけば、かならず突き当たる部分であり、
そこでやめるか、つづけるか、その先を見に行くか、もどるか、
それを繰り返して、あとは前人未到のケモノ道を、進んで行くしか無いのでしょう。
それでも進みたい、と思える事が、天職だったのだと、思っています。
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彫刻が大好きなので、彫刻に見捨てられたら終わりだと私は思っていて、
彫刻をやめる時は、はしもとみおという人間をやめる時だとも、いつも思っています。

自分の仕事が完全に形に残って行く、彫刻と出会って、厳しさと、その厳しさを表現するにはそれに対応したやわらかさがないといけないという事、
できるだけおおきな器となって、たくさんの感覚をうけ、そのなかで何を捨てて行くかが、彫刻の大事な決断であるという事、

たくさんのことを彫刻から学んだ中で、いちばんの事は、
信じる、ということに、つきると思います。
自分を信じることは、自信、なのですが、これと自己満足の境目がとても難しく、
一歩間違うととたんに一番悪い状況にもなってしまう、とても危険なものですが、
ほんとうに大切な事は、それくらい危ういもののようにも思います。

自分を、自分のいる世界を、未来を完全に信用する事は、とても難しい事です。
なんとかなる、というあいまいなものでは決してなく、確固たる自信を持たなければ、未来のためへの具体的な努力ができません。
未来を完全に信用する事は、ちゃんと疑った上で、この道の選択でよしとする、というとても気力のいる、疲れる事です、そしてその力が少ないと、努力をする、つづける、という力が失われて行きます。
時の流れ、世界の流れの中でも、濁流の中でその針を、ぶらすことなく一定に保つ力、
方向を見失わず、目先の流れに右往左往せず、目的地へ進む、そんな力は、
自分の指針と、世界の理を、完全に信用していなければ、生まれてくるものではありません。

継続して努力するという事は、一番の答えでもあり、努力こそが、自由へと自分を導いてくれる。
その一番根っこになる力は、この世界を、自分を、信用する、ということなのでしょう。
信用すれば、間違っていたらきっちりと裏切られる。
それを学んで、また新しいものを信用して、また間違う。
同じ間違いを二度としない事だけ、学習して、
世界をあきらめずに、信用し続ける力こそが、宝物のように、そう思っています。

間違った分だけ、信じる力も、身に付いてくる。
デッサンが、まずモチーフを100%信用する事から、始まるように、
この世界を信用する事ができた私は、ようやくスタート地点に、たてたのかもしれません。
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今年は制作に没頭しようと思っています、立ち止まって、蓄える、そんな時期なのかもしれません、
今年も、よろしくお願いします。

次回展示会&ワークショップはこちらです。
春休みの小旅行に、那須高原にぜひ、遊びに来てくださいね!
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いきものたちの、ものがたり 展

木彫りの仲間たち: はしもとみお 本多絵美子 新井達矢 宮本裕太 
ものがたり: 竹内真
音楽:ポチとolive
映像:渡邊春菜

2013年3月16日(sat)~3月24日(sun) (19日火曜日休) 
場所 えほんの家MURMUR
入館料:500円お飲み物付き(未就学児は無料)
open10:00~17:00
火曜、水曜定休(20日祝日は開館)
電話0287-69-6535
メールアドレス info@murmur-museum.com
えほんの家MURMURサイト
住所:〒325-0303 栃木県那須郡那須町 大字 高久乙 字 伊藤台1439-108(繭の里内)駐車場あり

3/1~先行展示 「ものがたりのアンテナ」彫刻 はしもとみお 文 竹内真

彫刻家はしもとみおと、彫刻の仲間たちが心を込めて作った、たくさんの木彫りのリアルな生き物たち大小約50点が、森の中のえほんの家MURMURにならびます。
ゆっくりとしたお時間を過ごしていただくため、今回は特別企画として、小説家竹内真による、ものがたりとともに、はしもとみおの動き出しそうな動物の彫刻たちが、

みなさまを彫刻絵本の世界へご招待します。
また、会場では生演奏の音楽や、ものがたりの朗読なども、イベントで行います。
那須で、ひとときの芸術と絵本にふれる、ゆったりとした空気と彫刻を、お楽しみに、ぜひいらしてくださいね。
近隣には、宿泊施設(繭の里:お問い合わせhttp://www.mayunosato.com/)もございますので、小さな旅行気分で、いらしていただくのもうれしいです。

特別企画

その1

「ポチの森のえほんと音楽会」
絵本「神様のないた日」読み聞かせイベント&ポチライブ
動物の気持ちを歌う、ポチとoliveを迎え、渡邊春菜の演出のもと、はしもとみおの絵本「神様のないた日」の読聞かせ会と、森の動物たちの気持ちをうたった音楽ライブを行います。
3月16日(sat) 17日(sun) 23日(sat) 24日(sun)  16:30~17:00(投げ銭制なのでお気軽にご参加ください)

その2

はしもとみおの木彫りワークショップin MURMUR

ゆったりと時間を取って、晴れたらお外で、雨ならお部屋で、あなたの好きな動物を木彫りで一から作ってみましょう!

3月16日(sat)、23日(sun) 13:00~16:00  講座料3000円 定員8~10名
持ち物:好きな動物の写真、資料。絆創膏(怪我をしてしまった時のため)ペン(スケッチしたりするため)持っていれば、彫刻刀。汚れてもいい服装、エプロン。


お問い合わせ:hashimotomio@gmail.com
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# by m_kirin30 | 2013-01-13 21:51 | Trackback | Comments(2)

ひろがる

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美術の世界にだけ住んでいた、外に出るのが苦手な私を、たくさんの広い世界に、出会う新しい仕事が連れ出してくれています。
作ることは得意で、後はほとんど苦手で、
ほんとうに自分の血と汗を注いで作った彫刻も、作り終わった後、どのように人に見てもらおうか、見せて行けばいいか、そこまで頭が回らず、いつも作りっぱなし。
それでも、こんな私に色んな方が声をかけてくださって、たくさんの会場で展示する機会をいただき、なんとか一人で、仕事を立ち上げるまでに、至りました。

いまでは仕事がようやく足で立って歩き、私の知らない世界や、行かなかった場所、たくさんのところへ、私を連れてってくれて、私は新しいものの見方や、感動を、日々もらっています。

世界がひろがる、というよく使われる言葉がありますが、
あれはどこか旅行に行ったりそんなときに使うための言葉ではなくて、
同じ地点に立っているのに、さっきまでとはまるで違う、ひろい視野でものごとの真実が見える瞬間のことを、言うのだと、そう思います。

7年前にいた東京と、同じ土地に立ったはずなのに、明らかに違う、それは、
一人で世界中と戦っているような気分だった臆病で自分本位な私がもういなくて、
代わりに、たくさんの強い味方を手に入れて、喜んでもらうために世界にできることをしたいという自分がいて、それはそれは、世界が何倍にも、ひろがったものの見方が、できるようになったんだと思います。

ひろがる瞬間は、いつもだれかの、ものの見方を理解できた時です。
自分の大好きな人が、好きだという音楽や、絵が、自分にもわかった時の喜び。
それととても近くて、
自分は持っていなかった感覚を持っている人に出会い、その人が真剣に心を込めてやっていることが、自分にはできなくても、わかる、その時の、喜びの発見と感動です。

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今展示中の代官山アドレスディセの、「動物たちと過ごすクリスマス」、前回の大阪ボダイジュエキスポの展示、どちらもコーディネートを行ってくださったのが、名古屋の北欧アンティークのお店、ミュシカさん店主の2人でした。

私はものを作ることに、ミュシカさんはものの美しさを発見することと飾ることに、とてもこだわりを持っていて、私は自分の彫刻を、彼らとであって何倍にも引き立ててくれる空間が作れるということに気づき、美術の神様がくれた素敵な出会いに、とても感謝しています。
私は彫刻を提供させていただいただけで、飾り付けやコーディネート、空間デザインはすべてミュシカさんが行ってくださいました。

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今回のディスプレイも、夜遅くまで、泊まらせてもらうお家で、雪の結晶を暗いお部屋の中、作り続けるミュシカさんを見て、なんだかうれしくて申し訳なくて、でもこうやって大人になって、仕事で雪の結晶を作れる楽しさに、疲れも吹き飛んでしまいました。

最後の瞬間の、リボンの少しの向きや、布の少しのしわまで、何度も何度も、直し続けてくださって、
私は、そのとき、たしかに世界の見方が、ひろがるのを感じました。

みんなそれぞれ、性格も個性も違って、目に留まるところや、美しいと思う物事が、許せないことが、すこしづつ違う。
その「違い」が、見えないところを補い、できないことを支えあって、いいもの作りができるのだと、そう思います。

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代官山アドレスディセ 12月1日〜25日まで

「動物たちと過ごすクリスマス」

 はしもとみお×ミュシカ

■動物たちと過ごすクリスマス
日 時:12月1日(土)~25日(火) 内 容:彫刻家はしもとみおと北欧アンティークショップ「ミュシカ」コラボによる、今にも動き出し そうな木彫りの動物たちが館内を彩ります。
会 場:代官山アドレス・ディセ2階吹抜け特設会場
(協力:Myshica)

■動物の木彫りワークショップ 日 時:12月22日(土)・23日(日) 13:00~15:30/ 16:30~19:00 内 容:彫刻家はしもとみおによる動物の木彫りワークショップ。 会 場:代官山アドレス・ディセ2階吹抜け特設会場 制作作品:「くまのブランコモビール」(12/22)「トナカイに乗ったサンタさん」(12/23)

■動物の似顔絵(水彩画)イベント
日 時:12月24日(日) 13:00~15:30/ 16:30~19:00 内 容:彫刻家はしもとみおがお客様のお顔を動物に見立てて似顔絵を描きます。

会 場:代官山アドレス・ディセ2階吹抜け特設会場

   ディセのワークショップ ≪各ワークショップ共通≫
   ・会 場: 代官山アドレス・ディセ内 2F吹抜け
   ・参加費: 開場1時間前にチケット(1,000円)を販売
          ※参加者様にはディセお買物券1,000円分を進呈


ぜひ遊びにきてくださいね!



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# by m_kirin30 | 2012-12-03 22:48 | 展示 | Trackback | Comments(2)

リアル

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現実は厳しい、という言葉をよく目にしますが、私は現実ほど好きなものはありません。
つらいことや苦しいこと、厳しいことももちろんありますが、そちらに注目すると、世界は苦ばかり、影の部分、苦しいことには人は敏感ですが、
人は幸福に対する感覚はいつも鈍い、そう思っています。
自分はしあわせだ、と言うことにはとても、勇気と体力がいる気がします。それを聞くのも、また。
ちょうど、絵を描いていても、影ばかりはよく追えるのに、光の部分を描くのはとても難しいように。


美術をはじめて、めのまえのすべてが、うつくしいものだと気がついたことが、一生を大きく変える出来事でした。
嫌いなものの中にも、うつくしさがあって、それこそ、もう名前がつく前の、そのもののうつくしさそのもの、というような。
なにげなしにふんでいた雑草、名前もない風景、ただの今日の空、使い古した道具たち、道ばたのカラス、そのすべてが、「絵になる」「彫刻になる」、ということは、美術から教えてもらいました。
どんなものにも、それなりの美しさがある、そんなこと、あらゆるものを描いてみないと、普通に生きてきた私にはとうていわからないことでした。

なんというか、少し恥ずかしいのですが、
私はこの世界がとても好きで、好きな現実の景色をそのまままるごと残したい思いから彫刻をはじめました。
そしたら現実の中に今まで描いていた夢も、無限の自由も見つかると、ある時思って、それからまたとても、楽しくなりました。
自分がみつけた大好きな生き物たちの瞬間、それを、ほかのだれかに、好きな人たちに、まだ見ぬ友達に、そのまま伝えたい、
彫刻は、立体になった手紙のようなものでもあり、レポートのようなものでもあり、たくさんの言葉や、音や、手触り、温度、目だけでは感じられないあらゆることをつめこんで、作っています。

この世界の、光の部分も、影の世界もどちらも好きです。どちらも美しく、互いを引き立てる、そういうもののように思えるのは、ようやく大人になってきたのかも、しれません。それか、子供にもどったのか。

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リアルを追いもとめることは、飽くことはありません。
宇宙人がいつか現れて、彫刻をみせて、ほらこんなに地球は美しいと、見たりさわったり、そんなことが共感できるか分かりませんが、
地球に住んでいる人や生き物たちなら、きっと分かってくれる、そんな気がしています。
今年も残りすこし、大好きな現実を、1つ多くでも、のこしていけたらと思います。

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最近は子供たちに彫刻をさわってもらったり、いろいろ楽しい時間も過ごせました。

次回展示は、大阪、東京と続きます。
まずは大阪、
BODAIJU EXPOに参加させていただきます。

友人が特設サイトもつくってくれました。

11月24、25日、大阪近郊の方はぜひあそびにいらしてくださいね!
たくさんの持ち帰ることのできる彫刻たちもご用意しています。
今回は、仲良しのお店、ミュシカさんがコーディネートも行ってくださいます、
きっと、素敵になる予感です!


12月1日〜25日は、代官山アドレスディセで展示&ワークショップです。
こちらはショッピングモールを彩るクリスマス特設展示で、こちらもミュシカさんがひきつづきコーディネートしていただきます、
飾ることが苦手な私も、つよい味方を手に入れて、こころは大はしゃぎです。
こちらはまた告知しますね。
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# by m_kirin30 | 2012-11-07 19:50 | 日常 | Trackback | Comments(0)

上手く描こうとするな

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上手く描きたい、正しく描きたい、そう思うのは当たり前で、絵をはじめてしばらくは、がむしゃらに自分の思う、「上手さ」探しでもあります。

上手さ、正しさを求めれば求めるほど、最後の最後に技術の鍛錬では超えられない、不思議なかべが、たちはだかります、この壁は、なんであるのか、
それは、いままで見たことのなかった、自分なのかもしれません。
自分というジャッジはおそろしいものです、
どこまでも甘くもあれば、どこまでもだまし、だまされる、
自分が本当に描きたかった世界と、今の自分の絵とのギャップがうめられず、
そのかべのまえで、足踏みして一生を終えられれば、どれほど楽かと思ったりもします。

そのかべをのぼるには、捨てなければいけない知識や技術のたくさんの荷物、たくさんの頭につまった重い既成概念、
今までしてきたことを疑うほどに、その挑戦は過酷で残酷ですが、
挑戦すること、そのものにだけある、あたらしいうつくしさ、おもしろさ、みたことのない美が、
かくしきれないようにこぼれ出てくる、そんなものが、ようやく、個性なのかもしれません。

その、手に入れたあらゆる技術を、選んで捨ててゆく、
その中に、その人らしさが、現れるのかもしれません。
持っているものより、捨てていくものに個性があらわれるような。

私は絵があるていど描ける、作れるようになったとあさはかに思っていて、そんな自分に、自分が出したジャッジメントは、
「上手く描こうとするな」
という、今まで自分に課してきた訓練と相対するものでした。

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私は最後の最後で一番欲しかった技術は、「完全に自由に描く」とうものでした。
マニュアルや技法、経験値、つまりは時間にとらわれず、モチーフと純粋にその瞬間めぐりあっていく、そんなかたちとかたちの出会いの物語、
それこそが、自分のつくっていきたい、美術だったのでした。

上手く描こうとすればするほど、私は理想から遠ざかる、そんな心地がして、
本当のデッサン力とは、いつでも自分の感覚から飛び、そして戻ってこられる、
自由をコントロールする能力なのだと、勝手に思っています。

後に、どの時代も、美術と真剣に相対した、そう思えるように、
真剣に大声で鳴く、庭の虫をみて、のこりの今年をせいいっぱい、ちかいました。

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# by m_kirin30 | 2012-10-12 09:37 | Trackback | Comments(7)

あずける

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じぶんひとりで戦ってきた、積みあげてきた、とおもいたくても、ひとの力なくしてはだれも何もできず、芸術の世界なんてさらには、社会が健康である事や、見る人、聞く人、ふれる人がいてくれること
なしには、つくってもチリにおなじです。


つくるのは得意で好きですが、あとのことはほとんど苦手でできません。

それでも「飾る」ことが得意な人に出会ったり、
「伝える」ことが得意な人に出会ったり、
「届ける」ことが得意な人に出会ったり、
それらのたくさんの仕事をつうじた仲間の力をかりて、
いままでなんとか仕事を続けてこられました。

困難なときほど、その目の前の困難とだけひとりで戦ってすべてを見失わないように、
頼れるものは頼り、できないことは相談したりお願いしたり、
世界に感覚をあずけるような気持ちで、仕事をつづけています。
あずける、という感覚は、この世界を信用する、ということと近いんだと感じます。
いいことも、わるいことも、自分にとっては必要な要素だと全力で信じることができたら、
困難は、もう困難ではなくむしろ必要なスパイスになってきたりします。

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ふときがついたのは、

その時々のトラブルも、思い通りに行かないことも、すべてを信用してアドリブでいいものに変えていく技術がもてたら、それは無敵だ、ということ。
強いという無敵じゃなく、すべての素材が味方という意味での敵なし。
そうでありたい、とおもいます。
そもそもが、素材も条件も環境も、はじめから敵対しようとはしていないのだなということ。
あらゆる環境も逆境もただの舞台で、すべてが面白くするための演出なのかもしれなくて、
美を引き立たせるためのノイズなのかもしれない、ということ。

うつくしい、は、うつくしいを汚す要素があることで、はじめてうつくしさを感じることができます。
わたしはむしろ、その汚れやノイズのほうを、信用しています。
敵対してくるとみえる人や環境のほうを、むしろそれが世界のリアルであると感じることができたら、
世界はまだまだ広く、
まだ見ぬ困難や苦しみももっとリアルを知るための要素だと、感じることができます。
リアルの極限には、みたことのない美が待っている、
それをたのしみに今は、制作をつづけています。

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このかわいい写真たちは、「飾る」ことの得意な、ミュシカさんが作って撮ってくれました。
自分の彫刻を生かしてくれるのは、いつも見る側のひとたちです。
私は、世界に愛されるものをつくることだけに集中し、つくりつづけていこう、と思っています。

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# by m_kirin30 | 2012-09-05 09:50 | 日常 | Trackback | Comments(10)

ことば

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一冊の本が、人生を変える事があります。
私は19才のときに一冊の本に出会って、その後の生き方がおおきく変化しました。
美術の世界に来たはいいものの、何を自分の原点にしていけばいいか分からなかった私に、予備校の先生方がいい本だよ〜とおしえてくれたのが、この本です。

「ジャコメッティとともに」 矢内原伊作

最初に彫刻家ジャコメッティから矢内原にあてた手紙、
それは、この長い長いジャコメッティと矢内原のパリでの格闘の日々のあとに書かれたものでした。

「あの時私は生涯で初めて一本の線もひけなくなり、自分の画布を前にして何をすることもできずに座っていた。君のおかげで私はあの地点に到達したのであり、私はあそこへ到達する事が絶対に必要だったのだ
われわれは、われわれの仕事をつづけるだろう、われわれの肖像を互いに描きあうというわれわれの仕事を。
そしてわれわれは少し先へと進むだろう。終わりない道を少し先へと。」

この時点では、これらの言葉の重みが、リアリティがまだ分からない。
だけどこのあと、矢内原がパリでジャコメッティのモデルをしていたときの膨大なリアルな手記により、その真実が明かされていきます。
ジャコメッティはデッサンで、矢内原は手記で、その真実の記録を互いに残しあおうとした、そのうつくしくリアルな日々、これこそが、わたしの探していた、真にリアルな日々なのでした。

現在、この「ジャコメッティとともに」は手に入りにくく、そのすべてを読むのはおおきな図書館でしか困難ですが、後日発売されなおした「ジャコメッティ」には、真実の核心部分が削除されてしまっています。
わたしは、ジャコメッティと矢内原の真実は、「ジャコメッティとともに」のこの本でしか、理解できないと感じています。この本を行きつけの天牛書店(大阪)で見つけたときは心がふるえ、高額でしたがすぐ買いました。
どれほどのお金よりも、たいせつな、私のなかの一冊の本です。


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「巨岩と花びら」舟越保武

それから、彫刻の世界に興味を持った私は、先輩が読んでいたこの本を買い、心が彫刻のほうへ、またおおきく動き始めました。
「ジャコメッティとともに」を読んでこころがうごき、「巨岩と花びら」を読んで心が固まった、そんな感じでした。

彫刻家、舟越保武先生の日々のかなしくも美しいリアルな手記、そのどれもの暮らしが、純粋でまっすぐで、あたたかい、彫刻家って、なんてすてきな人たちなんだ、と感じました。
「自分が真剣に作ったものを、あなたが真剣に見てくれている、それが何よりすばらしいこと」
彫刻の原点のたくさんつまった、本当に美しい日本語の、一冊の手記です。
美術を目指すすべての人たちに読んでほしい一冊です。
この本を私は常に数冊買っておいて、後輩たちにプレゼントしては、また買いました。
私のせいでか、現在は在庫がほとんどなくなり、手に入りにくいようで、少し心苦しいです。(おそらくは全く関係ないでしょうが)

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「蝶が飛ぶ 葉っぱが飛ぶ」河井寛次郎

河井寛次郎さんの本はすべて読みました。
ものづくりのよろこび、仕事のよろこび、いのちが生まれるよろこび、
よろこびの言葉でうめつくされているこの本は、わたしの最も好きな、日本民芸運動がさかんだった頃の寛次郎さんの言葉たちです。
わたしはもう一度、日本民芸運動旋風をまきおこしたいという夢があります。
「有名は無名に勝てない」常に謙虚で真摯に、時に科学者のようにクールに、現実を語る、たぐいまれな一冊です。

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「バベットの晩餐会」

この本はとてもみじかく、すぐ読み終わるのですが、映画にもなっている原作です。
だけど短いストーリーの中でも重く鋭い一節一節が、芸術の核心を突いているような気がして、
暗記するまで読んだものです。

「次善のものに甘んじて満足せよと言われるのは、芸術家にとって、過酷な事、耐えられぬ事です。
真の芸術家はいつも、自分に最善を尽くさせてほしい、というこの世に向けた悲願の叫びがあるのです。世界中で芸術家たちの心の叫びが聞こえます。わたし最高の仕事をさせてくれ、と。」

「ひとがあの世に持って行けるものは、この世で人に与えたものだけなんだって」

わたしはこれらの言葉をいつも、脳の中に宿して暮らすようにしています。

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あとはいろいろ、漫画も好きで読みますし、絵本も読みますし、本棚には動物関連書籍の他にも貧困旅行記や博物学の本、宇宙物理学の本など様々ですが、全般的には、ノンフィクションのものが多いです。わたしはきっと、この世の事実が、好きなのです。

今回は、すこし、お盆という事で、横道にそれた、大好きな本の紹介をさせていただきました。
次回からいつもの制作日記に戻ろうと思います。


8月29日に、タリーズコーヒー新宿コクーンタワー店でイベントがあります、
絵本「神様のないた日」の読み聞かせ&ライブイベントです、

ぜひ遊びにきてくださいね!
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# by m_kirin30 | 2012-08-13 10:40 | | Trackback | Comments(2)

そだつ

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自分が立ち上げてきた彫刻家 はしもとみお、という仕事が、
自分とはまるで違う性格や姿で、生きている、と感じます。
仕事がいきもののように動いたり勝手に成長して、
自分が眠っている間にもそだっている時だってあります。

知らない人に会うのが苦手で、ワガママで自分勝手で、常識のない私が、木を彫る仕事のおかげで、どんな事でも進んでできるようになりました。
人にちゃんとあやまることも、責任をさいごまで取ることも、
人見知りなのに、仕事着を着ると(ツナギですが)知らない人と初めての彫刻設置などの仕事でも、しゃきっとがんばることができるようになりました。

木を彫って生きていけるなら、どんな仕事でもうれしい。
仕事が、自分を育て、自分が、仕事を育てる。

自分で一から立ち上げる仕事というのは、何かを育てる感覚と似ているのかもしれません。
木に水をやったり、犬にえさをあたえたりする、そんな成長を心から楽しみにする瞬間に、毎日であって、喜んだり哀しんだりしながら、仕事と暮らしています。

自分の仕事のこの先どういうふうに育って、どういう形になって行くのか、
それを支えていけるのは、自分しかいない、それが、作家業というものなのでしょう。

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ものづくりの仕事は、時間がすべての鍵です。たとえば時間をいくらかけてもいいなら、ほとんどの事が誰だってできること。 決められた時間と予算の中で、どれほどのいい仕事ができるかが、生きのこれるかどうかの要になっている、そのように思います。

それは、短いスパンの時間という意味ではなくて、ものによっては、
それこそ生きているうちに、一作でも最高傑作が生み出せれば、それだけで生きていけるということもあるでしょう。

環境はひとそれぞれですが、環境のせいにせず、環境はあってないものとする、
めぐまれていても、めぐまれていなくても、どこだって、
仕事を育てることの楽しさをおぼえたら、もう大丈夫、どこまでだって成長して行けるはずです。

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もちろん仕事には、自分がかくそうとしても現れてきます。

それなので、芸術家は、もっとたくさんいい思いをしないといけない、するために努力しないといけない、そう思います。
人より苦労もあっても、色んないい思いをすることで、人をいい思いにさせられるものが作れるから。

評価されないことにだけは、慣れてはいけないと、思います。
うまく稼げないことにも、決して慣れてはいけない、
くやしいとおもって、問題点を見つめ、いつも理想の形でものづくりができる暮らしをみすえていないと、仕事の成長は止まってしまいます。

大きく育てることが目標ではなく、ゆたかに、たくさんの実を付けて、鳥や動物たちがよってくるような、ほっとするような、
そんな一本の木のように、自分の仕事を、育てて行きたい、とおもっています。

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「ケモノたちの夏休み」 名古屋河合塾千種校 ギャラリーNAFで開催します

7/21(sat)~8/5(sun) 10:00~18:00

会期中は無休です。ご家族で、お友達と、はたまた一人でカメラ片手に、さわったり、思い出のスナップを撮ったり、会場で動物たちの絵を描いたり、自由に参加していただける彫刻の展示会です。

今回の写真は会場風景の写真です、受付ではシバちゃんがスタンバイしていますよ〜!
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# by m_kirin30 | 2012-07-21 11:07 | 展示 | Trackback | Comments(12)