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すすむ

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秋になりました。
最近なんだか妙に、できないことがあるのって楽しい、と思っています。

10代の頃は、嫌いだった経済の勉強や、英語の勉強も、最近また始めました。
一人で乗れなかった車の運転も、パソコンの新しいソフトの勉強も、始めました。
だんだんと、彫刻、というのが職業として自分に染み付いてきたので、もしかしたら少し広い視野で、勉強をする余裕ができてきたのかもしれません。

その新しい勉強のどれもに、彫刻とも共通するキーワードがあることに気がつきました。

「まず、今を壊してすすむ勇気」であるという事です。

外国の人と、間違ってもいいから話す勇気、一人で運転する勇気、新しい事をするときや、新しいところへ行くと、とても勇気がいります。だけど緊張も必要です。
やめておけば、現状は維持ができて恥をかかずに失敗せずにすみますが、それでは一生、できないままです。
だけど勇気を持って、やってみれば、以外と何のことはない、できそうなものだったりします。

彫刻も、毎回それの連続です。
イメージをしっかりと見据えて、潔く形をおとす勇気、だけどそれは、無謀とは違う、あらゆる緊張や冷静な判断をふまえた上での一刀です。

アトリエでひとり、クスノキまみれになって木とモチーフと向かい合っているとき、いつも、勇気があれば、もっと先へ進めるのに、と思います。
今のリアリティを壊してでも更なるリアリティをつくりだす、そのための勇気を、いつも木と自然からもらってきました。

どんな勉強でも同じなんだな、と改めて感じました。
できないことがあるのは、楽しい。
できないことがやれるようになって来た時の楽しさや喜びは、いくつになっても変わりません。
できない事なんて、無いのかもしれません。
勇気があれば、何だってできるんだと秋の夜長にしみじみ虫のように思います。

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次のモデルは、このジプシーさん、というオランウータンです。
モナリザのようなこの微笑みを、つくることができるように日々格闘中です。
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彫刻の仕事の段階のうち、この、粗取りを終わった後のデッサンの始まり、の部分が一番緊張と勇気がいります。
大きくとりすぎると取り返しがつかないし、小さくちまちまやると生命力がなくなっていく。
ここから、長い長い勝負が始まります。
決して勝つ事にできない自然という相手に戦いを挑み続けるような気分になります。
まだまだデッサンの鍛錬が必要だなと思いました。

ひといきついて、

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さすがは食欲の秋、私は彫刻であまいものをたくさんつくってしまいました。
この甘いものたちは冬の甘い季節に、名古屋の ミュシカ さんという素敵なお店で展示させて頂こうと思っています。

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バレンタイン前には食べられない木彫りチョコをつくろう会もしようと思っているので、彼や旦那様を木彫りでだましたい方はぜひ遊びに来てくださいね!

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のりものシリーズも続々追加中です。
一月は楽しい展示ができればなと思っています。
by m_kirin30 | 2009-10-17 23:59 | 日常
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