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せんぱい。

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彫刻の後輩のともだち3人と一緒に、以前から仲良しの農家民宿 「源」さんに来ました。
彫刻を撮影させて頂いたり、海で遊んだり、久しぶりの休みを満喫させてもらいました。
いつものひとり旅は、仕事の事を片時も忘れることができなかったりするんですが、今回は2年ぶりの、なつやすみ、を満喫させてもらっています。
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私に財産があるとしたら、それはたくさんの仲間達やともだち。
いくらお金をはたいても買えない、深い仲間やともだちがいてくれます。
そういう、人の縁には心底恵まれてきたと思います。
だけど特別何か運が良かったからではなく、それは、芸術のちから、なのかも知れません。

美術を始めるようになってから、それこそ一生の友だちや、深く人生を語り合える仲間や、会えるだけで涙が出るほどうれしいせんぱいや、自分の事のように共感できる後輩、尊敬してやまない先生。
人生を変える出会いの連続でした。

美術の世界のせんぱいは、個性的で、変わり者が多く、人と関わりにくい、と思われがちですが、ほんとうのせんぱいは、まるでそうではありません。
どんなすごい大作家のせんぱいも、そういう人ほど、心の底から純粋で、まっすぐで、ひとにやさしく、人としての魅力にあふれている人たちばかりです。
私はどれほどその先生方やせんぱいに勇気をもらい助けられてきた事でしょう。

すごい作家のせんぱいが、自分のいる大学に一人でもいてくれると、それがどれほどの勇気をくれるか。その人が作家としてがんばっている事が、自分にとっても誇りになったりします。
実際にアトリエにすごいせんぱいが入ってきてくれたりすると、その遺伝子の一部が、自分にも取り込まれて行くような気分になり、体中に感動と勇気がみなぎってきたりします。

そんなひとになりたい、といつも思います。
エネルギーの固まりのような、プラスのものをたくさんのひとに与えられる人。
そういう人が作る作品は、その人そのもの。
人がすごければ、当たり前のようにその作品は心をとらえて離さないものです。

ダビンチだって私にとっては美術のせんぱい。
ダビンチがここまでデッサンを進められたんだから、同じ人間なんだから、自分にもどこまでか進めるかもしれない、そんな勇気を彼は1000年経ってもふりまいています。
それが、私たちにダビンチが残してくれた、本当の財産。
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この時代にこんなすごいものができたんだから、自分たちはこれを糧にもっとすごいところへ進めるはず。
ひとはそうやって凄まじい進化をくりかえしてきたんだと思います。

今の自分は一族の最高傑作。
進化の突端にいる今生きている私たちは、そうであるはずです。
その貴重な自分の細胞に、さらなるいい記憶を残して行けるように。

そしてすこしでも、時代のかけらでも次の後輩たちに、更なるところに進むための勇気を残して行きたい、先人たちから学んだ全ての事を、自分の見つけた新しい事を、後輩に伝えていきたい。
それは、どんなに多くの財産や仕事を残すより、もしかしたら大切な事なのかも知れません。

3流の指導者は金銭を残す。
2流の指導者は事業を残す。
1流の指導者は人を残す。

これは松下幸之助さんの言葉ですが、美術の作品もこういうものがすごいんだと思います。
さいごは、どれくらい、多くの人のこころにいいものを残せたか。
その原点をいつも忘れずにいたいと思いました。
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たいせつな大すきな後輩たちに、先輩としてできる事はたったひとつ。
とにかくがんばって彫刻の現場で、勇気を与えてあげたい。
私みたいなのでもできるんだから大丈夫と、言えるように自分ががんばりたい。

そんな事を思った早めの短い夏休みでした。
by m_kirin30 | 2010-07-11 00:09 | すてきなところ
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