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チョウコク。

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はじめて木を彫ったのは、いつの事だったんだろう、
ちいさい頃に学校でやったような気もしますが、記憶が全くありません。やっぱり、その道のプロフェッショナルの人に教えてもらった最初の体験が、一番心と体に残っているものみたいで、19歳のときに、彫刻家の先生に教えてもらった木彫りの体験を忘れられません。

木がかたくて、刀が怖くて、彫り間違えるのがいやで、全然形にならず、ああ、粘土ならできるのに、こんな難しいとは思わなかった!と、上手く彫ろうとそればかり考えていました。

そもそも、上手く彫れる訳がありません。
上手い木彫がいい木彫ではありません。

思いがこもったもの、感動がつまったもの、感情が木からあふれているものが、いい彫刻です。
祈りがこもったもの、喜びや哀しみのつまった塊、彫刻はそういうものになりたがっています。
技術は敬意を生みますが、感動は共感を生み出し、見るものの心まで涙の海が体の中で波打ちます。
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ちいさな木彫り教室を、先日させて頂きました。生徒さんたちの作品。

木彫り、というはじめての体験で、子ども達も大人の方も、普段では想像できない困難と疲労と挫折にぶつかります。それが、出来上がったときに大きな感動への通り道です。
ちょうど、美術は、こんなものなんだ、と最近思っていました。

自分が小人になって、澄んだ水をくみに行ったバケツのように、深い深い井戸の底へ、落ちて、真っ暗で、つらく孤独にぶつかります。誰も助けてくれず、ひとりぼっちでやりとげるしかない、そんな過程の中で、自分自身がすこし見つかります。
井戸の底で、見えない中でがむしゃらにすくったバケツ一杯の水。
地上にあがると、澄んだ水の底に、この世のものとは思えない、自分の力で見つけたとは思わないような美しい砂金が混ざっています。そこに感動と涙があふれます。
新しい自分と、予期していなかった宝石と、何よりもおいしい水。
その水を飲み込んで、体の中が一段ときれいになって、また、井戸の底へ向かう。
美術は、それの繰り返しのような気がします。
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生徒さんたちの完成作品、その1。
いちどでも思いをこめて木を彫ったことがある人は、この感動体験のとりこになります。
最初の作品は、全ての人が、傑作を残してくれます。
そんなみんなの貴重な一日に、私が立ち会うことができて、私自身が感動をたくさんもらいました。
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完成作品、その2。
来てくれた皆さん、本当にありがとうございます。
どこかでまたみんなの木彫りに出会えるといいな、一緒に展示できるといいな、とおもっています。
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そんな最中に新作、アニマルペンダントトップが完成しました。
これは、「旅する彫刻」企画のひとつで、みんなに、彫刻をつけて歩いてもらいたい、という願いから生まれた小さな作品達です。
『Bara jamte  -いつも一緒に-』
期間 8月27日(金)~9月5日(日)
ミュシカさんで、展示会と限定販売を行いますので、ぜひ足を運んでくださいね。  
次回の木彫り教室は、ミュシカさんで、8月28日と、9月4日に行います。     
ご予約はミュシカさんまで052-737-8601

木彫りを、少しでもたくさんの人に体験して頂きたいと思っています。
by m_kirin30 | 2010-08-08 21:40 | 展示
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