アラブ首長国連邦の、アブダビのアルアインという町にきています。
「うちにいる動物たちの彫刻をつくってほしい」と、一本のメールが来てから約半年。
「どのような動物ですか?」
「ガゼルと」
「ええ〜!ガゼル!」
見たこともない野生動物、いい彫刻が彫れるか、不安になっていたところ、とりあえず、一ヶ月ホームステイして、動物たちと仲良くなって実際に観察してもらったらどうか、というお返事をもらいました。海外に行くのもはじめてな私ですが、動物たちに呼ばれたなら、どこへでも行く!と思い、
今回の旅が始まっています。

毎日、不思議なことや発見でいっぱいです。
鳩が頭に乗ってポーズをとったり、ラクダとほっぺたをすりあわせたり、
お祈りの時間があってお祈りが聞こえたり、
文化の違う中で、動物たちとのふれあい方も違う、
一秒一秒が貴重な体験をさせて頂いています。
ラクダたちは、ラクダレースに出したり、
ラクダミルクをとったり、
ラクダ美人コンテストに出場させるおうちもあるそうです。」
スケッチをのんびり見ていたかと思うと、いきなりパクリ!
スケッチを危うく食べられるところでした。

ここでは何もかもが新鮮で、毎日発見があり、
ガゼルたちは、ほとんど野生動物なので、私に寄って来たりは決してしません。
それが、すごく心地よかったです。
本来動物とは、探りあいながら、徐々に距離を縮めて行き、
ひたすら待って、いい瞬間をスケッチする。
おそらく彫刻にするのもとても難しく、たくさんのスケッチと観察が必要ですが、
難しい事にチャレンジできることが嬉しくて仕方ありません。

だけど、
かんじんなのは、「みつけるこころ」なんだなとおもいます。
本当は日本にいて公園で変な虫を見つけたって、
一羽のツバメを観察したって、犬とふれあったって、
自分にあふれる好奇心と新鮮な発見力があれば、どこだって何をしてたって、感動できる。
そのことに、日々何となくいきていると、忘れてしまったりします。
遠くアラブに来て、砂漠に出会い、
私はそんな大事なことに気づきました。
そのためにも、時には旅は必要なんだなと、思いました。

描きたい動物が多すぎて、見つけたいものが多すぎて、
一日がとてもはやく過ぎて行きます。
一ヶ月、貴重な時間を、かみしめながら過ごして行きたいと思っています。
今回、ホームステイさせて頂いているのは、
はなももの別館というブログをされている、UAEのお宅です。
いい彫刻が作れたらいいな、
こころからそう思っています。
デッサン力を何倍にも磨いて帰ろうと思います!