人気ブログランキング |
<< 終わらない 木を彫るちから >>

理(り)

f0076833_947967.jpg

目は、いつもたくさんのものを吸い込んでいる。
血は、光よりも早い速度で、その反応を手足に伝える。
動物の体にはすごい力がある、といつも思います。
人間だけではなく、犬のちいさな目、鳥の目にも、吸い込まれてしまいそうな力がある。
光も、闇も、物質も、全部まるごと吸い込んで、
必要なものはとりこんで元気になり、
いらないものは、涙と一緒に流してしまう。
自然に行なわれているこの動作に、宇宙のひみつが隠されている気がしてなりません。

そう、目は、ブラックホール。
目に入ったものは、なんでもすいこんでしまう。
手は、マルチクリエイター
何でもかんでも生み出したり、こわしたり。
足は、運送屋さん
どこでも運んでくれる。

こんなにすごい器の中に自分が住んでいるんだと思うと、毎日がたのしくて仕方ありません。
f0076833_22535856.jpg


色も、不思議です。
光の色をどんどん混ぜていくと、白にちかづいていく。
色をどんどん混ぜていくと、黒にちかづいていく。
白と黒のあいだに、どのような色があるかをさがす、それがデッサンなのです。
光も、闇も、どちらも、絵を描く時の大切なともだち。
光だけでは、絵は描けない。
闇と正面から向き合ってこそのリアリティです。
f0076833_233409.jpg

私は、いつもこうして少し、理系の方面から美術をながめています。
博物学の極地として始めたのが今の彫刻だし、
美の神秘を、数学の公式で証明したいと思ったりもしますし、
特に宇宙物理学と美術は、限りなく近くにあるような気がしています。

万物の理論(Theory of Everything)

私は、高校3年生の物理の授業でこの英語をはじめて目にしたとき、胸が高鳴りました。
私が美術の世界で見つけたいのも、まさに、この言葉で表されるからです。
なぜ美しいのか、なぜそれが人によって違ったり、共感したりするのか、
美しいものをどのような方法で残せばいいのか、そこにセオリーはあるのか、ないのか。

数学者や物理学者の人たちが、追い求めているのは、答えのあるかないかも分からない、
そんな宇宙の始まりの理学。
私も、答えのあるかどうかすら分からない、美の法則、について学び、
たとえ生前答えが出なかったとしても、
自分なりの証明を続けて行きたいと思っています。
f0076833_22582298.jpg


「彫刻と宇宙」についての卒業論文を、この仕事をやめる頃にはまとめておきたいな、と思っていますが、仕事をやめようという気持ちに、生前なれる自信がとてもありません。
by m_kirin30 | 2011-02-26 11:08 | 日常
<< 終わらない 木を彫るちから >>