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彫刻物語。

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彫刻は、本当にたくさんのことを、私に教えてくれました。
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大きな丸太の力に圧倒されて、まずは無我夢中で木と格闘します。
素材と仲良くなるまでに、長い時間と想いをかけて、素材を彫る、体作りをします。

仲良くなれたところで、最初はこわくて、なかなか進まず、本当の形と関係ないところばかり彫っては、悩んだり迷ったり。
形が見えてこなくて、あせって、だれかのマネをしてみたり、おちこんだり。
自分には才能がないんじゃないかと、遺伝子の力のせいにしたり。

それでもあきらめきれず、毎日なんとか続けます。
そしたらたまに、ほめてもらえてやるきになったり、またがんばれたり。
ちいさな自信を小脇にかかえて、無くさないように、まいにちひたすら彫り続けます。

すると、あるときいつもと違う勇気を持って、自分を信じて、深いところへ彫り込める時がきます。
ひとつ、自分の、リアルだ、と思えるところにたどり着くのです。
その、「形の底」を、木の中に見つけたら、
あとは驚くほど楽しく、リズムよく、まだだ、まだだと形が見つかってきます。
迷いが無く、進むのみ、どんどん彫って行けます。
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その先に、長く、孤独で、先の見えない完成への旅。
だけど、心の中は何だか満たされているような不思議な気分になります。
終わっていないのに、なつかしいような、
そうやって、ひとつの彫刻が、自分の手からいつしか自然に離れる時が来ます。
別れのとき、それが、完成の時なんだなと、おもいます。

そんなことを思うたび、彫刻は、生き方そのもののように、進んで行くんだなと気がつきました。
私の場合、不器用で力づくな彫り方、なんともかっこわるいですが、、、。
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作家に、特別な人なんて一人もいない、とおもいます。
みんなちいさい頃にほめられて、うれしくて、期待に応えようと、がんばって、
今度はたくさんの人が期待してくれてよけいがんばって、
そうやってるといつのまにか特別すごい力を持って行く。
期待してくれる人たちが、モチベーションの火を灯し続けてくれているんだとおもいます。
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いつか、魔法のような手さばきで、自分にしかない形を、
びっくりするほどの早さで、作れる日がやってくる。

人生は、彫刻物語。
自分を彫り当てる、はるかな旅。
余分なものを取っていって、最後に現れるほんとうのすがた。
だれもが、日々自分の世界を彫り続けているんだとおもいます。

いい彫刻ができた、と、笑えるように、
たくさんの毎日の物語とともに、
ひとつづつがんばってつづけていこうとおもいます。

この、彫刻ディエゴくんの制作記録が、雑誌MOE7月号(6月発売)に載せてくださることになりました。
ぜひ、「ディエゴができるまで」を、御覧になってみてくださいね!

以前「かえるの王様」という小さな彫刻を彫りました。
その子がたくさんの作家さんの元へ旅をする、素敵な企画をフェリシモさんが作ってくれました。
絵本が好きな方はぜひ見てみてくださいね!


by m_kirin30 | 2011-05-16 14:52 | 日常
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