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すきま

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アトリエで一人でこもって制作をしていると、たまに、今こうして木を彫っている事に、不思議な感動をすることがあります。

かつて10年前、毎日木が彫れたならそれだけで幸せだった、そのころの夢の中にいるような気持ちになって、どこへでも向かっていけるような。
だけどそんな、すこし気持ちよく感じる時ほど、注意をするようにもしています。

初心が大切と言いながらも、技に酔い、経験に酔い、自分に酔い、過去に酔っぱらって制作がだめになる事はたくさんあります。
敵はこの3つ、技術、経験、自分。つまりは過去。

昨日までの自分を、何のためらいも無くすべて捨てる勇気を、大切にしています。
彫刻は、つまりはそういう事だからです。
どんなに苦労して形をぽりぽり作っても、その形が違うと思ったら、勇気をだして、捨てていく。
その自分の過去と戦う勇気だけが、彫刻の味方なのかなと思います。

最強の敵は、最大の味方にも等しい。
過去といつも戦って、勝って、味方に付けていく。そんな気持ちでいつもいられるように、ナマケモノの自分とけんかしつつ制作したいと思っています。
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この夏も、名古屋の河合塾さんで木彫りのワークショップをさせて頂いています。
毎回、教えなければいけない私が、皆さんの傑作に、感動でテンションが高くなってしまって、
わけのわからない事を話してしまっているような気がしますが、
みんなのなかの、誰も見る事のなかったいのちの形が、そとの世界に、わっと出来上がる瞬間に立ち会うことができて、感動で胸がいっぱいになります。
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私自身、たくさんのいい先生に出会えた事で、本当に自由に、作る事が楽しく、なにも押し付けられずにすくすく育ててもらいました。
自分のように、楽しんで、でも戦って、作って欲しい、そんなふうな願いを込めて毎回みんなの仕事をみています。
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みんなの作品が、なぜこんなに魅力的なのかな、と考えると、
ひとつ、思いあたったことがありました。

見る人と彫刻との間に、ちょうどいい「すきま」のあるのだ!と。
見る人に少し入りこむ余地があって、だけどそのすきまは絶妙な感情の隠れ家になるような。

うまく作ろうとせず、完成を無理に目指さず、思いがあふれて、作りきれない、そんなものの中にだけ存在する、ちいさなすきま。
その空間がないと、見るひとのこころが作品に入りこむ場所がなくなって、帰ってきてしまいます。
上手くなると、すきまのないものをつくってしまいがちです。

わたしも、みるひとにちょうどいい「すきま」のある彫刻をつくりたいと、こころから思ったこの夏前半でした。
来てくださった皆様、本当にありがとうございます、ひとりひとりともっと話せたら、と思うのですが、バタバタしてしまってすみません。
来週の最後の講座も、たのしみにしています!

次回のブログで、最近思うデッサンの神秘について少し描こうかなと思っています。
by m_kirin30 | 2011-08-08 04:25 | 日常
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