はしもとみおのナマケモノ日記
2018-04-14T21:22:53+09:00
m_kirin30
まわりにいる動物たちと日々の制作日記です
Excite Blog
いきものを家族に迎えたことのある人たちへ
http://mkirin30.exblog.jp/29721100/
2018-04-14T21:18:00+09:00
2018-04-14T21:22:53+09:00
2018-04-14T21:18:12+09:00
m_kirin30
日常
人間とは違ういきものを家族に迎えたことのある人は、特別な経験をしている人が多いです。それは、大切な家族を、見送ったことがあるということ。血の繋がらない、言葉の通じない、姿形も違う、されど愛おしい、いきものの家族たち。犬や猫、鳥やうさぎ、お魚たちやほかのいきものたちの家族も、きっといることでしょう。死は、生きとし生けるものすべてのものに必ず訪れる瞬間で、その瞬間に他者とその者は二度と同じ姿で出会うことはなくなります。ただ命は物質なので、形を変えて、空間の中で出会っていることもあるでしょう。死の瞬間の前にはいつも健康を祈り、老いや病気に心を痛め、1日でも共に過ごしたいと願います。しかしいきものの家族たちは、おおよそ人間より寿命は短いので、その命が終わるときに同じだけ年をとった自分が、見送ることになります。犬や猫なら15年くらいでしょうか、20年近く一緒にいる場合もあり、彼らは学校にも行かず一人で出かけることもないので、おおよそ人間の家族より長い時間共に過ごしていることでしょう。
瞬く間に成長し、いつしか自分より年老いていく彼らの存在は、私たちにいつも生への憧憬を見せてくれます。かけがえのない存在になった彼らを、見送ることが飼い主の使命であって、誰しも経験する別れがあります。深い痛みを知った私たちは、今この瞬間生きていることを、一緒に笑えることを、心から愛しいと思うことができるでしょう。新しい家族を迎えたときには、いつでも一番初めに飼っていたその子のことを思い出し、その子にもらった幸せの恩返しを、新しい家族にむかう愛情で示していくことでしょう。自分と種のちがういきものの家族をむかえ、見送ったことのある人たちへ日々、瞬間瞬間の泣きたいほどの美しさとかがやきを、彫刻にこめて届けていきたいと思っています。
今年は販売込みの展覧会が全国各地でたくさんあり、毎日たくさんのちいさな彫刻たちを作る日々です。下記の予定以外にも、現在 おかげ犬展(三重県 伊勢)や、ねこ休み展(全国巡回中)、猫まみれ展(目黒雅叙園)にも出展中です。ぜひお近くの際は遊びにいらしてくださいね。
5/1~5/27 長崎書店 熊本県 個展 6/2~6/17 岩田商店 三重県 二人展7/14~9/9 郵政博物館 東京都 個展9/22~12/2 平野美術館 静岡県 個展10/14,15 もみじ市11/2~11/25 ギャラリーキッサ 4人展12/11~12/16 月の庭 三重県 個展
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黒柴月くんその2
http://mkirin30.exblog.jp/28473650/
2017-11-06T09:18:44+09:00
2017-11-06T10:04:50+09:00
2017-11-06T10:04:50+09:00
m_kirin30
今日のわんこ
名古屋の貸家でまた月くんとの生活が始まって、月くんはこの時すでに8歳になっていました。犬の1日は人の何日分に相当するのだろう、私は月くんの一生の半分が過ぎてしまっている事を知り、あとの半分を、充実したものであるようにと、日々願って暮らしました。
仕事は忙しくしていましたが、ほとんどがアトリエで作業の日々。月くんとは四六時中一緒にいました。近くの夕焼けスポットで散歩したり、大好きなドライブを楽しんだり。でもそうしているうちに、仕事がどんどん忙しくなり、名古屋の家では手狭になってきました。
私は少し田舎のほうで庭が広くて大きめの家を探そうと、色んな物件を見に行きましたが、たまたま美術関係の知り合いのご夫婦が、三重に実家あるよ〜、使っていいよ〜と、ご好意で貸してくださる事になり、月くん最後のお引越しをしました。
月くんの老後にはぴったりの、大きくて広い田舎道の古民家。散歩もとても気持ちよくて、家の中も走り回れて、ここでの月くんは、なんだかとっても幸せそうでした。でもこの時もうすでに、月くんは11歳になろうとしていました。
11歳からの月くんは、穏やかに老後を過ごしました。といっても全然元気で、夏は涼しく冬は薪ストーブの生活、優雅な犬生を送っていた事と思います。大好物の薪ストーブで作った焼き芋ができると、大はしゃぎで家中飛び回っていました。こんな日がずっと続くような錯覚に陥るほど、月くんは元気で病院も一度もいきませんでした。
13歳の夏、月くんは初めて倒れました。柴犬によくある、前庭疾患でした。眼振が一週間続き、起き上がれず、お医者さんも治す方法もないので経過を見るしかないという事で、苦しい日々が続きました。
なんとか立ち上がれるようになって、歩けるようになって、でも以前とは決定的に違う衰えを感じました。
私も、月くんも、老いる、という事は初めての体験でした。
育てる、ということは、とても幸せな事です。できる事が一つ一つ増え、その度に家族で喜び、共に感じる事が出来るようになり、自由を一つづつ手に入れることです。喧嘩もあってもそれも元気な証拠です。
老いる、という事は、一つ一つの事が、できなくなる事。獲得した自由を手放していく事です。最初はそれに抗おうと必死で、毎日涙しながら足のもつれる月くんを散歩に連れ出しました。
でも、日に日に、寝るばかりになり、お漏らしも増え、夜鳴きもするようになりました。死に向かって歩いているのだと、見ていて感じるようになりました。
時という大きな存在には、何者も抗えない、生き物ひとりひとりに、それぞれが持つ寿命があって、死も、その子の一部なんだと、知る事になりました。
最愛の存在の死は、受け入れがたいですが、死はもともと生の一部なので、その子の死をも愛せるようになりたい、そう思いました。今は目の前で息をして生きていて、ある日だんだんと呼吸が止まり、動かなくなって、心臓がだんだんと停止する。その終わりの時を迎える月くんを、自分が淋しいからといって目を背ける事はできません。
月くんは幸い長生きしてくれたので、私は月くんが倒れてからの一年間は、ボーナスタイムだと思って暮らしました。
覚悟をする時間が一年もあったので、ちゃんと見送ってあげられたようにも思います。
そんなこんなで、初代月くんはある日息を止めて亡くなり、友達が火葬を手伝ってくれたのですが、なんとその近くから、小さな小さな亀が、ヒョコヒョコと出てきました。友達は慌てて我が家へ亀を届けてくれて、ムンちゃんと名付けられたその亀は、今も月くんの大好きだったテラスで、悠々と泳いでいます。
亀くらいが、ちょうどいいや、
人間と距離をとって生きられるし、長生きできるし、冬は寝られるし、楽ちん!
月くんが、そう言って願ったような気がします。
亀になった月くんと、新しく迎える二代目月くん。また仲良く日向ぼっこできるといいね。
世界は、生きているだけで本当に美しいものです。共に暮らす仲間がいればなおさら輝きます。誰かと出会うという事は、別れる時が来るという事。嬉しさと、哀しさが同じだけ起こるっていう事。それでも、私はまた犬を飼いたい。
初代月くんがくれたたくさんの宝物のような時間を、二代目月くんに恩返しできたらいいなと思っています。
月くんの一生の彫刻に触れられる展覧会、今度は名古屋で開催します。
ぜひ月くんに逢いにきていただければと思います!
木彫りどうぶつ美術館
11/24-2/25
ヤマザキマザック美術館
ワークショップや、アーティストトークなどのお申し込みはこちら
彫刻の販売に関することはこちらをご覧ください
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黒柴月くん
http://mkirin30.exblog.jp/28107441/
2017-08-30T11:57:00+09:00
2017-08-30T11:57:12+09:00
2017-08-30T11:57:12+09:00
m_kirin30
日常
写真 砺波周平さん
黒柴月くんがこの世界から旅立ちました。忘れない鮮やかなうちに、月くんの一生を振り返っていきたいなと思います。
月くんとは、ある日突然出会い、一緒に暮らし始めました。そして、ある日突然、旅立って行きました。
小さい頃から動物が大好きだった私は、実家で小学校3年生の時に一匹の子犬を飼うことになり、たいそう可愛がりましたが、病気で一ヶ月で亡くなってしまいました。その後、高校二年生のときにかわいい猫が来て、猫と実家では暮らしていました。
3年も浪人してやっと入った念願の美術大学、東京造形大学2年生の秋の終わりの日、木彫をするための木を買いに、私は原付を走らせました。木材やさんに向かう途中、キャンキャンと犬の鳴く声がして、私はなんだかそちらの方へあるいていきました。するとちいさなちいさな黒柴が、尻尾をフリフリしながらじっとこっちをみています。やすし犬舎さんというブリーダーさんのお店が、そこにはありました。大きなリクガメもいたり、不思議な犬舎でした。なぜがその子に釘付けになってしまって、「犬と暮らしたい」という思いがどんどんふくらんできて、抑えることができませんでした。幸い古いちいさな貸家で暮らしていたので、動物を飼ってもいい物件に住んでいて、お庭も小さいながらもあったし、なんとか暮らせるんじゃないかと思って、そのままちいさな黒柴くんを、連れて帰ることにしました。この子のために、お金を稼ごう。この子を残すために、デッサンをもっと勉強しよう。大学二年生の冬には、月くんの初めての彫刻を作りました。私は朝の6時半から大学に行き、夜遅く家に帰るほど制作が好きだったので、家にずっと置いていくのがかわいそうに思い、モデルにもなるし大学に連れてしばらく通っていました。しかし犬が好きな人ばかりでもなく、犬を連れて行くことを、よく思っていない人もいました。そんな中でも、クラスメイトの本多絵美子ちゃんは、自宅で老犬の柴犬を飼っていることもあり、黒柴くんのことをたいそう可愛がってくれて、「月くん」というこの世界で一番素敵な名前のプレゼントを、してくれました。月くんは、その後も田村先生に可愛がってもらい、警備員さんやバスの運転手さんにまで可愛がってもらい、果ては足を甘噛みされたにもかかわらず当時の学長にも、可愛がってもらいました。
私は月のデッサンを、1000枚は描いたでしょうか。大学時代は、月くんとともに、デッサンを鍛え、いつか最高の犬が作れる彫刻家になりたいと、夢を膨らませていました。
月くんとはどこへでも一緒に行きました。車が大好きで、友達に乗せてもらったり、先生に乗せてもらったりして、いろんな美術館や、旅行や、お散歩、たくさんの時間を、ほとんど一緒に暮らしました。
その後、大学院に進むことになり、お金もそれほど使えないので、ちいさなアパートに引っ越すことになり、月くんは、私の生活が安定するまでの4年間、私の実家でうちの両親と暮らしました。うちの両親は本来とっても動物好きなので、大変可愛がってくれました。今となっては、お散歩も楽しかったし、ドックランやドックカフェなんかも行けて、最高の時間だったと、両親は話してくれました。愛知県で、大学院も卒業し、彫刻家として生計を立て、なんとか犬一匹養えるようになった頃、月くんは愛知県のまたまたちいさなお庭のついた貸家に、私と一緒に暮らすことになりました。
つづく。
広島県で初の個展が、三良坂平和美術館で開催されます。9/16~11/5ぜひ、西日本周辺の方はこの機会に足をお運びください!
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こどもたち画伯につたえたい10のこと
http://mkirin30.exblog.jp/27949010/
2017-07-05T10:00:00+09:00
2017-07-05T10:00:27+09:00
2017-07-05T10:00:27+09:00
m_kirin30
ことば
こどもたち画伯へ
ひとつ
絵を描くということは、うまく描くために描くのではなくて、よく世界を見るために、よく感じ、よく学ぶために、そしてそのことを、だれかに伝えるために、描くのだよ。見る人のことを思って、描くのもいいよ。世界と君とをつなぐ、窓なんだよ。
ふたつ
描いた絵を見せるということは、窓をひらくこととにているよ。鍵がかかってしまっていると、みんなには絵がよく見えないから、まずは「ようこそ!」と、窓をひらくように描くのがいいよ。君の世界へ、たいせつなひとたちを招待するきもちで、描くといいよ。
みっつ
見えたまま描いたらいいよ、うそをつかなくても、大丈夫。君の見えているもの、美しいと思うものを、信じて描くんだよ。見て感じたままに、描いたらいいよ。ただし、絵の世界では、ひとやものを傷つけるのはやめよう。絵はいつも、見る人のこころをあたためるために、あるのだから。
よっつ
いつもあたらしいきもちで、描くといいよ。今まで描いてきたどのやりかたも、今描きたいものには、使えない。だって、描いている時間も、光も、空間も、君も、ひとつとして全く同じではないのだから。あたらしい描きかた、あたらしい気持ちで、わくわくと、描くといいよ。
いつつ
どんなものでも、描いてみるといいよ。きらいだとおもっていたものの中にも、うつくしさがあったりするし、描くのが苦手だと思っていたもののなかに、いい絵をめざすヒントがかくされているよ。たいせつなのは、どんなものでも一度、描いてみることだ、描いてみてから、やっぱりよく描けなかったとしたら、今のじぶんには、そのもののよさが、わかってあげられなかっただけだよ。
むっつ
みえないものも、いっしょに描くんだよ、見えるものの奥に、目にはみえないうつくしさがあるよ。見るだけじゃなく、音や、においや、おんど、てざわり、感じたものを、すべてまるごと、描くんだよ。たのしさ、かなしさ、いかり、あいじょう、きもちをいっしょに描くことが、とてもたいせつ。
ななつ
君が絵を描くとき、世界をじっと見るとき、君は夜空にまたたく星とおなじ、世界とつながっているんだよ、一枚の絵の中では、なんにでもなれるし、どこへだって行ける。自由に、思いのまま旅をして、べつのひとやものになってみてもいいよ、いつもとちがった目線で、世界を見るための時間なのだから。
やっつ
絵を描いていてとてもかなしいことや、くるしいこと、つらくて逃げだしたいようなとき、絵になみだがこぼれるときもあるよ、くるしいことのまわりを、まずはよく見つめてみよう。もしかしたらつらいぶぶんを一度おいておいて、ほかのぶぶんをがんばっていれば、くるしいことがなくなっていることがあるよ、ひろいひろい目で、深呼吸して、世界をみわたしてみよう。
ここのつ
まるごとを描いたら、ひとつの部分をみつめて描く、ひとつの部分を描いたら、まるごとをみなおして描く。このくりかえしで、絵はふかく、うつくしく、大きくなっていくよ。朝がきて、夜がまたくるように、春がきて、冬がまたくるように、小さい目、大きい目をくりかえしてくりかえして、絵は成長していくんだよ
とう
じぶんにしか見つけてあげられないうつくしいものやかたちが、きっとあるよ。君は世界で、だれもみたことのないうつくしいものの、発見者になるんだ、そしてそのことを、絵で伝える配達人なんだ。だれのもとに届いても、君が自信をもってじぶんのみつけたうつくしいものを伝えられるように、ほこれるように、いい絵をかこう。おかざき世界こども美術博物館での展覧会で、感想ノートをおいておいたら、ほんとうにたくさんのこども画伯の絵がぎっしりと何冊もうめつくされていて、嬉しくて涙がこぼれて、ページをめくることが怖くなるくらい感動しました。
たくさんのこどもたち画伯へ、感謝のきもちをこめて、絵を描くことが好きでいつづけてくれるように、10のメッセージをかいてみました、もっともっとかんたんな言葉でいつか、まとめられるといいなとおもいます。言葉や絵や彫刻は、できるかぎりシンプルに、ストレートに、かんたんなことばで、伝えるべきものだと思うからです。私たち彫刻家は、美の要約ができないとダメなのだなと、感じています。
こどもたちへ、ありがとうのきもちをこめて。
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彫刻のゆくえ
http://mkirin30.exblog.jp/27851518/
2017-05-30T09:20:00+09:00
2017-05-30T09:35:09+09:00
2017-05-30T09:20:01+09:00
m_kirin30
未分類
勝負であれば負けないことに目標を置くことができる、学問であれば解くことに執心することができるけれど、彫刻というものづくりの世界は、何を目標に、どこに向かって進んでいけばいいのか、基準のなさに目が眩みます。
大学受験に現役、一浪、二浪、三浪と4度東京芸術大学に落とされ、三浪の時に受けた東京造形大学に拾ってもらった捨て猫のような私は、美術で合否や順位をつけられることへの恐怖を、いまも拭いきれずにいます。
あいまいなまま日々を送り、何が成功かもわからないまま、目の前の彫刻の仕事とだけ格闘してきました。
美術はそもそも順位をつけられるようなものでもなく、選ぶ人の主観でどうにでもなってしまう答えのない世界で、そういう世界なのだから人に理解されないでもいい、と割り切れてしまえたら楽になれるのだけど、仕事にしたいとなるとそうはいかず、目的地のはっきりしない大海原にたゆたう船のような孤独を、いつも抱えてきました。
美術の世界でどのような表現をするかは、完全に自由だ、などと言っても、自由の意味を履き違え、人を傷つけたり、何かを批判したり、自己表現が過多になったり、そんな方向は何かが違う、と感じていて、私はそんな無秩序の世界から、自分の基準を作っていこうと考えました。
それは木のように、地に足をつけて制作をしていく、という基準。
アトリエの拠点を三重の片田舎に移し、生涯ここで暮らそうと思える大好きな場所で、木を植え、植物を育て、日々を暮らすように彫刻を作っていくことを、はじめました。
すると不思議、大海原だった私の不安はなくなり、一本の木のように、根付いての暮らしは不自由と思いきや、一点にとどまることでの深く思考できる自由を手に入れたのでした。
その深く思考できる場所、アトリエを支点とし、自分の全てがダイナミックに進んでいきました。
私の基準は、いつも私の足元にある。
自分がとても小さかった時、世界を見上げて暮らしていた、あの頃の広大な自然の美への感動が、失われることなく足元に広がっています。
どのような彫刻を作り、仕事をしていくのか、もう迷うことはなく、私は今は自分の作った彫刻が、どう評価されるだろうと不安に襲われることは少なくなってきました。目の前のモチーフが、日々評価し続けてくれる師なので、動物や植物たちに、教えてもらいながら制作をすることができます。
彫刻のゆくえは、足元の世界から、いつもはじまっていく。目の前にあるそこらへんに転がるもののなかに、まだ見ぬうつくしい彫刻が隠れているので、私は半径1メートルの世界から、赤ん坊のような気持ちで今は、手に取ったもの全ての美を、彫刻にしていく日々を、楽しんでいます。
展覧会 はしもとみお彫刻の世界展 『木のどうぶつたち』
愛知県 おかざき世界こども美術博物館
平成29年4月22日(土曜日)から6月25日(日曜日)まで
犬の彫刻たちは触ることができます。0歳から楽しむことのできる、おしゃべりも、写真撮影も、さわるのこともできる展覧会です、ぜひどうぶつたちに会いに来てくださいね。
静岡県 沼津 weekend books 7/2-16 個展
詳細は追ってアップします、等身大の猫や犬たち、販売用のちいさな彫刻たちも並びます。静岡県では実に10年ぶりの展覧会、お近くのかたはぜひあそびにいらしてくださいね。
福岡県SPITAL.hakozaki 7/22~8/6 個展
猫島物語 はしもとみお彫刻展
福岡県 相島にすむ猫たちの彫刻を作り続けてはや3年、猫たちのふるさとの福岡県で、ついに猫の彫刻展が開催決定です。猫たちとともに、犬たちもお邪魔するかもです。新作、販売彫刻ふくめ、猫スケッチなども初出品しますのでぜひ!
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地からの視点
http://mkirin30.exblog.jp/27662812/
2017-03-23T14:09:00+09:00
2017-03-23T14:09:57+09:00
2017-03-23T14:09:57+09:00
m_kirin30
未分類
人はいつも上から物事を見おろすのは得意です。高いところの視点から物事の全体像を見て、安全な位置で批判したり考察したりするのはとても得意です。
上から目線、という言葉にもあるように、いつも物事を上からの視点で見ていると、正しい判断を見失うこともあります。
広い視野で、自分の目線で物事を見て暮らしたいと感じ、三重県の古き良き風景の残る田舎にアトリエを移し、暮らしと彫刻を見つめ直してから3年半が経ち、見えてきたのはここに暮らす人達の地に親しい視点。ここでは同世代の友人が薪を集め割り、おかずを寄せ合って近所の仲間で食卓を囲み、友人が猟をし採った肉や育てた野菜を食べて暮らし、女性は集まって季節の知恵を分け合います。みんな地に近い、とても低い下からの目線で、自分たちの暮らしや社会を見上げて暮らしているのを強く感じます。人を見下す高さもないほどに、虫のような目線で。
一体の彫刻を作っていても、下から見上げる目線はとても重要です。重力の終着する場所、重力に逆らう底面、それらを丁寧に作り込むことが、彫刻に真の存在感とリアリティを与えるのです。それは、ものごとの終わりの形でもある、とても大切な要素です。人は地で生まれ高い場所へ登り、地に横たわり死んでいく生き物で、いつでも終わりの着地点の視点から今の生を見つめることは、人生を充実させる手助けになることでしょう。
私は彫刻家という仕事柄、いつでも最高の形で終わる所を見つけていきたいと感じます。一つの彫刻であっても、自分の一生であっても。いつも空を見上げながら地を歩く小さな生き物のような視点で。
神戸新聞 随想のコーナーに書いているエッセイです、これを書くためになかなかブログが更新できずにいました、こちらのほうにも、たくさんの方に読んでいただけるようアップしておきます。
展覧会のおしらせ
会期:2017年3月24日(金)~4月2日(日)
10:30-18:3027日(月)お休み最終日17:30まで
東京 巣巣くすのき(楠)から動物の命を彫り出す彫刻家はしもとみおさんの作品展を今年も開催いたします。一部ちいさな作品の販売もございます。(販売の作品はすべて会期終了後の抽選となります。会期中の店頭での受付のみ、お一人3点までお申し込みとなります。4/2の17:00受付締め切り)
3/18~4/16
木のどうぶつたち 愛知県 おかざき世界こども美術博物館 4月22日〜6月25日
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一番好きな場所
http://mkirin30.exblog.jp/27076972/
2016-11-27T19:37:00+09:00
2016-11-29T19:01:01+09:00
2016-11-27T19:37:01+09:00
m_kirin30
日常
1日、1日を、最善のかたちで繰り返し乗り越えていくということを、日々の目標にしています。人生のおおきな軸さえ決めたら、あとはどのように葉をのばしても自由だ、というような感覚で、あまり遠くの未来を憂うことのないようにしています。
朝起きたらその日の暮らしを自分にとって一番良かったと思えるように過ごし、眠る、それの日々の繰り返しの連続が、やがておおきな一生のそのひとのかたちを決めていくのでしょう。日々の葉のシルエットが、やがてはその巨木の姿を形取るように。
「この世は、じぶんを探しに来たところ」と言ったのは河井寛次郎さん
「この世は、じぶんを完成させに来たところ」と言ったのはサン=テグジュペリ氏。
私は、というと
「この世は、じぶんを作りに来たところ」という感覚です。
自分のやわらかなおおまかな輪郭を、内からも外からも形作り、自分の人生を良くも悪くもとっても好きだったと思えるように、日々形作っています。
世界で一番好きな場所は、と聞かれたら、迷わず「私のアトリエ」と答えるでしょう。
アトリエは、自分の目で物を見つめるところ
自分の心で感じるところ
自分の言葉で、話せるところ
自分のものを作れるところ。
私にとってこれほどの場所が、世界中どこにあるというのでしょうか。
世界で一番好きなことは、と聞かれたら、迷わず肖像彫刻と答えます。
それは最愛の動物たちと触れ合える時間であり、私の一生をかけた大切な仕事でもあり、人生の形そのものが彫刻だからです。
よく、好きなことを仕事にするのは嫌だ、好きなことをお金に変えるのは何か違う、という言葉を聞きますが、
仕事にしたくらいで好きが好きでなくなるはずがありませんし、
仕事というのは突き詰めていくと本当にやりがいのあるものです。
制約や制限のその先に、自由があって、好きな事を自由に表現して仕事ができる日がやってきます。
プロであっても、趣味で絵を描く人と同様に、絵の事が本当に好きで、なにもビジネスとしてだけ絵と関わっているはずがありません。
絵が好きで好きで、どうしようもなくて、それしかなくて、そこだけが社会や人とつながれる場所で、それを仕事にしている。そんなひとが、生涯画家であるはずです。
私は彫刻の事が世界で一番好きで、その好きは本当に負けない自信があります。
この大好きなアトリエで、最高の仕事を残していく事に、自分の時間を丁寧に費やしていきたいです。その中に、とても平穏な日々の暮らしがあれば、それで十分です。
一年で、本当に少しの数しか、彫刻というものは作る事ができません。ひとの一生は彫刻を知るにはあまりに短く、1000年生きても飽きる事はないでしょう。それだけ地球上には、まだまだ美しいいきものがひしめいています。来年もまだ見ぬ子たちをせいいっぱい作りたいな、と思っています。毎年こう思っても、年末に、残せた彫刻たちの数を見て、手が8本あったら、、、と思うばかりです。
愛犬の月くんが14歳を迎え、少し衰え、今は日々を充実したものであるように、よく月くんを見ていようと思っています。
来年度の展覧会予定です。各地回りますので、お近くの際にぜひ彫刻になってくれたどうぶつたちに、会いに来てくださいね。詳細は追って順にまたお知らせいたします。
2017~
三重県 喫茶tayu-tau 1/17-1/30 個展神奈川県 今古今 2/15-2/24(二人展)東京都 巣巣 3/24-4/2 個展愛知県岡崎市こども美術館、4/22-6/25 個展福岡県スピタル箱崎 (7月後半予定) 個展静岡県weekend books 7/2-16 個展東京都ギャラリーKISSA 8/11-9/10(三人展)広島県三良坂平和美術館、9/16-11/5 個展愛知県名古屋市ヤマザキマザック美術館11/24-2018,2/25 個展2018~山形県酒田市美術館 2018,3/10-4/22 個展熊本県長崎書店(5月予定) 個展
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もうひとりの
http://mkirin30.exblog.jp/26347089/
2016-10-11T21:50:00+09:00
2016-10-11T21:49:31+09:00
2016-10-11T21:49:31+09:00
m_kirin30
日常
ちょうど彫刻と、自分の関係のように、彫刻家はしもとみおは、私の隣にいつもいます。
自分で立ち上げた作家業、彫刻家はしもとみお、というダメなほんとうの私とは違う別の仕事人間が、いつも私を励ましてくれます。
私自身は面倒臭がりで適当で、とてもダメダメな人間ですが、
彫刻家はしもとみお は、そこだけでもちゃんとしようと、
人見知りで外に出るのが億劫で大の苦手な自分ですが、仕事としての自分は、なんでもできるようになりました。人と関わることも、交渉することも、お金のやりくりも、ほんとうはどれも逃げ出したいくらい苦手ですが、仕事が自分を育て、鍛え上げてくれました。
ずっとずっと昔、美術をはじめたころから、このもうひとりの美術作家としての自分、はしもとみおが、私の斜め上にいつもいて、自分を厳しく鍛え、一番の理解者であり、指導者でした。
こんな絵ではいけない、その決断は間違っている、この彫刻は良くない、
判断を下すのは私ではなく、いつももうひとりの自分、彫刻家はしもとみおです。
私自身だけだと、もうやめちゃえ、とぐうたらの適当になってしまっていたと思います。
だけど、はしもとみおだけでは、ダメになっていたように思います。
時にぐうたらの自分が、ちょっと休もう、ちょっと遊ぼう、ちょっと逃げよう、と、
適度にはしもとみおを、休ましてきたおかげで、リラックスしてリフレッシュができたようにも思います。
今は自分の仕事、彫刻家はしもとみお は、自分とは全く別の人間で、
自分の作った会社やお店と同じで、大切な仕事であり、友人であり、大切な人生のほとんど全てです。
明日も明後日も、はしもとみおは仕事を頑張ることでしょうが、
オフの私は、コーヒー飲んでドライブして、リサイクルショップを巡ったり、大好きなお料理や犬の散歩、ゲームしたり漫画を読んだりアニメを見たり、それはそれはほんとうに、まったくの別の人間なのだと思います。
仕事でつらかったり苦しい時は、「がんばれ、はしもとみお」と、古い友人を励ますような気持ちで、もう一人の自分を心から応援しています。
おかしな話ですが、そんな感じで、もうひとりの自分は今日も仕事をし、私はこうやってナマケモノ日記を忘れたころに更新していく日々です。
10/30すいどーばた美術学院さんで、10/30日の全国公開実技コンクール(彫刻科)を受けた学生さんがた対象に特別講演会をします、受験生時代の過ごし方から、デッサンの極意、作家起業へのあれこれなど、リアルにお話しします
11/23 エキサイトブログ企画
に作品展示、販売で参加します。
11/12~11/27 12:00~20:00 (グループ展示)アーツ千代田3331 1F メインギャラリーにて、彫刻展示があります。
来年度2018年は、全国各地で美術館展示、個展、ワークショップ、彫刻販売と続きます、また追って告知しますので、お近くの際はぜひ遊びにいらしてくださいね。
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木になる
http://mkirin30.exblog.jp/25712535/
2016-08-27T19:10:00+09:00
2016-09-10T14:41:52+09:00
2016-08-27T19:10:34+09:00
m_kirin30
日常
彫刻をしていると、単純なことですが、勇気というものがほんとうに大切なものだと感じます。脳は、どんなに抗おうと思っていても、うまくいく方へ、楽な方へ、まとめる方へ、無難な方へ、失敗しない方へ、自分を誘います。だけど感覚が、それにちゃんと反抗する、手がそれを争い攻めの一刀をきっちりと入れてくれる、それは勇気ある行動であり、自分の目を信じている真のデッサン力の表れでもあります。
自分の目を信じられることができたら、みんなと同じものを描いても、ほんとうに魅力的なものが描けます。その人にしか発見できない美を描けるからです。人と違ったこと、変わったことをして注目を得るのはある意味簡単ですが、人と同じことをしてあたらしい価値観を感じさせることのできる表現力は、とても難しく、素晴らしい発見でもあります。普通のものをつくっているのに、飽きがこない、時代に流されない、そんな、「そこにしかない美」を作ることが、私の目標です。
美術家は、いずれその扱っている素材のようになっていくような気がします。木彫家は、性格そのものが扱っている木そのものになっていくのです。木を毎日彫っているうちに、木そのものの性質に近づいていくような感覚に陥ります。腰を据えて風に振れず、大きな幹を構え、じっと動かずじわじわと大きくなっていく、動物たちや虫たちに囲まれ、実り、枯れ、また育つ、そんな繰り返しが、今の私の日々ととても重なります。画家は絵のように美しく静かな存在になり、石を彫っている人はきっと石のように強くてたくましく、土を触る人は大地のようにあたたかく大きく、金属を加工する人は素粒子のように繊細でかつ大胆な動きをし、木を彫る人はやがて木になる。そんなことを、犬と散歩をしながら風景を見ていると感じる毎日です。
私は楠という木に支えられ、たくさんの勇気をもらい、自分の目でじっくりと観察した動物たちを届ける仕事をしています。かつての彫刻家がまだ発見できていない美を、新発見するべく日々観察に明け暮れています。三重県の片田舎に住んで3年が経ち、日々お庭のめまぐるしく育つ木々や虫たちの声に励まされて制作しています。自分ほど、この世界が好きな人はそういないだろうと思うときがあるほど、この世界が本当に大好きです。そのことを言うのは、なぜか少し恥ずかしいのですが、もしかしたら木も動物たちも虫たちも、このことを思っているような気がしてなりません。言葉でなく彫刻で、この大好きな世界の最愛のいきものたちを伝えていけたらと思っています。
グループ展のお知らせです、
木彫りのどうぶつブローチを23個、展示販売します。9月18日(日)~28日(水)ブローチ!ブローチ!ブローチ!3 weekend books
9月15日(木)~10月3日(月)「ペットショップにいくまえに」展 ウレシカちいさな動物の彫刻たちを、展示販売と、等身大彫刻を少し展示します。
ちいさな個展のおしらせ、10月9日阿下喜秋の市 桐林舘 三重県いなべ市大きなどうぶつの彫刻たちを、素敵な古い学校の中で展示します。
11月にまた東京でグループ展もあります、詳細決定次第おしらせいたします、来年は美術館展示がいくつが控えており、いろんな地域で展覧会が開けると思います、どこかの展覧会にぜひ、木彫りの動物たちに会いに来ていただければと思います。
製作中のチグリス君(相島に住む野良猫)
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スケッチのすすめ
http://mkirin30.exblog.jp/25412825/
2016-07-05T18:40:00+09:00
2016-07-05T18:46:41+09:00
2016-07-05T18:40:56+09:00
m_kirin30
日常
目の前でモチーフを見ながら描くスケッチを、日課にしています。
スポーツ選手の方が毎日体を鍛えるように、美術家も日々目と手と感覚を鍛えることがとてもたいせつだと思いますし、自然をリアルに描く仕事なので日々自然界の研究を続けたいというのもあります。
スケッチは、目の前に生き物、植物などを見られる状況で、描くようにしています。
想像上のものを描いたり、写真資料を見て描くことはしません。生の感動を定着させる技術を養う練習が、私なりのスケッチです。
写真を利用して描いてしまうと、写真は動かないものですし、色も固定、サイズも縮尺のものなので、過去の自分の技術の焼き増しにしかならないような気がします。仕事上写真資料から仕上げることはありますが、あくまで訓練としてのスケッチは、生のモチーフを見て行います。
動物たちはもちろん動き回るので、動体視力、記憶力、瞬発力、たくさんの力が身につきます。
自分にとっていちばん難しいことをつづけていく、習慣化していくことが、ほんものの技術を養うことにつながります。
そして続けていくうちに、ほんとうにたいせつなスケッチの不思議に近づいていきます。
スケッチは、過去の技術を一切忘れることがたいせつだということに気がつきます。
過去の記憶も、すべて討ち払って、新鮮な脳でのぞみます。
羊は白い、植物は緑だ、そんな既成概念がいちばん不必要なものです。
ましてや、今日はこんな絵を描いてやろう、あの時うまくいったあの手段で描いてやろう、
そんな概念がいちばんの敵です。
過去の焼き増しを作っていっても、技術の向上は無く、それどころか、技術の固定化、癖の助長、感覚の停滞がおこり、絵はみるみる力と鮮度を失っていきます。
たいせつなのは、生まれたての生き物のような目で、この世界と向き合い、
はじめて絵を描いた時のような感動で、モチーフと時を共にし、観察することです。
手と目と感覚をリラックスさせ、深く呼吸し、まず目の前のモチーフが美しく見えているかを確認します。
「ああきれい」と思ったらすぐ、筆を走らせます。
下書きも必要ありません、失敗はいくらでもしていいので、どんどん筆を置いていきましょう。
生でモチーフを見て描くことの何がいいかというと、失敗ができるということだと思います。
失敗を克服していくことこそが技術の向上で、どん底から這い上がって培ったほんものの一枚は、うまく仕上げた1000枚より、価値のあるものです。
その経験値を、100枚、1000枚、10000枚と重ねることにより、
どのような状態でも失敗などなく、成功に導けるのだということ、
自分の絵の最底辺を底上げできることにつながります。
安定した、いつも 「いい絵」が描けるようになるスケッチ力は、その他の仕事もおおいに助けてくれる存在になります。
あらゆる分野のプロフェッショナルというのは安定力そのものだとも、思うからです。
たくさんのまだ見ぬ美しさを発見して、世界の美しさを伝えて届けていくのが、私の仕事です。
死ぬ時に誰よりも、この世の美しさを発見した人間でありたい、そう思っています。
何万枚ものスケッチを残して、生涯を終えられたらと思っています。
この夏〜秋の展示会は、主にグループ展になります
2016年7月23日、24日特別展示
いきもの達のかくれんぼ展 きりん工舎 三重県
場所:きりん工舎内展示スペース 入場無料
日時:2016年7月23日(土曜日)10:00~18:00 ※木彫りのワークショップ同時開催
7月24日(日曜日)10:00~16:00
日曜日は閉館時間が早いのでご注意ください。
・あまのじゃくとへそまがり ・蛾売りおじさん ・柴田 望・はしもとみお・馬場 稔郎・本多絵美子
・宮本 祐太・新井 達矢
ブローチ!ブローチ!ブローチ!3
*日時 9月18日(日)〜28日(水) 23日(金)定休日
*場所 weekend books
グループ展示になります。販売用ブローチをいくつか出品します。
「ペットショップにいくまえに」展
2016年9月15日(木)~10月3日(月)
グループ展になります 販売用彫刻、展示用彫刻を出品します。
ウレシカ
特集記事も書いていただきました、ぜひご覧ください。
IT WALL
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変わらないこと。
http://mkirin30.exblog.jp/25219695/
2016-05-11T11:46:00+09:00
2016-05-11T12:03:12+09:00
2016-05-11T11:45:44+09:00
m_kirin30
日常
変わらないことを最近、とても大切にしています。
20年前に食べていた大好きだったレストランのオムライスが、20年後に思い出して入ったら同じ味がして泣けてくるような、そんな変わらないものを届け続ける職人さんたちの心意気に、心打たれます。
美術はなぜか真新しいものや斬新奇抜なもの、一見見たことのない難解なものが好まれる傾向がありますが、私はそんな世界からすこし離れたところの、山奥の森の一軒家でひっそりと育まれる美術をやっていきたいと思っています。
進歩はもちろんしていきますが、原点が変わらないように作り続けたいです。
紀元前の彫刻が今も美しく魅力的なのは、何千年も前から自然界の美は完成していて、敬意を持って自然を忠実に再現しようとした職人さんたちの思いが伝わるからのように思います。
はじめて刀を握った時の純粋な感動や、はじめて筆で色を使って絵を描いた時の世界の広がっていく感じや、デッサンをはじめて見えるもの全てが美しく見え始めた頃の熱い思いを、毎日朝起きるたびに感じていたいです。
自分が美しいと感じたものを、美しいと人に伝えるために身につけるのがデッサン力ならば、
生涯かけて限界まで身につけていきたいです。
そんな中で、進むだけじゃなく、戻る、とどまるといったことも、大切にしていきたいです。
変わらないたいせつなものごとを、いつもそばに置いてものを作りたい。
デッサンを続けることが、私が変わらないでいられる唯一の道標だと感じています。
三重の片田舎に移り住んで、目の前の大自然の景色や動物たちの声色があまりにも美しく、
「この景色が変わらないでほしい。」と、心底思います。
この風景を守ることも、これからの私たちが進むべき道なのだと思っています。
私のやっている美術は、この田舎の風景そのものなのかもしれません。
変化することが大事なのでなく、変わらないものを守っていくのがたいせつな、そんな美術が、具象彫刻なのだと感じます。
上手くなること、技巧に走ること、癖が現れること、商業的になりすぎること、慣れで描いてしまうこと、
たくさんの難敵が職業美術では待ち構えていますが、
どれも想像力を持って客観視できれば、振り払えるものです。
見る人、買ってくれる人を思う想像力を持ってものをつくることは、私が職業としての美術でいちばん大切にしていることです。
自分でない、他の誰かの宝物を作り出すことが、今の私の生きがいになっています。
10年後20年後の自分が元気に制作できているとして、たいせつなものを変わらず持ち続けて作っていられているか、
古い友人に彫刻を見てもらった時に、変わらないね、となつかしく見てもらえるかどうか、
名前は忘れられても、この彫刻なんだか見たことがある!と思ってもらえるように、
いつの時代にも、なつかしい、そんなあたたかな、変わらない彫刻を届け続けることが、今いちばんの目標です。
モデルとなってくれる動物たちは、もちろんすこしずつ変わっていくのでしょうけれど、
私がその子たちに向かい合う目は、いつも生まれたてのように新鮮なもので、あり続けたいと思っています。
現在展示中
はしもとみお彫刻展「いのちを刻む物語」
4/29日〜6/12日 火曜定休
京都府 福知山市
佐藤太清記念美術館
さわれる等身大の彫刻多数、野良猫カードや、絵画と盛りだくさんの個展です。
本年度の大規模個展はのこりこの一つですので、この機会にじっくりご覧になってくださいね。
5月16日発売の ねこぱんち さんに、巻頭グラビアと連載彫刻が始まります。
ぜひコンビニエンスストアなどでチェックしてみてくださいね!
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ちいさな目標
http://mkirin30.exblog.jp/25030556/
2016-03-09T19:35:00+09:00
2016-03-23T23:54:38+09:00
2016-03-09T19:35:05+09:00
m_kirin30
日常
私は、学生時代から目標がありました。
それは、美術の世界で生きていくこと、暮らしていくこと、食べていくこと、です。
作家業というものを志したときに、現実として美術大学や専門学校で作家業を生業として私の理想の暮らしをしている先輩が見つからず、いざ自分がどうやって作家業をはじめればいいのか、全く前例のない仕事のような不安に駆られたことを思い出します。
そんなときに、大学在学中にも将来起業したい人は起業の準備を始めているということを知り、作家業も、ひとつの起業なのだという意識を、大切にしようと思いました。
私の理想としているイメージは、ちいさな町工場でした。
美術作家というと、大企業のような大作家さんしか暮らしていけないような印象を受けますが、なぜ、美術作家の中小企業が存在しないんだろう、と考えました。
私は、世界に誇れる技術を次々と生み出し、日本の伝統とものづくりを支えるちいさな町工場のような作家になりたい、と思いました。
目標がちいさなものであれば、そこへ向かってめざしていこうというとても具体的なイメージもつかめ、
一ヶ月にこれだけ稼いでみようとか、一年でこれだけ稼げればアトリエと住む場所を確保できるとか、そんなちいさなひとつづつを自分で決めて、その目標を達成していく喜びを日々感じながら制作していました。目標をすこしづつ大きくして、理想とする暮らしをひとつづつ実現していくことが、私の一生の道標になっています。
「仕事をください」というような営業はしませんでした。
営業のプロには決して勝てないし、それならばすこしでもいいものを作ることに精力を注ごうと、みんなが欲しくなる彫刻の開発と研究を日々行ってきました。
そんなとき頭に浮かんだのが、自分がそれを見つけたらとっても欲しいというものを作る、ということでした。
自分が欲しいけどみつからない何かを作ることができたら、きっとみんなもそれを欲しいとおもってくださるんじゃないか、そう考えるようになり、誰かの宝物になれるようなものづくりを、続けていこうと思い、いまでもちいさな町工場の精神で日々最善を尽くして仕事をしています。
大作家になりたい、というような雲をつかむような目標では、私のような後援者もいない一代目の資本金も少ない作り手は、とても美術の世界で生きてこられなかったと思います。いずれ大きな目標を見据えるのは素晴らしい事ですが、道のりのイメージがつかめる範囲のちいさな目標は、自分に勇気を与えてくれる親友のような存在です。
名もないけど作るもののすばらしい、そんな作り手はこの世界にたくさん息をひそめていることでしょう。そしていづれ、作るものが素晴らしければ誰かが見つけ、広がっていくようにおもいます。
ちいさな目標が、いままでの自分を支えてくれていたことを、仕事をはじめて10年弱、ようやく実感できるように思います。
私はこういったわたしのようなちいさな町工場やちいさなお店のような美術作家がどんどん増えてきたらいいと思います。これから作家を目指す若い人たちが、思い悩むときにすこしでもいいアドバイスができるように、たくさんの実績と経験を積んで、美術の土地を耕していければなと思っています。
現在開催中〜3月17日まで
銚子よみうりホール 9:00〜17:00 はしもとみお展 「彫刻森のどうぶつたち」
4月1日~10日 東京 巣巣 ミニ展示 机の上の犬と猫
4月29日~6月12日 福知山市佐藤太清記念美術館 個展予定
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修正力
http://mkirin30.exblog.jp/24905750/
2016-01-28T14:23:00+09:00
2016-02-02T12:47:25+09:00
2016-01-28T14:22:23+09:00
m_kirin30
日常
自分が納得いくまで何度でも彫りなおし、いついかなる時も、完成直前でも、いいと思った形でなければ壊す勇気を、忘れないようにしています。
一つの彫刻を納得のいかないままで終わらせることは、貴重な素材を殺してしまうということ。この世にいいものでないものを残していくことは、一番の愚行です。
おもえば、美術の世界に足を踏み入れてからずっと、学んできたことといったらたったひとつ、
修正する力に他ならないような気がします。
美術は、変化の連続です。一枚の絵にも流れがあり、好調と不調は挑戦していれば必ず訪れます。
むしろ不調のない絵は、挑戦のない絵とも言えます。
不調を見出して修正していく力こそが、求める真の美術力です。
修正は、過去の自分を否定することになるので、とても苦しいものです。
ですがよりよいものづくりの大きな力にくらべたら、自分の過去なんて大したものではありません。
変化に強くありたいと、いつも思っています。
美術の世界には、大きな波と流れがあります。
天候の変化のように抗えない、強力な変化もあります。
どのような状況の変化においても、自分の美術を貫くことのできる力を、持っていなければならないと感じます。
そのためには、直感を鍛えておかないといけません、
知識や情報が積み重なれば重なるほど、人は直感を見失います・
時に知識を積み上げて上から物事の全貌を見ることは必要ですが、
積み重なって上から眺めたら、その知識の階段をガラガラと平らに崩すことも、よく行います。
彫刻は同時に下からも見上げる目線が必要になります。
大事なことは、ものごとをあらゆる角度で観察することだと、彫刻が教えてくれました。
私は、脳の声と同時に、心の声、手の声を聞き、自分の中の直感に従って長考することなく決断をしていくことを試みていこうと思っています。
考えることと迷うことは似て非なるもの。
迷いは恐れを生み、直感を遠ざけます。
その間にも時は流れ、現実の美は移ろい、生き物は老い、日は傾いていくでしょう。
いかなる時も直感で新しい一刀をふるい、変化を体感しながら修正力を持って仕上げていく、
どんな状況でも完成を諦めず、いい形だけを求め、ぎりぎりの深みに彫り込んでいく。
彫刻は武道にも似た、厳しくも温かい、そんな世界です。
直感を頼りに扱う修正力こそが、彫刻の本質なのかもしれません。
2016年前半の予定です、
1月30日(土)22時半〜23時
テレビ東京 クロスロード
2月2日 旅する彫刻 はしもとみお著 MdNより発売
肖像彫刻にスポットを当て、彫刻たちの生まれた後のその後を記録した、写真集です。
本ブログの彫刻に対する思いの部分をまとめたエッセイも。
はしもとみお展 彫刻森のどうぶつたち
銚子よみうりホール
2016年3月3日~17日(休館日無し)
10:00~17:00
お問合せ先 :銚子市役所 地域協働課 協働推進班
TEL 0479-24-8794
4月1日〜10日 巣巣 ミニ展示&ワークショップ ライブ予定
4月29日〜5月29日 福知山市佐藤太清記念美術館 個展予定
お近くの際はぜひ展覧会等遊びにいらしてくださいね。
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デッサンのはなし
http://mkirin30.exblog.jp/24680523/
2015-11-17T10:51:00+09:00
2015-12-06T23:05:58+09:00
2015-11-17T10:51:12+09:00
m_kirin30
日常
デッサンの一番の秘訣は、うまく描こうとしないことです、
上手い絵が、いい絵とは限りません。あなたが美しいと思う物事を信じ、いいデッサンを重ねましょう。
自分の眼を信じ、正しい形、量、色、空間を捉える訓練を重ね、嘘をつかず素直に絵を描くことが、本当のいい絵に近づく一足づつです。
確かなデッサン力は、美術の表現を自由にします。
それは、現実の世界の中に、ひとが美しいと思うものの答えが膨大に隠されているからです。
あなたが一枚の真のデッサンを重ねるたびに、あなたは物事の美しさの理由をひとよりも一つ多く知ることになります。
デッサン力とは、知り得た美を自由に扱えるようになる技術そのものなのです。
デッサンの勉強は採掘のようなものです。
簡単に運良く何かを掘り当てられる土地もありますが、掘っても掘っても何も見つからず苦しい勉強の時期も続くでしょうが、
どの土地を掘り下げてもやがては同じ美術の中心点へ向かうことができます。
自分を、自分の未来を深く信じ、習慣としてデッサンを楽しんでいくことができたら、
デッサンを味方にすることができるでしょう。
いつも現地に足を運んで取材しています。
動物たちのいる現場は、夏は暑く、冬は寒く、日陰も少なく、厳しい土地に生きています。
同じ空間で呼吸を感じながらデッサンすることが、最近ではとても大切なことなのではないかと感じています。
彫刻にした時に、その子のいた空間そのものを連れてこられるように、一枚を大切にしていくことが、
いちばんつくりたいものに近づける一歩だと、感じています。
ついつい美術をやっていると、よけいなことを表現しようとしてしまいますが、
ほんとうに美しいものは、よけいなものがひとつもなくて、とてもシンプルな、いい意味で質素な飾り気のないものだということを、ものを作るたびに感じています。
いつかとてもふつうでなんでもない猫や犬を、ただそこにあるように作れたらいいなと思っています。
10/17~1/11 浜田市世界こども美術館 「そっくり彫刻展」出品中
11月29~12月6日 ツチノコ展
12月12日13日 いきもにあ
wsあり
1月30日 よみうりカルチャws 1 2
1月31日 伊勢丹 オトマナ ws
2016年3月 大阪梅田 ws
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猫島物語
http://mkirin30.exblog.jp/24605206/
2015-10-25T11:44:00+09:00
2015-10-27T16:59:29+09:00
2015-10-25T11:44:29+09:00
m_kirin30
日常
去年の12月、はじめて猫の島を訪れて、そのあまりにも美しい日本の風景に、つくりたい、みんなのこしたい、の思いが溢れ、2015年は一連の猫島の猫の彫刻を等身大7体、小さい猫彫刻50匹、つくりました。
まだまだいっぱいつくりたくて、私の通っている福岡県相島だけでもあと数年はかかりそうな、ライフワークに近い制作になっています。
野良猫なので、名前もみんな勝手につけて、自分の遠くに住む友達のような気持ちでいます。
台風が来たら心配するし、寒い日や暑い日、雨の日は猫の友達のことをいつもおもいます。
猫は、それぞれの秘密の物語を持っています。
自分の目の前で繰り広げられる、現実の猫達の誰も知らない物語。
誰も目に止める事なく、海の波と一緒に消えていくような島の野良猫達の一生の物語が、
私には限りなく美しい夜空の星のように見え、そのひとつひとつ、一匹一匹が持つ命の物語を、
彫刻を通じてたくさんの方に、触れ、感じてもらえたらいいと思っています。
それなので今回も、真正面から肖像彫刻に向き合っていきたいと考えています。
自分の彫刻に、コンセプトも理由もあまり持っていないので、なぜ野良猫たちを作るのかと聞かれても、ちゃんとした理由は見つからないのですが、言えることはたったひとつ、
目の前にいるこの子達が作る風景が、ほんとうに美しく、愛しいものだということ、それだけです。
生涯出会ったいきものたちは、すべて彫刻にしたいと思っているので、時間はいくらあっても足りませんが、現実配達人としての私の役割は、どこまでもリアルに、それでいて手作りのあたたかさを忘れずに、いい肖像彫刻が一つでも多くのこせたらという思いでいつも制作しています。
猫でも犬でも虫でも、いきものを見ていると、いきものは、それぞれ秘密の問いと答えを持ち、隠し持って暮らしている、と感じます。
私はそのそれぞれの隠し持っている答えを、解き明かすために彫刻をしています。
いきものたちは、そのたたずまいや表情、姿形で、ヒントをくれるので、忠実に再現することでその秘密を探る手がかりになっています。
私は見知らぬいきものに出会った時、前人未到の難問に出くわしたような、それを解き明かすのは自分かもしれないというような、果てしない挑戦とワクワクを感じ、つくらずにはいられなくなります。
彫刻家は目だけで、ものをみているのではないと感じます。
手で、ものをよく見ているのです。
同時に心でも、ものをよく見ています。
手は彫刻家にとっては最高の友達で、自分のつくりたいものを形にしてくれる、大切な仲間です。
目は、かしこい仲間で、瞬時にたくさんの情報をくれますが、心や、手や、脳が、いろいろ体の中で議論しあって、この形を残そう、という答えが、形になって現れてきます。
全身を仲間に、チームワークで仕上げるのが彫刻ですので、そのどこかが自分のバランスの中で調子が悪いと、とたんにいいものができなくなってしまいます。
全身の感覚を鍛え、いつでも今以上のものづくりができるように、観察力と経験値を日々上げていきたいと思っています。
一連の猫島の猫たちの展示は、できれば全国各地で、たくさんの方にいろんな地で見てもらえるよう、開催地を多く取りたいと思っています。
来年度から展示も各地で開催予定ですので、お楽しみにお待ちいただければと思います。
今年の展示
10/17~1/11 島根県 浜田市世界こども美術館 「そっくり彫刻展」出品中
たくさんの仲間たちも参加していて、木彫りの彫刻の魅力が存分に味わえる素敵な展覧会です。広島から車で約1時間半ですので、ぜひ遊びにいらしてくださいね。
11/18~23日 三重県 いなべ市 図書館まつり 彫刻展示
地元、いなべ市で大規模な展覧会を開催します。
大小約100点の動物の彫刻たちと、動物たちの絵も展示します。
東京で、ねこのブローチを彫る 木彫り教室が開催されます!
資料さえあれば、いぬ、他でも大丈夫です、初心者の方でも安心して楽しめます。
NHK文化センター 青山教室さんにて
午前
午後
11月30〜12月6日 ツチノコ展 展示とws 富士吉田市
彫刻展示と、会期中wsがあります。
12月12〜13日 いきもにあ 展示とws 京都府
いきもにあ会場内にて彫刻展示と、wsを開催します。
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