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2011年 03月 09日 ( 1 )

終わらない

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アラブの動物たちの彫刻にとりかかるために、スケッチや道具、アトリエのものの整理をしました。
思いでいっぱいのアトリエには、あふれるくらいたくさんの、ものがあります。

どんなに大切に使っていても、物は老いていきます。
繰り返し読んだ画集、いつでも連れて歩いたスケッチブック、
大すきな眼鏡、お気に入りの服や靴やバック。
いつも使っているからこそ、古びたりくたくたになったり。

だけど、それらはいつも、美しいくたびれ方をしています。
思い、思われて、もの達は愛され、ただの、「もの」じゃなくなる。

私は11年前に買った筆が今でもどんな筆より心地よく、毛が半分以下になってしまっている今でも大切に使っています。
アトリエも、そう。
風邪や怪我などで数日使わないと、なんだかホコリかぶって荒れてきます。
だけど、毎日、使えば使うほど、きれいになってゆく。
よごれる、きづがつく、えのぐをこぼす、そうじする。
そうやって、この部屋を使った証が、美しさを引き立て、
使われて行く事で、部屋も思い出と物語で、美しく彩られていきます。
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うつくしさとは、つくられていくもの。
現在進行形なんだともいます。
ものができた時が完成じゃなくて、そこから、どう、うつくしくなって行くか、
そう、生まれた時の赤ちゃんと同じように。
彫刻も絵画も、生まれた時が完成ではなく、生まれる前も、完成したあとも、
見たり触れたりしていくひとたちが、あたらしいうつくしさを、育てて行く。
うつくしさが、おわることは、決してないのです。
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生き物には寿命があるけど、その命が終わる寸前まで、うつくしさは進化している。
子孫にうつくしさを伝え、また永遠につづいていく。

だけど、人も、ものも、誰かに必要とされなくなったとき、急激に老いる。
必要とされているうちは、そのすがたは美しく保とうとし、保たれる。

美は、愛されたい学問の、それぞれの答えなんだなと思います。
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ひとつとして同じ形のない、木屑でさえこんなにうつくしい。
美術をはじめてから、感動する事が多くなりました。 
デッサンすると、感動の触覚が、鍛えられていくのかもしれません。

さあ、きょうも、うつくしさの続きを、つくろう。
そう、毎日、思っています。
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by m_kirin30 | 2011-03-09 11:19 | 日常